コールセンターのインバウンド業務とは?課題や有効なシステムも併せて紹介
コールセンターにおいて、顧客や見込み客からの問い合わせに対応するインバウンド業務。問い合わせ内容を正確に把握し、顧客の要望を満たすことで、商品・サービスの成約や顧客満足度の向上につながります。
では、インバウンド業務の具体的な仕事内容とはどのようなものなのでしょうか。また、どのような課題が発生しやすいのでしょうか。
この記事では、コールセンターにおけるインバウンド業務の内容や、アウトバウンド業務との違い、よくある課題や有効なシステムについて紹介します。
目次
1. コールセンターにおけるインバウンド業務とは
ビジネスにおける「インバウンド」とは
インバウンドとは、英語の「inbound」に由来する「外から内への移動」を意味する言葉です。
ビジネスにおいては、「顧客から企業へ」「国外から国内へ」のように、外側から内側へ何らかの移動ややり取りが発生しているさまをインバウンドと表現します。
ビジネス領域によって、インバウンドの使い方は様々です。例えば、観光業界では「国外から国内への訪日客」を意味し、営業やマーケティングの分野では「顧客・消費者から企業側へのアプローチ」の意味で使われます。
コールセンターにおけるインバウンド業務
コールセンターにおいてインバウンドは「受信」を意味します。つまりインバウンド業務とは、「顧客・消費者からコールセンターにかかってきた電話に対応すること」です。電話の内容は、商品・サービスに対する問い合わせや、契約の申し込み、クレームなど多岐にわたります。
インバウンド業務では、業務やサービスに対する知識を十分に身につけたうえで、顧客や見込み客の要求を満たせるよう、適切に対応を行うことが重要です。
インバウンド業務の代表例
コールセンターにおける代表的なインバウンド業務は以下の通りです。
〇問い合わせ対応
商品・サービスへの質問や相談など、顧客からの問い合わせに対応する。コールセンター内で対応しきれない場合は、セールス部門や製造部門などとも連携して解決を図る。
〇契約・申し込み対応
商品の購入やサービスの契約など、顧客からの申し込みに対応する。氏名や品目など必要な項目の聞き取りを行いつつ、商品・サービスの申し込みや利用に際しての注意事項なども伝える。
〇クレーム対応
商品・サービスを利用した顧客からのクレームに対して、商品の交換や修理の受付などを行う。
2. インバウンド業務とアウトバウンド業務との違い
顧客からの受電に対応するインバウンド業務に対し、コールセンターにおけるアウトバウンド業務とは「コールセンターから顧客・見込み客への架電」を行う活動を指します。商品・サービスの営業活動やテレフォンアポイントメント、市場調査のアンケート、支払いの督促などが代表的な業務です。
アウトバウンド業務では、目的に合わせて顧客へ能動的にアプローチする必要があります。
例えば、営業活動やアポ取りを行う場合、顧客や見込み客のニーズを把握できていない状態からスタートするため、不快感を与えないように注意しつつ、会話を通じて潜在的なニーズを探っていくことが重要です。また、支払いの督促を行う際には、相手の心情も考慮しつつ、丁寧に対応しなければなりません。
一方でインバウンド業務は、すでに目的を持っている顧客や見込み客から問い合わせを受ける、受動的な業務です。そのため、ニーズを正確に把握する力と、素早く、適切に、わかりやすく案内して顧客の課題を解決することが求められます。
3.コールセンターにおけるインバウンド業務でよくある課題
コールセンターのインバウンド業務では、以下のような課題が複合して発生することが多いです。
応答率が低い
応答率とは、顧客からの入電に対してオペレーターが実際に対応できた件数の割合です。一般的に、コールセンターへの入電件数に対してオペレーターの人数が足りなければ、応答率は低くなります。
また、通常時には対応しきれていても、問い合わせが増える時間帯や季節、キャンペーンの実施といったイベント発生時に電話が取りきれなくなる企業も多く、時節的な入電の増加に注意しながら運営する必要があります。
