BIZTEL API使ってみた vol.16 コールアクション×生成AIでカスハラを自動判定!Salesforceに結果を連携して分析を効率化

「BIZTEL API使ってみた」シリーズでは、BIZTELがもっと便利に使えるようになる
API連携機能を活用して、サービス担当者が様々な機能の実装にチャレンジします。
前回の記事はこちら
目次
やってみたいこと
東京都などが2025年4月1日に施行した「カスタマー・ハラスメント防止条例」が、全国初の試みとして注目を集めています。北海道や三重県桑名市でも同様の条例が施行され、他の自治体でも検討が進むなど、全国的な広がりを見せています。
カスタマー・ハラスメント(以下 カスハラ)は電話による顧客接点においても発生しており、対策を進めるコールセンターが増えてきました。
そこで今回は「生成AI(※1)」と、BIZTELの「API連携コールアクション」「音声認識連携」を活用し、テキスト化した通話内容からカスハラに該当するかを自動判定する仕組みに挑戦します。
具体的には、通話内容を「カスハラ」「クレーム」「通常会話」に分類(※2)し、その結果をSalesforceに自動で記録してみたいと思います。
※1 今回利用するモデルは、OpenAI APIの「GPT-4.1 mini」です。最大100万トークンの長文処理に対応でき、コスト効率と高精度を兼ね備えたAPI専用モデルです。テキスト化した通話の要約や「カスハラ」「クレーム」「通常会話」といった分類処理において、高い性能を発揮することが期待できます。
※2 本記事では、厚生労働省の定義を参考に、「社会通念を超えた迷惑行為で、精神的攻撃・過剰要求・差別・身体的攻撃のいずれかに該当するもの」をカスハラとし、「製品やサービスへの正当な不満であり、個人攻撃を含まないもの」をクレームとして判定します。
チャレンジャー
使用するツール
BIZTELの利用ライセンス
・コールセンタープランのご契約
※今回ご紹介するシステム間の連携を行うためには、BIZTELのバージョンが3.7.20以上である必要があります。
BIZTELで必要なオプション
・API連携コールアクション
・音声認識連携(AmiVoice API)
※詳細はこちらの「1.音声認識連携(AmiVoice API)」をご覧ください。
BIZTEL以外に必要なもの
・Salesforce
・OpenAI API
※OpenAI APIの使用には、従量制の料金が適用されます。
料金に関する詳細は、OpenAIのWebサイトをご覧ください。
・AmiVoice API
※AmiVoice APIの使用には、従量制の料金が適用されます。
料金に関する詳細は、AmiVoice APIのWebサイトをご覧ください。
動作の全体像
カスハラ自動判定の結果を、Salesforceに記載(GPT-4.1 miniモデルを使用)

設定の流れ
OpenAI 事前準備
OpenAI APIを利用してお客さまとの会話を要約し、さらにカスハラ判定を行うため、APIキーの発行を行います。
Salesforce 事前準備
SalesforceのAPIを利用して通話内容を記録するため、OAuth認証接続アプリケーションの作成とToDoオブジェクトの項目設定やページレイアウトの変更を行います。
BIZTEL 事前設定
お客さまとの会話をテキスト化するため、音声認識連携の設定を行います。
さらに、通話内容の要約、カスハラの判定結果などをSalesforceに記録するため、「コールアクションテンプレート機能」を利用してコールアクションを設定します。
設定の実践
OpenAI 事前準備
1.OpenAIのAPIキーを発行
お客さまにてOpenAIのアカウント作成および、OpenAI APIキー発行が必要となります。発行手順はこちらの記事の「設定の実践 OpenAI 事前準備」をご参照ください。
Salesforce 事前準備
1.OAuth認証の接続アプリケーションを作成
こちらの記事の「設定の実践 1.Salesforce 設定準備」を参照しながら、SalesforceのOAuth認証のアプリケーション作成と鍵情報の確認を行います。
2.活動オブジェクトにカスタム項目「会話分類」「通話録音再生」を新規作成
カスハラ種別を格納する項目が必要なため、以下に従って作成します。
作成方法については、こちらの「2.3 カスタム項目の作成」をご参照ください。
3.ToDoオブジェクトのページレイアウトを変更
以下が連携に必要な項目なので、任意のレイアウトを定義してください。
(ページレイアウトの設定例)
BIZTEL 事前設定
1.音声認識連携
お客さまの音声をテキスト化するための設定を行います。設定方法については、こちらの「2. 音声認識連携の設定方法」をご参照ください。
※別途、アドバンスト・メディア社の「AmiVoice API」 のご契約が必要です。
2.OAuthアカウント設定
BIZTELとSalesforceを連携するためのOAuth設定を行います。こちらの記事の「設定の実践 2.BIZTELでのOAuth設定」をご参照ください。
3.コールアクション連携
通話内容の要約や、カスハラ判定の結果をSalesforceに記録するコールアクションの設定を「コールアクションテンプレート機能」を利用して行います。
<コールアクション連携 手順の概要>
