コンタクトセンター運営者必見! コンサルタントが語る、 センター内で起きる“困った”の原因は教育不足にあり!
複雑化する業務によって、コンタクトセンターのオペレーターにはより高いスキルが求められるようになっています。その一方で、人材不足や離職率の高まりによって、オペレーターのスキルにバラツキが生まれ、お客さまの要望に応えられないケースも増えています。
この一連の問題の原因となっているのが「オペレーターの教育不足」です。 コンタクトセンターの課題を解消するために、教育をどうシステム化するべきなのか。
長年、多くのコンタクトセンターでコンサルティングを行っている池田浩一さんに教えていただきました。
目次
コンタクトセンターでよくある「困った!」
コンタクトセンターの運営には、様々な課題が常に存在しています。その中でも、永遠のテーマとも言えるのが「オペレーターのスキル不足」「SVや管理者の負担増・疲弊」「オペレーターの高い離職率」の3つです。
この3つの課題は一見バラバラのように見えますが、実はあるフィルターを通すと共通点が見えてきます。それはオペレーターさんの「教育不足」です。
スキルが一定のレベルに達していないオペレーターさんは、お客さまからのお問い合わせに満足のいく回答ができません。当然、SVや管理者がそのフォローをすることになります。さらに、コロナ禍によって日常生活が大きく変わったのと同じように、コンタクトセンターを取り巻く環境も様変わりしました。
変化のスピードは加速し、コンタクトセンターでは日々、初期研修の追加や改定業務研修など、業務知識の指導に追われています。在宅勤務の調整といった新たなマネジメントも始まり、管理者・SVのみなさんは毎日の業務が忙しく、充実した研修を考えることが難しいのではないでしょうか。
さらにスキル不足はオペレーターさんにとって、日常の業務での不安やストレスを増やす原因となります。そのサポートやケアをすることができなければ、離職が増えるという最悪の結果につながってしまいます。せっかく人材を採用したのに、定着率が低く悩んでいる運営者の方も多いのではないでしょうか。
一方、教育が丁寧で充実し、フレンドリーな上司にサポートしてもらえるコンタクトセンターでは、当然ながら定着率が高い傾向にあります。オペレーターの教育不足=「離職」が増えやすい運営をしているということになります。
体制/マネジメントが整っているとオペレーターに対して十分な教育/研修を実施でき、サポート/ケアも手厚くなります。その結果がオペレーターの定着へとつながります。
コンタクトセンターで必要な正しい教育とは
教育不足の原因には、研修のやり方が間違っているというケースもよくあります。しっかりと全体研修を実施しているものの、スキルの習得は個々の自主性に任せている。そういうやり方をしているコンタクトセンターも実際にあります。それで業務に支障がなければいいのですが、そう簡単にはいきません。
本来、学び方と実践応用の能力は十人十色です。OJTのトレーナーになった方は新人さんのキャラクター・個性と学習・実践の傾向(癖)を把握し、指導につなげる必要があります。
例えば、教育とマネジメント体制がしっかり整備されている大手のコンタクトセンターでは、新人研修を終えたばかりの新米オペレーターが電話対応を終えると自動でアンケートに移り、お客さまが電話対応の評価をするシステムを導入しています。このアンケートは1週間実施し、スコア平均が基準以下の場合は、面談と再トレーニングを行います。
これはコンタクトセンターの教育として理想の形ですが、この体制を整えるには人手もお金もかかります。
ここまではできないという場合でも、最低1~3ヵ月おきに電話対応の抜き取り調査を3本程度行い、QA(品質担当)チームが評価チェック、面談(フィードバック)するといった体制はすべてのコンタクトセンターで実施してほしいと思います。
また教育のレベルについても初期研修で終わりではなく、オペレーターさんの成長を促すようにする必要があります。そのためには「初期研修」「フォローアップ研修」「スキルアップ研修」の3段階の教育を実施します。
人は一度身に付けたものでも、時間が経てば忘れてしまったり、レベルが下がったりしてしまうものです。再確認したいときに研修・教育を受けることができるような体制を整えておくことが大切です。さらに、研修を受けて終わりではなく、一人ひとりのオペレーターさんにきちんとフィードバックをすることも重要です。
教育不足を解消するeラーニング
そんなSVや管理者のみなさんにぜひとも活用してほしいのがコンタクトセンター向けのeラーニングシステムです。
eラーニングシステムにも様々ありますが、例えば私が監修・講師を務めた『BIZTEL shouin』では、電話応対の研修動画がプリセットされており、すぐに研修がスタートできます。教育の3段階でいう「初期研修」は、このプリセットされている動画だけで十分な内容になっています。では「フォローアップ研修」「スキルアップ研修」はどうすればいいのかというと、eラーニングシステムによっては自社で制作した動画コンテンツを簡単にアップロードできる機能が搭載されています。自社のシステムの操作研修やコンプライアンス研修などの動画を作成してアップロードしておけば、講師や指導者の負担減にもなります。
教育担当者が新たに作成した研修動画やマニュアルをeラーニングシステムにアップすることで、業務に関する最新情報をコンタクトセンター内で即時に共有することができます。オペレーターさんに研修で伝える内容に変更があった際も、すぐに更新できるので便利です。
ちなみに、先ほどご紹介した『BIZTEL shouin』もプリセットの研修動画が毎月更新され、コンタクトセンター業務のスキルや電話対応の言葉遣いなどについて、いつでも最新の内容が学べるようになっています。
ある大手メーカーでは時代とともに変わっていく敬語や電話対応特有の表現に合わせて、自社の応対マニュアルを25年以上、毎年更新しているそうです。常に変わっていく言葉使いについて最新の情報が学べるというのは、言葉を生業とするオペレーターさんにとって大切なことだといえるでしょう。
オペレーターさんへの教育にもっとも重要な「スキルに合わせたフィードバック」がしっかりできるので、こうした教育ツールを有効活用するのも良いでしょう。
私もコンサルタントとして、数々のコンタクトセンターに足を運んできました。オペレーターさんの教育を何とか変えたい、もっと充実させたいと頭を悩ませているSVや管理者の姿をたくさん目にしてきました。日常の業務がどんどん増えていく状況にあって、eラーニングシステムはみなさんの強い味方になれる存在です。負のスパイラルを断ち切るためにも、もう一度オペレーターさんの教育を見直してもらいたいと思います。