あなたの敬語、大丈夫?言葉のテスト【敬語編】その2
前回の敬語テストはいかがでしたか。
※「あなたの敬語、大丈夫?言葉のテスト【敬語編】」
基本のなかでも間違いやすいものを中心にテストしました。
今回はその第2弾。
引き続き、意外と勘違いしていることや、間違いやすいものを中心に問題を用意しました。
問題は10問(一問10点)
合格ラインは70点。
制限時間は10分です。
※解答は文末【解答編】参照。
目次
敬語テスト
答とその理由もあわせて考えてください
(理由や正しい言い換えが大事です)。
※設問をよく読んでくださいね(先入観や思い込みがあると引っかかります)
問題1
次の言い方は正しい?
(×なら正しい言い方は?)
a:「それでは説明いたします」
b:「それでは御説明します」
問題2
次の言い方は正しい?
(×なら正しい言い方は?)
「お客さまもこの店をよく御利用されるのですか?」
問題3
次の言い方(赤い部分)は正しい?
(×なら正しい言い方は?)
電話応対の最後にお客さまから、当社のサービスについて要望がでたので、「はい、そのように申し伝えておきます。」と返事した。
問題4
次の言い方は正しい?
(×ならその理由は?)
お客さまに対し、
a:「御利用いただきましてありがとうございます」
b:「御利用くださいましてありがとうございます」
問題5
次の言い方(赤い部分)は正しい?
(×なら正しい言い方は?)
「分かりにくい」や「読みやすい」を敬語で伝えるため、「お分かりにくい」「お読みやすい」と言った。
問題6
次の言い方(赤い部分)は正しい?
(×なら正しい言い方は?)
電話オペレーターに「詳細については、担当者に伺ってください」と言われた。
問題7
次の言い方(赤い部分)は正しい?
(×なら正しい言い方は?)
電話オペレーターから「来週の日曜日に消防設備等の点検に伺いますが、ご在宅する必要はありません」と言われた。
問題8
次の説明(赤い部分)は正しい?
(×なら正しい言い方は?)
「こちらの書類に書いていただいてもよろしいですか」と言うのは、敬語として間違ってはいないものの、コールセンターのオペレーターが使う言葉として適切とは言い難い。
問題9
次の言い方(赤い部分)は正しい?
(×なら正しい言い方は?)
電話オペレーターがお客さまへ、「書類はおそろいになりましたでしょうか」と聞いた。
問題10
次の使い方のうち間違っているものはどれ?
その理由は?
a:お読みになられる
b:お見えになる
c:お伺いいたす
問題は以上です。解答はこのブログの最後にあります。
オペレーターの方であれば50点以上、SV以上の方であれば70点以上はほしいところです。
「させていただく」問題の原因はSNSにある?
前回のテストでも取り上げましたが、「させていただく」という表現がよく使われています。
「先日、○○さんの家に行かさせていただきまして~」
「この度、主役を演じさせていただくことになりました○○です。」
テレビ等でも芸能人が盛んに使っていますね。
そんななか、ネットで見かけたある個人の意見が、この「させていただく」が最近なぜ増えているのかについて的を射ているような気がしました。
こんな感じです(一部抜粋)。
「昔からあったと思うが、最近増えたのは、あらゆることに対する批判が本人に強く伝わるようになったからではないか。
例えば芸能人なら、アイドルです!といえば良いけれど、『お前なんかがアイドル名乗るな』『ブス』『テレビ出るな目障り』など暴言が飛んでくるわけです。
SNSがあればダイレクトに。
毅然としてれば良いけれど、そういった人ばかりでは無い。
だから最初からへりくだることで批判を受けない、批判を最小限にしたいという感情から無意識に言葉に出てきているのでは?
飲食店、宿泊施設なども『消毒を徹底しております』といった伝え方で良いけれど、一部のクレーマーがバイキン扱いするななどとわめきだす。こういった客に多くの方は出会ったことがあると思います。だから下手に出てしまうのでしょう。」
みなさんはどう考えますか。
解答編
問題1
両方とも○
「説明いたす」は相手に対してへりくだる謙譲語Ⅱで正しい。
「ご説明します」について、通常「お」や「御」は自分のことにつけてはいけないが、それが向かう先を立てる場合であれば、謙譲語Ⅰとしてまったく問題がない。
問題2
×
「ご~する」の謙譲語Ⅰと、「れる」の尊敬語の二重敬語になっている。
正しくは「利用される、利用なさる、御利用になる、ご利用なさる」。
問題3
○
「申す」は謙譲語Ⅱで、相手であるお客さまに対して改まって述べたものであるため、問題のない使い方。
問題4
両方とも○
「御利用いただく」は謙譲語Ⅰ、「御利用くださる」は尊敬語。立てるべき対象がどちらも同じであり、また恩恵を受けるという認識を表す点も同様であるため、どちらの言い方も適切。
問題5
×
「お分かりになりにくい」「お読みになりやすい」
(分かり+にくい)のように「動詞+形容詞」を尊敬語にする場合は、動詞の部分だけを尊敬語にする。
「分かる」なら「お分かりになる」、「読む」なら「お読みになる」として、それに「~にくい」「~やすい」を付ければよい。
問題6
×
「担当者にお聞きください、担当者にお尋ねください」
「伺う」の謙譲語Ⅰは客の動作に用いる敬語ではない。
「伺う」は謙譲語Ⅰであって、「聞く・尋ねる」という動作の<向かう先>を立てる敬語である。したがって、「受付の人」側の人物である担当者を立ててしまうことになり、尋ねた客を立てる敬語とはならない。
同様に、「お聞きする」「お尋ねする」といった敬語も、「伺う」と同じ謙譲語Ⅰである。したがって、「担当者にお聞きしてください。」「担当者にお尋ねしてください。」なども「伺う」と同様に、客の動作に対しては用いることができない。
問題7
×
「ご在宅なさる必要~、ご在宅の必要~」。
「ご~する」の謙譲語Ⅰで在宅している相手を立てる場合は尊敬語を用いる。
「御在宅する」に問題がある。「ご……する」は謙譲語Ⅰを作る形式だからである。
この場合は、在宅している相手を立てて表現したい場合であるので、「御在宅なさる必要…」あるいは、より簡潔に「御在宅の必要…」などと尊敬語を用いるべきである。
問題8
○
依頼や指示の表現で済むところを、わざわざ相手の許可を求める言い方にしているため、回りくどい印象を与えている。
「書いていただけますか」でよい。
指示や依頼が簡潔にできる状況であれば,こうした回りくどい印象を与える表現は用いない方がよい。
問題9
×
「お~なる」は尊敬語で、書類を立てていることになるため不適切。
「書類はそろいましたでしょうか」でよい。
問題10
a:×
b:○
c:○
「お読みになられる」は、「読む」を「お読みになる」と尊敬語にした上で、更に尊敬語の「……れる」を加えたもので、二重敬語である。
「二重敬語」は、一般に適切ではないとされているものの、語によっては、習慣として定着し認められるものもある。
【習慣として定着している二重敬語の例】
- (尊敬語) お召し上がりになる、お見えになる
- (謙譲語Ⅰ)お伺いする、お伺いいたす、お伺い申し上げる