Ⅰ テキストエディタを利用して、コールアクションテンプレートを作成
Ⅱ BIZTEL管理画面から、コールアクションテンプレートをインポート
Ⅲ BIZTEL管理画面から、コールアクション連携を編集
OAuthアカウント設定 :4件編集
紐づけ先が特定できない時のレコードID:1件編集
OpenAI APIキー:1件編集
※合計6件修正することで設定が完了します。
Ⅳ お客さまの業務に応じて、OpenAI APIへの指示を調整
<コールアクション連携 手順の詳細>
Ⅰ コールアクションテンプレートを作成
以下のテキストをすべてコピーして、テキストエディタにペーストして保存してください。
注意事項
●ファイルはJSON形式であるため、ファイルの拡張子は「.json」にしてください。
●文字コードはUTF8で保存してください。
{
"version_name": "unknown",
"version_hash": "962c54e",
"name": "カスタマーハラスメント自動判定版",
"memo": "gpt-4.1-mini対応版",
"api_nodes": [
{
"api_event_type": 100,
"api_link_type": 2,
"error_response_status_code_pattern": null,
"execution_order": 1,
"max_retry_count": 3,
"precondition_pattern": null,
"precondition_target_text": null,
"request_body": null,
"request_header": null,
"request_method": "GET",
"request_url": "{OAUTH_INSTANCE_URL}/services/data/v45.0/parameterizedSearch/?q={TEL}&sobject=Account&sobject=Contact&sobject=Lead",
"response_variable_pattern": "/\"attributes\":\\{\"type\":\"(?P<TYPE>[a-zA-Z]*)\".*?\"Id\":\"(?P<NOID>[a-zA-Z0-9]*)\"/",
"result_entry_information_label": null,
"result_entry_information_text": null,
"result_entry_prompt_text": null,
"result_entry_summary_text": null,
"result_entry_type": null,
"retry_interval_milli_sec": 3000,
"timeout_num": 10,
"memo": null
},
{
"api_event_type": 5000,
"api_link_type": 1,
"error_response_status_code_pattern": null,
"execution_order": 1,
"max_retry_count": 3,
"precondition_pattern": null,
"precondition_target_text": null,
"request_body": "{\r\n \"model\": \"gpt-4.1-mini\",\r\n \"messages\": [\r\n {\r\n \"role\": \"system\",\r\n \"content\": \"# 通話内容をカスタマーハラスメント定義に基づき判定します。\\n## 【最優先判定ルール】\\n1. 会話全体から[A][B]に該当する発言を探す\\n2. 該当発言があれば必ず「カスハラ」と判定\\n3. 該当発言がない場合のみ、クレームまたは通常会話と判定\\n## [A] カスハラの定義\\n① 従業員に苦痛を与える迷惑行為\\n② 人格・尊厳を侵害し安全を損なう行為\\n## [B] カスハラのタイプ\\n1. 精神的攻撃型:暴言・脅迫・人格否定\\n2. 過剰要求型:制度外の要求\\n3. 差別型:差別的発言\\n4. 身体的攻撃型:物理的危害の示唆\\n## カスハラの明確な事例\\n### 精神的攻撃型\\n* 「あなたはバカなの?」\\n* 「無能だね」\\n* 「あなたの名前と顔を覚えておくからね」\\n* 「あなた個人に責任を取らせる」\\n### 過剰要求型\\n* 「24時間以内に対応しないと訴える」\\n* 「規約は関係ない、今すぐ特別対応しろ」\\n### 差別型\\n* 「男性スタッフに代われ」\\n* 「若い人より年配の人に代わってほしい」\\n### 身体的攻撃型\\n* 「殴るぞ」\\n* 「あなたの住所を調べるからな」\\n* 「SNSに顔写真を晒すぞ」\\n## [C] クレームの判定基準\\nクレームとは、製品・サービスへの不満や改善要望で、感情的表現を含むことがあっても社会通念内であり、業務内容に対する批判や問題指摘を含むものです。 \\n\\nクレームと判定する基準:\\n- 製品・サービスの具体的な問題点への言及\\n- 改善や対応を求める明確な意思表示\\n- 具体的な商品不良、不具合の指摘\\n- 交換、返品、修理などの改善要求\\n- サービスの品質に対する明確な不満表明\\n\\n※単なる一般的な問い合わせや軽微な質問は「通常会話」とするが、実質的な不満や改善要求がある場合はクレームとして扱う\\n## [D] 分析タスク\\n1. 会話を判定:\\n- タイプ[B]のいずれか\\n- クレーム\\n- なし\\n2. 判定に応じて記載:\\n- カスハラ:[E]の優先順位に基づき、最も深刻な単一のタイプのみ選択\\n * 該当タイプ、発言引用、理由\\n- クレーム:発言引用、内容\\n- 通常会話:「なし」\\n3. 複数のカスハラタイプに該当する場合の判定方法:\\n- [E]の優先順位に従い、最上位の単一タイプのみを選択\\n- 例:身体的攻撃型と精神的攻撃型に該当する場合、「身体的攻撃型」のみ記載\\n## [E] 優先順位\\n身体的攻撃型 > 精神的攻撃型 > 差別型 > 過剰要求型\\n## [F] 出力フォーマット\\n1. 【判定結果】と【該当発言】は同じ行に必ず記載\\n2. 通話内容の要約(500文字以内)\\n3. 【判定結果】は必ず以下の形式で出力:\\n - カスハラの場合:「【判定結果】:型名」\\n - クレームの場合:「【判定結果】:クレーム」\\n - 通常会話の場合:「【判定結果】:なし」\\n\\n【判定結果】:[B]のいずれかの型名のみ/クレーム/なし【該当発言】:\\n- 発言引用:「~~~~」/なし\\n- 理由/内容:~~~。※カスハラの場合:〇〇(軽度/中度/重度)\\n\\n【要約結果】:\\n- ~~~~\\n- ~~~~\\n※要約できない場合は「要約できません」\"\r\n },\r\n {\r\n \"role\": \"user\",\r\n \"content\": \"{VOICE_LOG.JSON_ESCAPE()}\"\r\n }\r\n ],\r\n \"max_tokens\": 700,\r\n \"temperature\": 0.7\r\n}",
"request_header": "Authorization:Bearer XXXXXXXX\r\nContent-Type:application/json",
"request_method": "POST",
"request_url": "https://api.openai.com/v1/chat/completions",
"response_variable_pattern": "/【判定結果】:(?P<CATEGORY>[\\s\\S]*?)(?=【該当発言】)【該当発言】:(?P<COM>[\\s\\S]*?)(?=【要約結果】)【要約結果】:(?P<SUM>[\\s\\S]*?)(?=\",\"refusal\"|$)/",
"result_entry_information_label": null,
"result_entry_information_text": null,
"result_entry_prompt_text": null,
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"result_entry_type": null,
"retry_interval_milli_sec": 3000,
"timeout_num": 60,
"memo": null
},
{
"api_event_type": 5000,
"api_link_type": 2,
"error_response_status_code_pattern": null,
"execution_order": 2,
"max_retry_count": 3,
"precondition_pattern": "/Contact|Lead/",
"precondition_target_text": "{RESPONSE_TYPE}",
"request_body": "{\r\n\t\"WhoId\": \"{RESPONSE_NOID}\",\r\n\t\"Subject\": \"{STARTTIME}に通話(着信)\",\r\n\t\"Description\": \"{VOICE_LOG.JSON_ESCAPE()}\\r\\n【判定結果】:{RESPONSE_CATEGORY}\\r\\n【該当発言】:{RESPONSE_COM}\\r\\n【要約結果】:{RESPONSE_SUM}\",\r\n\t\"CallDisposition\": \"■発信電話番号:{TEL}■着信電話番号:{CALLED}■着信アカウント名:{AGENT_NAME}\\\\r\\\\n■着信内線番号:{AGENT_EXTEN_NO}■通話開始時間:{START_TIME}\\\\r\\\\n■通話終了時間:{END_TIME}■通話時間:{CALL_SEC}\",\"Conversation_Category__c\": \"{RESPONSE_CATEGORY}\",\"CallAudioUrl__c\":\"https://{HOST}:8000/monitor_link/{ID}\"\r\n}",
"request_header": "Content-Type: application/json",
