コンタクトセンターにおけるマネジメントの重要性と役立つシステム・機能
「良好な顧客接点の構築」は、ビジネスの発展において重要なテーマとなっています。そのため、顧客接点を担うコンタクトセンターの役割も拡大しています。
コンタクトセンターの力を引き出すためには、相応のマネジメントが必要です。また、限られたリソースで顧客満足度向上・オムニチャネル対応などのミッションを担うにあたり、ICTシステムの有効活用が必須といえるでしょう。
ここでは、コンタクトセンターにおけるマネジメントの流れと、役立つシステム・機能を紹介します。
目次
コンタクトセンターのマネジメントが重視される背景
まず、なぜコンタクトセンターのマネジメントが重視されるようになったのか、その背景を整理しておきましょう。
守りの部門から攻守両方を担う部門へ
以前は、コンタクトセンターに求められる役割は限定的であり、苦情処理やサポート対応といった「守り」の要素がメインでした。近年では、これら守りの要素に加えて「売上の増加・契約率の向上・解約率の低下」といった攻めの要素が求められています。
ライフスタイルの変化による需要増
ECの利用やインターネットを通じたコミュニケーションが当たり前の時代になりました。また、電話がコミュニケーションのメインだった時代に比べると、顧客が使用できる経路(チャネル)が増えています。こういった経路の多様化(オムニチャネル化)により、コンタクトセンターの需要が伸びていると考えられます。
ビジネストレンドの変遷
サブスクリプション型ビジネスの台頭により、顧客体験やカスタマーサクセスが重視され、コンタクトセンターの対応も商品・サービスの一部として認識されるようになりました。商品・サービスを適切に管理し、質を向上させるために、マネジメントが一層重視されているのです。
こういった背景の中、コンタクトセンターは「コストセンター」から「プロフィットセンター」としての側面が強くなっています。コンタクトセンターのマネジメントが、企業の業績に直結する時代になった、と言っても過言ではないでしょう。
コンタクトセンターに必要なマネジメントとは
では、コンタクトセンターに必要なマネジメントとは、一体どのようなものなのでしょうか。コンタクトセンターの実情を踏まえて、整理してみましょう。
3つの視点によるマネジメント
「人材マネジメント」「業務マネジメント」「成果マネジメント」という3つの視点からマネジメントすることが重要です。具体的には、次のようなものが該当します。
①人材マネジメント(オペレーター・SVのマネジメント)
- 稼働状況に応じた人材の適切な配置
- オペレーター・SVの応対スキル・知識・マナーなどの品質を向上させるための評価指標の策定
- オペレーター・SVの教育体制構築
②業務マネジメント(センター全体の対応品質向上・効率化に関するマネジメント)
- コールフロー及び後処理の事務フロー効率化
- トークスクリプトやシステムなど、ツールの導入・改善による顧客対応品質の向上
- CRMなどのツールの使用による効率的な顧客情報の収集
- ツールを通じて収集した情報にもとづく対応ノウハウの構築
③成果マネジメント(応答率やクレーム件数など、各指標に関するマネジメント)
- 電話の繋がりやすさ(応答率)の管理と改善
- 苦情/クレーム件数の把握と低減
このように、3つの視点からのマネジメントを実施することで、コンタクトセンターのパフォーマンスは向上していくと考えられます。
コンタクトセンターのマネジメントに役立つシステム・機能とは
ではここで、コンタクトセンターでのマネジメント施策をサポートするシステム・機能を紹介します。
コンタクトセンターのマネジメントに役立つシステム
- クラウド型コールセンターシステム(顧客対応品質やリソースの管理、分析機能の強化)
- CRM(顧客情報の収集・管理)
- SFA(営業プロセスの管理・共有)
コンタクトセンターのマネジメントに役立つ機能
①人材マネジメント
- 稼働状況モニタリング機能(人材の適正配置)
- オペレーターのステータス管理機能(人材の適正配置)
- 通話録音機能(通話内容の分析と、オペレータへの教育・評価体制の構築)
- 通話音声モニタリング機能(対応品質管理)
- クラウド型の動画教育サービス(オペレーターやSVのスキル・知識・マナーの向上)
②業務マネジメント
- IVR(音声ナビによる効率的なコールの振り分け)
- ACD(自動振り分けによる効率的なコールの振り分け)
- CRMとの連携機能(顧客情報の収集、対応履歴の管理・共有、対応ノウハウ構築)
③成果マネジメント
- 通話の件数・時間やサービスレベルの集計、オペレーターごとの応対状況レポートなど、各種レポート作成機能(応答率・苦情・クレーム数の把握と改善)
このようにマネジメント施策に対応した機能を整理していくと、その多くがコールセンターシステムに含まれていることがわかります。
コールセンターシステムは、コンタクトセンター全体の管理・統制や情報のリアルタイム性を強化することができます。さらに、CRMやSFAといったシステムと連携することで、マネジメントの精度向上が見込めるでしょう。また、クラウド型コールセンターシステムを活用すれば、システムの導入・運用コストを最小限に留めることも可能です。
まとめ
本稿では、コンタクトセンターのマネジメントが重視される背景と、具体的なマネジメント施策、それを支えるシステム・機能について解説してきました。
顧客体験や顧客満足度が重視される時代になり、顧客との接点強化を経営上の重要課題として掲げる企業が増えています。こういった流れの中で、コンタクトセンターのマネジメントが注目されるのは自然なことなのかもしれません。なぜなら、マネジメントの成否は、センター全体のパフォーマンスを大きく左右するからです。
コンタクトセンターのマネジメントを成功させるためには、適切なツールの活用が不可欠です。コンタクトセンターの強化を検討しているならば、専門知識とノウハウを持ったベンダーへの問い合わせをおすすめします。