オムニチャネルとは?新時代のコールセンターに求められる対応を徹底解説!

近年、コールセンターには「オムニチャネル化」が求められています。
しかし、具体的にオムニチャネル化をどう進めるべきか、頭を悩ませている企業は少なくないでしょう。

CX(カスタマーエクスペリエンス=顧客体験)が重視される今、オムニチャネル時代に合わせたコールセンターはどう構築すべきなのでしょうか。
この記事では、オムニチャネルの概要や関連用語に加え、顧客接点が多様化する現代のコールセンターに求められる役割や必要なシステムについて解説します。

オムニチャネルとは

オムニチャネルの概念

オムニチャネルは、一言で述べると「企業と顧客の複数の接点(チャネル)を連携させ、顧客へのアプローチを強化する戦略」です。

主にEC(Electronic Commerce=電子商取引)の分野で提唱された考え方で、オンライン・オフラインを問わず様々な販路からアプローチして、一貫した顧客体験を提供します。

オムニチャネル化が進めば、顧客は時間や場所にとらわれずに、企業の製品・サービスが購入できるようになります。その結果、顧客満足度が向上し、リピート率や売り上げアップが期待できるでしょう。

オムニチャネルに注目が集まる理由

オムニチャネルに注目が集まる理由の一つに、スマートフォンやECの普及が挙げられます。

スマートフォンを使い、ECで商品を購入することが日常的となった現代において、実店舗運営のみに軸足を置くマーケティング戦略では販売機会を失いかねません。

経済産業省が2021年に取りまとめた「電子商取引に関する市場調査 ※1」によると、全取引に占めるECの比率は年々増加の傾向にあり、2020年には物販系分野のEC市場規模が12兆円にものぼりました。特に書籍や映像・音楽の分野では、全体の約43%がEC化されています。
そのほかにも、生活雑貨では約26%、家電やAV機器では約37%と、いまや身の回りにある多くの製品がオンライン上で売買されている状況です。

同時に、SNSや口コミサイトなどで商品やサービスの評判を確認してから購入することも一般的になりました。消費者は店舗やECといった単独の接点で見るのではなく、複数のチャネルを通してブランドを総合的に評価します。

商品がどれだけ優れていても、Webサイトの質が悪く使いにくかったり、口コミサイトでの評判が悪かったりすれば、購入に踏み切る消費者は減ってしまうでしょう。そこで、様々な接点を連携させて顧客にアプローチするオムニチャネル戦略に注目が集まっています。

※1 経済産業省:令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)https://www.meti.go.jp/press/2021/07/20210730010/20210730010.html

オムニチャネルとマルチチャネル・O2O・OMOの違い

オムニチャネルに関連する用語に、マルチチャネル・O2O・OMOがありますが、どのような違いがあるのでしょうか。以下で解説していきます。

マルチチャネルとは

マルチチャネルとは、「顧客との接点(チャネル)が複数ある状態」を指します。
具体的には、店舗での対面接客に加え、メールや電話・SNSなどいくつかの接点を確保し、顧客が求める商品やサービスを提供することです。ただし、単にそれぞれの接点が存在するだけで連携はされていない状態であり、チャネル間のシナジーを生み出すオムニチャネルの一歩手前の段階といえます。

O2Oとは

O2Oは「Online to Offline」の略称で、インターネットから実際の店舗へ顧客を誘導するマーケティング施策のことです。近年では、可処分時間の多くをスマートフォンの利用に費やす人が増え、オンラインネットワークを活用したマーケティング活動が重要視されています。そのような状況に対応すべく、オンライン上のコンテンツによってオフラインでの集客を強化するのがO2O施策です。具体的には、企業のWebサイトやSNSでイベント情報を発信したり、割引クーポンを発行したりして実店舗に誘致するといったことが行われています。