"request_method": "POST",
"request_url": "{OAUTH_INSTANCE_URL}/services/data/v45.0/sobjects/Task/",
"response_variable_pattern": null,
"result_entry_information_label": null,
"result_entry_information_text": null,
"result_entry_prompt_text": null,
"result_entry_summary_text": null,
"result_entry_type": null,
"retry_interval_milli_sec": 3000,
"timeout_num": 10,
"memo": null
},
{
"api_event_type": 5000,
"api_link_type": 2,
"error_response_status_code_pattern": null,
"execution_order": 3,
"max_retry_count": 3,
"precondition_pattern": "/Account/",
"precondition_target_text": "{RESPONSE_TYPE}",
"request_body": "{\r\n\t\"WhatId\": \"{RESPONSE_NOID}\",\r\n\t\"Subject\": \"{STARTTIME}に通話(着信)\",\r\n\t\"Description\": \"{VOICE_LOG.JSON_ESCAPE()}\\r\\n【判定結果】:{RESPONSE_CATEGORY}\\r\\n【該当発言】:{RESPONSE_COM}\\r\\n【要約結果】:{RESPONSE_SUM}\",\r\n\t\"CallDisposition\": \"■発信電話番号:{TEL}■着信電話番号:{CALLED}■着信アカウント名:{AGENT_NAME}\\\\r\\\\n■着信内線番号:{AGENT_EXTEN_NO}■通話開始時間:{START_TIME}\\\\r\\\\n■通話終了時間:{END_TIME}■通話時間:{CALL_SEC}\",\"Conversation_Category__c\": \"{RESPONSE_CATEGORY}\",\"CallAudioUrl__c\":\"https://{HOST}:8000/monitor_link/{ID}\"\r\n}",
"request_header": "Content-Type: application/json",
"request_method": "POST",
"request_url": "{OAUTH_INSTANCE_URL}/services/data/v45.0/sobjects/Task/",
"response_variable_pattern": null,
"result_entry_information_label": null,
"result_entry_information_text": null,
"result_entry_prompt_text": null,
"result_entry_summary_text": null,
"result_entry_type": null,
"retry_interval_milli_sec": 3000,
"timeout_num": 10,
"memo": null
},
{
"api_event_type": 5000,
"api_link_type": 2,
"error_response_status_code_pattern": null,
"execution_order": 4,
"max_retry_count": 3,
"precondition_pattern": "/^(?!.*(Contact|Lead|Account)).*$/",
"precondition_target_text": "{RESPONSE_TYPE}",
"request_body": "{\r\n\t\"WhoId\": \"XXXXXXXX\",\r\n\t\"Subject\": \"{STARTTIME}に通話(着信)\",\r\n\t\"Description\": \"{VOICE_LOG.JSON_ESCAPE()}\\r\\n【判定結果】:{RESPONSE_CATEGORY}\\r\\n【該当発言】:{RESPONSE_COM}\\r\\n【要約結果】:{RESPONSE_SUM}\",\r\n\t\"CallDisposition\": \"■発信電話番号:{TEL}■着信電話番号:{CALLED}■着信アカウント名:{AGENT_NAME}\\\\r\\\\n■着信内線番号:{AGENT_EXTEN_NO}■通話開始時間:{START_TIME}\\\\r\\\\n■通話終了時間:{END_TIME}■通話時間:{CALL_SEC}\",\"Conversation_Category__c\": \"{RESPONSE_CATEGORY}\",\"CallAudioUrl__c\":\"https://{HOST}:8000/monitor_link/{ID}\"\r\n}",
