コールセンターシステムとクラウドAI「MSYS Omnis(エムシス オムニス)」の連携によるメリット
コールセンター強化の「次の打ち手」として、AIの活用が広まっています。今後、人手不足対策と対応品質向上の両立がますます求められていく中で、AIと連携したコールセンターシステムの活用は必須の対策になるかもしれません。
AIの活用が進めば、通話内容のテキスト化・ナレッジ化、問い合わせ対応にかかる負荷の低減などが期待できます。
本稿では、コールセンターシステム強化対策としてのAI活用に加え、具体的なサービスの例として「MSYS Omnis(名称:エムシス オムニス)」を取り上げて解説します。
目次
コールセンターシステムにAIを導入すべき理由
AIは、コールセンター業務と親和性が高い技術であるといわれます。特に、問い合わせ内容の自動テキスト化が可能な「音声認識AI」は、顧客との会話を自社の資産に転換する技術といえるでしょう。
テキスト化した問い合わせ内容を蓄積することでナレッジベースを構築し、業務に活用することが可能です。
音声認識AIの利用が進めば、多くのコールセンターが抱える課題の解決につながるでしょう。
コールセンターが抱える3つの課題
では、コールセンターが抱える課題とはなんなのでしょうか?
その課題とは、次の通りです。
慢性的な人手不足
コールセンター業界は慢性的な人手不足に陥っています。人材獲得競争が激化している昨今、計画通りに人員補充を進めるのは非常に難しいといえるでしょう。AIによって自動化・業務効率化が進めば、少ない人数でも効率的な稼働が可能になります。
応対品質向上やノウハウの標準化
当然ながら、オペレーターの能力にはばらつきがあります。そのため、応対品質に大きな差が出てしまったり、能力の高いオペレーターへ業務が偏ってしまったりするなどの問題が発生しがちです。
AIを活用することで、これまで属人的だったスキル・ノウハウが補えるようになり、応対品質の標準化が進むでしょう。例えば、会話の中で出てきた特定のキーワードを音声認識によって検出し、その内容に応じたFAQを自動で出すといった設定をすることで、応対のばらつきを解消することができます。
コミュニケーションデータの加工・蓄積
顧客との会話内容には、製品やサービスを改善するヒントが眠っています。しかし、通話内容を録音しているにも関わらず、それらのデータをナレッジとして活用できていない企業も少なくありません。AIは、通話や録音を自動的にテキスト化し、ナレッジとしてまとめる作業を代行します。テキスト化とナレッジ化にかかる労力を削減し、VOC(顧客の声)の収集・分析が進められるわけです。
このようにAIは、コールセンターが抱える課題に効果が見込めるソリューションといえます。特に音声認識AIは着々と実用化が進んでおり、コールセンターシステムとの連携は決して難しくない状況にあるのです。
コールセンター向けAI「MSYS Omnis(エムシス オムニス)」とは?
では、音声認識AIはどのような基準で選べばよいのでしょうか。今回は、コールセンター向けAIの具体的な事例として、「MSYS Omnis(エムシス オムニス 以下、オムニス)」を取り上げながら解説します。
MSYS Omnisの概要
オムニスは、丸紅情報システムズが展開しているクラウドサービスです。Google Cloud Platform™上の「 Speech-to-Text 」という音声認識技術を利用して開発しており、コールセンター向けの音声認識・ディープラーニング機能を提供しています。
基本的な仕組みは、顧客とオペレーターの会話内容をテキスト化する、というものです。作成されたテキストファイルは、コールセンターや営業、バックオフィスに共有することができ、教育のためのナレッジベース構築などに役立てることができます。
一般的に音声認識AIを使ったテキスト化は、「精度」と「チューニング」が課題になりがちです。「書き起こされた文章が、通話内容(音声)とまったく違う」「精度を改善するためのチューニングにかかる手間が大きい」という悩みは、音声認識AIを選ぶ際の思わぬ落とし穴ともいえます。
オムニスが利用している「Speech-to-Text」という音声認識技術は、Google Cloud Platform™の大規模な計算リソースを土台にするとともに、自社でのチューニングを行わずとも認識の精度を高められるという特徴があります。
Google Cloud Platform™とは
Google社が持つリソース(サーバーやストレージなど)と多彩なテクノロジーを、クラウドで利用できるサービスです。
Google Cloud Speech-to-Textとは
Google Cloud Platform™上で提供されている音声認識技術です。世界中のユーザの利用データが集積されているため高い認識精度を誇ります。さらに、それらのデータをもとに自動で認識精度をチューニングすることも可能です。
英語を含む110以上の言語と方言に対応しています。
オムニスの強み
Google Cloud Platform™の活用により、高精度の音声認識・テキスト化が安価に利用できます。
あらかじめ通話を高精度で書き起こすための調整が施されており、チューニングの手間がほとんどかからないため、すぐに実務に導入することが可能です。
要点のみに絞った「文章要約」ができるほか、話者の感情分析やオペレーターの元気度の測定などをすることができます。また、顧客の問い合わせ内容を分析し、FAQから最適な回答を抽出できます。
コールセンターシステム(BIZTEL)とオムニスの連携によるメリット
最後に、コールセンターシステムとオムニスの連携によるメリットを紹介します。オムニスは、コールセンターシステムやPBXといった電話の音声基盤と組み合わせることで利用することができます。
高精度の音声認識AIを、チューニングの手間なしで導入できれば、コールセンターが抱える課題を解決できる土台が生まれるでしょう。
通話内容の自動書き起こしによる効率化
コールセンターシステムが持つ通話のデータを、オムニスでテキスト化できます。苦情やトラブルがあった際など、事後対応や社内報告が発生するシーンでの業務の効率化に大いに役立ちます。
会話要約によるナレッジ化、後処理作業の削減
音声・テキストデータを自動要約し、要点のみの会話に加工することで、ナレッジ化がしやすくなります。また、応対履歴の入力といった後処理作業にかかる手間や時間を大幅に削減できます。
問い合わせ対応業務の負荷軽減
AIが問い合わせ内容と関連性が高い回答候補を自動表示することで、オペレーターの負荷軽減や、回答速度アップ、応対品質の向上に役立ちます。
柔軟な連携
コールセンターシステムだけでなく、CRMとの連携も可能です。例えば、オムニス・BIZTEL・Salesforceといった3つのシステムを連携させたソリューションが構築できます。
まとめ
本稿では、コールセンターシステムとAIの親和性を解説するとともに、高精度の音声認識AI「MSYS Omnis(エムシス オムニス)」を紹介してきました。コールセンターシステムとAIの連携は、実用的な段階にきています。
また、クラウドサービス化により、低コストかつ短納期で導入が可能です。今後のコールセンターシステム選定では、クラウドAIサービスとの親和性にも注目してみてはいかがでしょうか。