OMOとは

OMOは「Online Merges with Offline」の略称で、オンラインとオフラインを融合し、より良い顧客体験を提供するという考え方です。インターネットから実店舗に顧客を誘導するO2Oの概念が進化した形態といえるでしょう。具体的な例として、シェアリングエコノミー ※2を活用したフードデリバリーサービスや、インターネットで事前注文した商品が店舗で受け取れるサービスなどが挙げられます。

※2 シェアリングエコノミー:個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸出しを仲介するサービス

コールセンターのオムニチャネル化とは

それでは、コールセンターにおけるオムニチャネル化とはどのような戦略なのでしょうか。以下で解説します。

コールセンターにおけるオムニチャネルとは

コールセンターにおけるオムニチャネルは、ECの分野で提唱された概念とはやや意味合いが異なります。

ECにおけるオムニチャネルでは「チャネル=販路」として考えられています。一方コールセンターでは「チャネル=コミュニケーション手段」です。

現代のコールセンターには、電話以外にもEメール・FAX・チャット・SNS・アプリなど様々なコミュニケーション手段(チャネル)が存在します。そして、これらすべてのチャネルで同じサービスレベルを維持することが重要となります。

どのチャネルでも一定のサービスレベルが維持できれば、顧客は時間や場所にとらわれず企業にアクセスできます。その結果、顧客との絆が深まり、ファン層の形成や良質な情報の収集へとつながるわけです。これは、売り上げの向上や新たな製品・サービスの開発に役立つといえます。

オムニチャネル戦略をサポートするためのコールセンター

さらに、コールセンターには、販売・マーケティング戦略におけるオムニチャネル化(= 多様な販売経路により顧客へのアプローチを強化する施策)を支援する役割も存在します。実店舗・ECを問わず様々なチャネルで購買された商品・サービスに対するサポートがその一つです。コールセンターは、顧客の商品購入やサービス利用の履歴が把握できるシステムを活用し、一貫した対応を実現する必要があります。

このように、コールセンターにおけるオムニチャネルとは、「顧客とのコミュニケーション手段・経路の多様化」と「それぞれの販売経路で購買された商品・サービスのサポート」という2つの役割を意味しています。

オムニチャネル時代に求められるコールセンターの役割

ICT(情報通信技術)の発達により、顧客は様々なチャネルを横断しながら企業にアクセスできるようになりました。電話・Eメール・SNS・チャットのどれを使うかは、顧客の状況によって変化します。

コールセンターでは、移り変わりの激しい顧客行動に対応しつつ、顧客との関係を深めなければなりません。以下では、オムニチャネル時代のコールセンターに求められる役割についてまとめました。

① 顧客の問題解決(顧客満足度の向上)

顧客はコールセンターを通じて、製品やサービスに関する様々な疑問を解決しようと試みます。これにスムーズかつ迅速に対応できれば、良質な顧客体験を提供できるでしょう。

良質な顧客体験の提供は、満足度の向上につながり、ファン層の形成を促します。また、製品やサービスを通じて顧客が感じたマイナスポイントを補うという役割も見逃せません。

このような取り組みを実現するには、顧客と直接対話するオペレーターへの支援が重要となります。

例えば、顧客とのトーク内容をSV(スーパーバイザー)がモニタリングし、難しい応対の場合には「ささやき機能」などを用いてサポートすることで、迅速な問題解決につながるでしょう。

② 顧客接点の強化

顧客満足度を高めるためには、顧客がなぜ不安や疑問を感じたのかを分析し、解決しなくてはなりません。

このとき、様々な角度から効率的に情報収集ができれば、より早く的確に解決できます。その原動力となるのがオムニチャネル時代のコールセンター(コンタクトセンター)です。複数のチャネルを用いて多角的な情報を迅速に吸い上げられるよう、顧客接点の強化が求められています。

例えば、若者世代を中心に電話が苦手な人が増えている傾向を踏まえ、問い合わせやすくなるようにチャットボットや有人チャットを用いたテキストベースの顧客接点を設けることも有効でしょう。

