コールセンター在宅化のメリットとポイントとは?【事例付き】
コロナ禍を背景に、在宅勤務でコールセンター業務を実施するケースが増加しています。人材難が続くオペレーター・SVの確保の観点からも有効な取り組みですが、一方で品質の維持やスタッフへの適切なフォローができるかなど、実現にあたって不安を感じる要素も多いのではないでしょうか。
この記事では、コールセンターを在宅化するメリットに加え、必要となる体制や仕組み作りのポイントを解説しつつ、実際に導入した企業の事例を紹介します。
目次
コールセンター在宅化の概要とメリット
コールセンターの在宅化がますます進んでいる
テレワーク・在宅勤務が一般的に浸透してきたことで、コールセンターも在宅化の波が押し寄せてきています。コールセンター を在宅化する場合には、オペレーターやSVなどが自宅でコールセンター業務を行うことになるため、携帯電話やソフトフォン(PC上で操作する電話機)などを利用して受電し、顧客対応をします。2019年頃まではBCP対策をしている一部の企業が実施する程度に留まっていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の防止を目的として急速に普及が進みました。
また、こうしたコロナ禍の状況から、問い合わせをする顧客からも在宅での電話応対が許容される風潮になってきています。
コールセンターの在宅化を導入するメリット
それでは、コールセンターの在宅化にはどのような効果が存在するのでしょうか。ここでは3つの主なメリットをご紹介します。
メリット1:業務継続性の確保
緊急時や災害時など、オフィスに出勤することが困難な場合でも自宅から遠隔で業務ができ、センター運営の中断を避けることができる。
メリット2:コスト削減
オフィススペースを節約することができるため、賃料・設備費用・光熱費などのコストを削減することができる。
メリット3:従業員の満足度向上
通勤時間の削減や子育てのしやすさ等のメリットがあり、満足度の向上が期待できる。また、人材難が続くオペレーター・SVの採用活動においても有利に働く可能性がある。
必要な体制・仕組みのポイント
当然ながら、在宅勤務であってもオフィス同様のレベルでオペレーションをすることが求められます。ここでは、業務品質を維持しながらコールセンターの在宅化を実現する際に必要となる体制や仕組みについてポイントを解説します。
品質の維持
在宅勤務であってもパフォーマンスを落とさないためには、システム・通信環境の整備が不可欠です。音声の品質はもちろんのこと、遠隔でもSVが適切にオペレーターを支援できる仕組みを導入し、応対品質も維持できるように注意します。
また、緊急時にはテレワークへの切り替えをスムーズに行って、業務を継続する必要があります。そのため、ベンダーに依頼しなくても現場で即座に設定変更が行えるシステムを利用することも重要です。
見える化
在宅勤務ではオペレーターの顔が見えません。よって、応対状況やトラブル発生の有無などを確認するためには、システムを活用した状況の把握が必要となります。
オペレーターの業務ステータスを可視化する機能や、通話内容をリアルタイムでテキスト化する音声認識サービスを活用することで、テレワーク中でもコールセンターの全体像を把握し、適切な管理を実現することができます。
公平性
特定のオペレーターに業務が偏るような体制では大きな不満を招いてしまいます。不公平感を与えないためには、着信を順番かつ均等に回すことはもちろん、受電件数や通話時間などの情報を個人ごとに集計して把握・評価することも大切となります。
セキュリティ
在宅勤務は管理の目が行き届きにくいため、セキュリティ維持にあたって、ルール面とシステム面の両方から必要十分な対応をすることが求められます。
ルール面での対応では、個人情報の非開示契約を交わしたり、就業規則における懲戒規程を設けたりすることが挙げられます。また、システム面では、VPN等による通信経路の暗号化、高度な認証方法の利用、ファイル・データへのアクセス権の適切な設定などを行います。
一方で、過度に監視を行うことで従業員の心理的安全性(サイコロジカルセーフティ)を失うリスクもあります。例えば、常にカメラやキーロガー等で状況を監視されることは、多くの従業員にとって大きな負担となります。心理的安全性を維持するためにも、過剰な管理を避けることが重要です。
コールセンター在宅化の事例を紹介
在宅環境でもコールセンター業務が実現できるサービスとして、クラウドPBXの「BIZTEL」が挙げられます。以下では、同サービスによって在宅勤務を実現した株式会社カカクコム・インシュアランスの事例を紹介します。
コールセンター在宅化までの流れ
コロナ禍になる以前、同社のコンタクトセンターでは、それまで利用していたオンプレミス型PBXの保守契約の期限切れがきっかけとなってBIZTELにリプレイスし、
- ベンダーに依頼しなくても、自社の担当者が短い時間で設定変更が行える体制の構築
- オペレーターの業務状況やコール件数のリアルタイムでの可視化
などを実現していました。
新型コロナウイルスの感染が拡大してからは、モバイル端末でコンタクトセンターへの問い合わせが受電できるようになるFMCサービス「BIZTELモバイル」も活用。オペレーターに携帯電話を配布することで、スムーズに在宅勤務を開始することができました。
なぜ円滑に実現できたのか
同社が円滑にコールセンターの在宅化を実現できた要因として、以下の点が挙げられます。
在宅勤務をサポートする機能の活用:
顧客との会話を確認しながら、オペレーターだけに聴こえる音声でフォローが行えるモニタリング・アドバイスや、BIZTELと音声認識サービスの連携によるリアルタイムでの通話テキスト化といった機能を活用。在宅勤務をするオペレーターへのサポート体制が整い、安心感が生まれた。
クラウドPBXへのリプレイス:
あらかじめクラウド型のPBXにリプレイスしていたことで、オペレーターをサポートするための機能がテレワーク中でも利用できた。
BIZTELモバイルの活用:
在宅勤務を行うオペレーター向けにBIZTELモバイルの携帯電話を配布。導入にあたっての手間が少ないことに加え、携帯電話網を介して通話するため音声がクリアであるといったメリットがあり、品質を落とすことなく短期間で移行ができた。
まとめ
この記事では、コールセンター在宅化のメリットや仕組み作りのポイントについて解説するとともに、スムーズに実現できた企業の事例として株式会社カカクコム・インシュアランスを取り上げました。
テレワークは一過性のものから継続的なものとして定着しつつあります。今後、在宅勤務でのコールセンター運営も一般的なものとして普及していくでしょう。ぜひ本記事を参考に取り組んでみてください。