顧客満足度の低下
電話がつながらなかったり、オペレーターの対応に不備があったりすると、顧客満足度の低下を招くおそれがあります。顧客満足度は、商品・サービスの利用継続や追加購入にも影響します。
適切で行き届いたサービスが行えるよう、接続品質(つながりやすさ)や応対品質を向上させる必要があるでしょう。
オペレーターの人手不足
現在、コールセンター業界は慢性的な人材不足に陥っています。オペレーターの新規採用が難しい、もしくはせっかく採用したオペレーターがすぐにやめてしまうケースも少なくありません。
コールセンター業務が複雑化するなか、オペレーターに求められる知識やスキルも変化しています。また、様々なタイプの顧客と会話をすることに、心理的負担を感じる場合もあるでしょう。
オペレーターの負荷をどのように軽減し、継続的に働いてもらえる環境を作るかは、多くのコールセンターで課題となっています。
4. インバウンド業務の課題解決に有効なシステム
インバウンド業務の課題を解決するためには、以下のようなシステムの活用が有効です。
CTI・コールセンターシステムの導入
インバウンド業務を実施するうえで、なくてはならない存在といえるのがCTI・コールセンターシステムです。CTI・コールセンターシステムを導入すれば、顧客管理システムとの連携により着信時にどの顧客からの入電かといった情報を把握したうえで電話対応を行えるようになるほか、通話内容の録音や、業務・スキルに応じた入電の振り分けも可能となります。また、コールセンター全体の稼働状況を可視化できる機能も存在します。
これらの機能をうまく活用することで、慢性的な人手不足による応答率低下の改善やコールセンターの業務管理の効率化につながるでしょう。
音声認識・文字起こし・要約などAIを活用したシステム
近年では、AI技術により会話の音声認識や問い合わせ内容の要約を実現するシステムが登場しています。これらのシステムを導入することで、オペレーターの負荷・処理時間の低減や、応答率の向上などにつながります。
例えば、顧客との会話内容を自動でテキスト化・要約し、その内容をCRMに登録して応対履歴の入力負荷を低減させるといったことが可能です。
また、音声データから顧客とオペレーターの感情分析を行ったり、応対中のオペレーターがNGワードを使っていないか確認したりするなどの活用方法もあります。
教育システムの活用
オペレーターの教育体制を整え、顧客への応対能力を向上させることは重要です。しかし、優秀なオペレーターの育成は簡単ではありません。
コロナ禍の影響で在宅勤務が増加した背景もあり、対面や集合での研修が難しいケースも多く見られます。そういった場合は、動画を活用したオンライン教育システムの導入も検討してみてはいかがでしょうか。
教育システムによっては、研修の受講状況や習熟度といった人材育成の進捗を確認することも可能です。コールセンター全体の研修実施状況を把握でき、管理がしやすくなります。
チャットボット・IVRの導入
入電数の削減やオペレーターの業務負荷を軽減するという観点では、問い合わせのチャネルを増やすことも一つの手です。例えば、チャットボットを導入すれば、定型的な質問への対応を自動化できます。
チャットボットを活用する際には、Q&Aの整備もコールセンターの負荷軽減に有効であるため、併せて実施するとよいでしょう。
また、音声ガイダンスによって適切な窓口への案内や自動応答を行うIVR(自動音声応答システム)の導入も業務効率化に効果的です。
IVRはCTIの機能として用意されていることも多いため、CTIを選ぶ際に確認しましょう。
5.まとめ
この記事では、コールセンターにおけるインバウンド業務の概要や、よくある課題、課題解決に有効なシステムについて紹介しました。インバウンド業務を効率的に実施するためには、システムの活用が欠かせません。CTIをはじめとした様々なシステム・ツールがあるため、自社の課題や状況・予算に合わせて最適なシステムを導入しましょう。