【KPI】マネジメントすべきは 顧客満足?顧客体験?NPS®️?
コールセンターは企業の最前線にあり、そのパフォーマンスやサービスレベルがそのまま顧客の企業評価に直結する重要部門です。
ですが、顧客満足度調査をしっかりやって業務改善に活用しているか…となると、あまりやっていないというのが実情ではないでしょうか。
たとえ顧客満足調査をやっていたとしても、最後に調査したのは5年前とか、コールセンターに関する質問が少ないか、無いというのもよく見かけます。
「それどころじゃない。」
「いつも結果が同じなので、続ける意義が低い。」
そんな企業もあるかもしれません。
でも不思議ですよね。
ある調査によると、何らかの形で「お客様第一主義」か、それに近い言葉を企業理念に盛り込んでいる会社は、日本企業の実に7割以上にも上るそうです。
皆さんのコールセンターは何のために、誰のために存在しますか?
顧客の声を収集していないセンターは、まずここから見つめ直したほうがよいかもしれません。
さて、顧客満足度の管理は重要なKPIのひとつですが、この分野は昨今、大きく変わろうとしています。
●顧客体験(カスタマー・エクスペリエンス:CX)
●NPS(ネットプロモータースコア)
今一番HOTな言葉ですね。
今日はこの顧客満足について考えてみましょう。
目次
そもそも顧客満足って何?
日本での顧客満足研究の第一人者である故・佐藤知恭氏が、顧客と顧客満足について、こう定義しています。
●顧客満足は企業が顧客を満足させることでない。顧客が自らの基準で判断することである。
●顧客満足は現場の従業員の態度によってだけでは達成できない。
企業の経営姿勢であり、企業戦略である。
●お客と顧客は違う。
お客は買い手であって、1度は買ってくれるが今後も買ってくれるという保証はない。
顧客は少なくとも2回以上あなたと取引のある客。あなたが提供する価値を共有しようとする意欲がある。
ただし、競争相手の顧客になる危険性も高い。
初めてのお客が満足するばかりか感動することによって顧客になる。
それをさらに得意客、贔屓客へと客との親密度を高める事によって、継続的な利益を企業は確保できるのだ。
顧客体験(カスタマー・エクスペリエンス:CX)
今や顧客満足よりも、こちらのフレーズを目にする機会が増えたかもしれません。
顧客満足との違いは何でしょうか。
色々な考え方がありますが、おおまかにまとめると、
①顧客満足は結果、顧客体験はプロセスにフォーカスしている。
たとえばテクニカルサポートセンターにトラブルの電話があったとします。
最終的にトラブルが解決すれば、ほとんどの顧客は満足します。
これをCXの観点で見るなら、電話の繋がりやすさ、IVRの使いやすさ、オペレーターの印象、問題理解のスピード、正確な対応、説明のわかりやすさ、解決までのスピードなど、顧客の体験した全ての要素の主観的評価となります。
したがって、CX重視型のコールセンターを目指すのであれば、顧客の総合的な評価に影響を与える要素ごとに満足度や不満足度を測定し管理する必要があります。
②顧客満足は全体最適化、顧客体験は個別の最適化。
顧客満足調査では総合的な評価が出るわけで、そこに個人の顔は見えません。
一方で顧客体験とは、あくまで個の体験を良くしていこうというもので、それを突き詰めようとすれば、特定のルールに従って画一的に行われるマニュアル的な応対では実現しません。
CX重視を目指すコールセンターの行きつく先は「脱マニュアル」に他なりません。
オペレーターの一人ひとりに一定の権限を与え、状況によってオペレーターの判断で、ルールに無いことでも決断・決済できるようにする必要があります。
これを実行できているのは、ディズニーランドです。
たとえば園内を掃除している人がいたとします。
彼の仕事は園内の清掃です。決まったエリアを決まった時間、常に清潔に保つことを要求されています。
そこで迷子の子を見つけたとします。
そうすると、その清掃員は掃除そっちのけで、親御さんの元へお子さんを戻すべく全力をあげます。
結果的に親御さんが見つかることで、この家族は喜び清掃員に感謝します。
これをディズニーランドでは素晴らしい行為として褒めたたえます。たとえその時間、彼本来の責任である清掃義務を果たしていなかったとしてもです。
また、外資系クレジットカードのコールセンターでは、SVに数百万円の決裁権限が付与されており、その範囲内であれば、SVの判断で決済の決断を下すことができるようになっています。これによって、顧客の緊急度や事情に応じてすぐに決断することができます。
この仕組みにするために、この会社ではSVの任命基準を厳格にしています。そして会社で正式に承認された教育プログラムを作り、試験に合格した者だけがSVに任命されます。
「ルールの逸脱」や「ルールに無いこと」に対して日本企業は慎重ですが、「脱マニュアル」化のためには、
●まずコールセンターの目的や使命(ミッション)を明確にすること。
●経営がコールセンターのミッションを理解し、支援すること。
●コールセンター従業員がミッションにもとづいて行動できるよう、徹底的に教育して理解させること。
以上の3つが必要です。
NPS(ネットプロモータースコア)
顧客満足度調査に代わるものとして、昨今あちこちで声高に叫ばれているものですね。
顧客の推薦意向を聞くもので、私も当初はあまり関心が持てませんでした。
あちこちのセミナーなどを聞いてまわるうちに、やっとその意味が分かってきました。
そもそもこのNPSが注目されたのは、GM(ゼネラル・モーターズ)の倒産からのようです。