また、各チャネルでの顧客との会話内容を記録してCRMなどに蓄積し、過去の問い合わせ内容や経緯を参照しながら応対することで、顧客の疑問や課題を掘り下げて解決することができます。

③ 顧客の“声”の蓄積と昇華

顧客から寄せられる「声」には、製品やサービスの開発に役立つ情報が含まれています。

ただし、単に顧客からの声を集めただけでは、有益な情報とはいえません。それらを企業の成長材料にするには「データ化」が必要です。コールセンターには、日々寄せられる「声」を数値化し、企業が活用しやすい形に昇華させる役割が期待されています。

例えば、コールセンターシステムを通して会話内容を録音し、音声認識AIでテキストデータ化して分析するといったことが考えられます。近年の音声認識AIは十分に実用化できる性能を持っているため、これまで時間がかかっていた通話の確認・分析やコールリーズンの集計を効率的に行うことができるでしょう。

これら3つの役割を果たすためには、「IT技術を活用した組織的な変革」が必要です。つまり、コールセンターを支えるシステムの選定が重要になってくるのです。

前述したように、ささやき機能などによるオペレーター支援や複数のチャネルの管理、音声認識AIとの連動など、高度な機能を実現できるシステムの採用がオムニチャネル化における有力な選択肢となるでしょう。

オムニチャネル時代のコールセンターを支えるシステム

コールセンターを支えるシステムとしては、主に以下の3つが挙げられます。

コールセンターシステム

コールセンターシステムでは、コンピューターと電話を統合する「CTI」や、顧客からの問い合わせに自動応答する「IVR」など、センター運営に欠かせない機能を提供しています。
例えば、CRMと連携して顧客の属性や履歴を確認しつつ問い合わせ対応を行うことが可能になります。
顧客とスムーズなやりとりができるようにするためには、充実した機能を持つコールセンターシステムの利用は必須といえるでしょう。

カスタマーサービスプラットフォーム

カスタマーサービスを補完・強化する様々な機能を統合したソリューションが「カスタマーサービスプラットフォーム」です。
カスタマーサービスプラットフォームには、リアルタイムチャットや問い合わせのチケット化、録音共有、通話時間分析に加えて、LINEやTwitterなどのSNSと連携しながら顧客応対が進められる機能があります。さらに、製品によっては、チャットボットやリアルタイムチャットに寄せられた問い合わせのうち、複雑なものだけオペレーターに引き継ぐといった利用が可能です。これらの機能もコールセンターのオムニチャネル化に有効です。

AI

顧客からの声を集積・テキスト化し、さらに社内資料として再構築するためには、AIの導入が不可欠といえます。チャットボットの導入や、音声認識による会話のテキスト化・要約、トーク内容の解析、応対記録の自動化など、コールセンターにおいてAIが活躍する場面は多々あります。

このようにコールセンターを支えるシステムは様々あるものの、具体的にどれから導入すべきか判断に迷うこともあるでしょう。その場合は、「コールセンターシステム」を起点とした拡張がおすすめです。コールセンターシステムを中心に、カスタマーサービスプラットフォームやAIの機能で補完・強化・カスタマイズを進める方法です。

その際、他システムとの連携実績が豊富なコールセンターシステムを選ぶことも重要になります。AIやカスタマーサービスプラットフォームと連携可能なAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を提供しているものであれば、オムニチャネル化により対応しやすくなるでしょう。

まとめ

この記事では、オムニチャネルの概要や関連する概念との違い、顧客接点が多様化する現代におけるコールセンターの役割について解説しました。
良質な顧客体験を提供して満足度を向上させるためには、オムニチャネル時代に対応したコールセンター運営が欠かせません。まずは体制構築の中心となるコールセンターシステムについて、ベンダーに問い合わせてみてはいかがでしょうか。

 

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