かつて自動車業界で世界一の販売台数を誇っていたGM。
様々なアナリストたちが倒産の原因を分析したところ、前年までのGMの顧客満足度調査では非常に評価が高いことが分かりました。
「顧客満足度の評価が高い企業がなぜ潰れるのか?」
このことから、顧客満足にもとづく経営に疑いがもたれ、それに代わるものを探す中で、NPSにスポットライトが当てられました。
そのNPSとはどんな仕組みなのか、簡単に説明します。
NPSでは、企業(あるいは、製品、サービス、ブランド)を友人や同僚に薦める可能性を0~10点で回答してもらいます。
顧客満足度とNPSの違いとは
どちらも顧客の不満や課題を見つけ解決するための“手段”ですが、NPSは業績との相関が高いことが立証されており、収益性とより密接に結びついている点が異なります。
COPC CX規格(世界的なコールセンターのマネジメント規格)では、顧客の満足と不満足の測定と管理を要求していますが、NPSをその管理に適用するのは有効性が低いとして推奨していません。
これはNPSが企業ブランドや商品、サービス全てのプロセスに影響するものであり、その一部分であるコールセンターのみにフォーカスしたものではない、ということのようです(したがって特定のチャネルに焦点を絞ったアプローチであれば問題ないとしています。)
この顧客満足度とNPSの違いを生み出すのは、その改善アプローチで、これこそがNPSを有効とする核心の話になります。
顧客満足度とNPSの改善アプローチの違い
顧客満足度とNPSの着眼ポイントの違いについて、図で説明します。
5段階評価で顧客満足度の調査をした場合、上記のような結果が出たとします。
普通であれば、改善対象として「とても不満」、「不満」にまずフォーカスしますね。
しかしどうでしょうか?
その二つの層の合計数はたいてい少ないものです。
しかも不満を解消したところで、その企業の商品やサービスを気に入ってくれるとは限りません。
さらには、「とても満足」、「満足」と評価した層についても、その企業のファンとなって再購入するわけではないということも、顧客ロイヤルティの世界では常識となっています。
それではNPSだとどうなるのか。
仮にNPSの0~10点の推薦意向を、分かりやすく満足度結果に分散して当てはめるとすると、以下の図のようになります。
たとえ満足であると評価したグループにも、推奨意向となるとそれぞれに温度差がみられます。
ECサイトのカスタマーレビューサイトをみると、よくありますよね。
同じ星の評価でも、全面的に支持する人もいれば、ひとつふたつ課題を挙げたうえで賛成する人、批判的ではあるけどこの点は評価できるという人。
NPSはそれらの「批判者(6点以下の人)」や「中立者(7~8点の人)」をあぶりだします。
そして例えば「批判者」にフォーカスして、その問題の解決を目指す。
改善によって「肯定的に評価する層が増えること=改善効果が高い」ということになります。しかももともと「満足」、「とても満足」している層は、いっそう満足して熱狂的なファンになってくれる可能性も高まります。
このことが、NPSは業績との相関が高いことにつながっているわけです。
これからの顧客満足度管理はどうする?
NPSはあくまでも全社的かつ全プロセスで取り組む課題であり、その一部であるコールセンターだけで取り組んでも、なかなか効果を上げることができません。
とはいえ顧客の不満を改善する取り組みに無駄はなく、顧客の声に耳を傾けて課題を改善することは大事です。
これまでは顧客満足度調査票を、顧客へ直接郵送したり、電話をかけて調査したりする方法が一般的ですが、もっと効果的な取り組みをする企業が増えてきました。
従来の顧客満足度調査で得られる情報は、あくまでも総合的な評価です。
前の章で述べた「顧客体験」の観点で見るならば、これだけでは不十分です。
そこでIT系を始めとする、顧客のメールアドレスを登録している企業では、電話応対後にアンケートサイトの案内メールを送り、今の応対についてどうだったか顧客の声を収集しています。
その情報と応対者が紐づけられているので、回答結果をオペレーターの教育に活用できるだけでなく、顧客満足度の評価と社内の応対品質評価との整合性も保てます。
コールセンターマネジメントの観点でみるなら、ここまでやりたいところです。
とはいえ、顧客のメールアドレスを取得できる企業は限られているし、また顧客登録のない見込み客になると不可能です。
でもBIZTELユーザの方であれば、アンケート機能(オプション)を使えば、全ての顧客の声を応対終了後にすぐに収集することができます。
アンケート機能
アンケート設計画面からアンケートを作成できます。
質問に対し、プッシュボタンで番号を入力して回答します。
質問音声は、各社で音声データを用意しアップロードします。
アンケートは最大10問まで作れますが、あまり作り過ぎると顧客が面倒に感じて途中でやめてしまうので、30~60秒以内で回答できる程度が望ましいでしょう。
集計結果は画面上でも、ダウンロードしてExcelでも確認できます。
オペレーターの応対スキル向上や運営改善をしたいとお考えの方は、是非この機能の活用を考えてみてはいかがでしょうか。
*【ゼロから学ぶコールセンターのKPI(管理指標)】
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離職をマネジメントする(離職率と離職コスト)
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