"request_header": "Content-Type: application/json",
"request_method": "POST",
"request_url": "{OAUTH_INSTANCE_URL}/services/data/v45.0/sobjects/Task/",
"response_variable_pattern": null,
"result_entry_information_label": null,
"result_entry_information_text": null,
"result_entry_prompt_text": null,
"result_entry_summary_text": null,
"result_entry_type": null,
"retry_interval_milli_sec": 3000,
"timeout_num": 10,
"memo": null
}
]
}
Ⅱ コールアクションテンプレートをインポート
BIZTEL管理画面より「連携オプション>コールアクション連携」をクリックして、画面右上の「インポート」をクリックします。詳細はこちらの「6.2 コールアクションのインポート」をご参照ください。
Ⅲ コールアクション連携を編集
作成されたコールアクション連携の「API連携」タブをクリックしてください。各設定情報を編集していきます。
【必須で修正する箇所(合計6件)】
・!マークが出ている設定は、OAuthアカウントが未設定のため、「OAuthアカウント設定」で登録したSalesforce用のOAuthアカウントを選択します(計4件)。
・以下のイベントURL内「XXXXXXXX」で表示されている箇所は、適切な値に書き換えます(計2件)。
<録音完了/音声認識連携完了>実行順1:OpenAI APIキー
<録音完了/音声認識連携完了>実行順4:紐づけ先が特定できない時のレコードID
(録音完了/音声認識連携完了イベント 実行順1:OpenAI APIキー設定例)
(録音完了/音声認識連携完了イベント 実行順4:レコードID設定例)
下の画像の赤線部分には、発信番号から履歴を紐づけるレコードを特定することができなかった場合に、紐づけるリードのレコードIDを記載します。
※レコードIDの確認方法(以下の赤線部分がレコードIDです)
Ⅳ お客さまの業務に応じて、OpenAI APIへの指示を調整
<録音完了/音声認識連携完了>実行順1にて、OpenAI APIへ要約やカスハラ判定の指示をしているので、必要に応じて修正してください。
なお、本プロンプトのカスハラ事例・判断基準などは、あくまでも参考情報としてご活用ください。
▼OpenAI APIへの指示内容(APIリクエストボディのcontentを整形して表示したもの)
# 通話内容をカスタマーハラスメント定義に基づき判定します。
## 【最優先判定ルール】
- 会話全体から[A][B]に該当する発言を探す
- 該当発言があれば必ず「カスハラ」と判定
- 該当発言がない場合のみ、クレームまたは通常会話と判定
## [A] カスハラの定義(必要に応じてカスタマイズ)
① 従業員に苦痛を与える迷惑行為
② 人格・尊厳を侵害し安全を損なう行為
## [B] カスハラのタイプ ※業界特性に応じて調整可能ですが、この指示内容(白枠内部分)の下に記載の注意が必要!
- 精神的攻撃型:暴言・脅迫・人格否定
- 過剰要求型:制度外の要求
- 差別型:差別的発言
- 身体的攻撃型:物理的危害の示唆
## カスハラの明確な事例(必要に応じてカスタマイズ)
### 精神的攻撃型
* 「あなたはバカなの?」
* 「無能だね」
* 「あなたの名前と顔を覚えておくからね」
* 「あなた個人に責任を取らせる」
### 過剰要求型
* 「24時間以内に対応しないと訴える」
* 「規約は関係ない、今すぐ特別対応しろ」
### 差別型
* 「男性スタッフに代われ」
* 「若い人より年配の人に代わってほしい」
### 身体的攻撃型
* 「殴るぞ」
* 「あなたの住所を調べるからな」
* 「SNSに顔写真を晒すぞ」
## [C] クレームの判定基準(業界特性に応じて調整可能)
クレームとは、製品・サービスへの不満や改善要望で、感情的表現を含むことがあっても社会通念内であり、業務内容に対する批判や問題指摘を含むものです。
クレームと判定する基準:
– 製品・サービスの具体的な問題点への言及
– 改善や対応を求める明確な意思表示
– 具体的な商品不良、不具合の指摘
– 交換、返品、修理などの改善要求
– サービスの品質に対する明確な不満表明
※単なる一般的な問い合わせや軽微な質問は「通常会話」とするが、実質的な不満や改善要求がある場合はクレームとして扱う
## [D] 分析タスク
- 会話を判定:
– タイプ[B]のいずれか
– クレーム
– なし
- 判定に応じて記載:
– カスハラ:[E]の優先順位に基づき、最も深刻な単一のタイプのみ選択
* 該当タイプ、発言引用、理由
– クレーム:発言引用、内容
– 通常会話:「なし」
- 複数のカスハラタイプに該当する場合の判定方法:
– [E]の優先順位に従い、最上位の単一タイプのみを選択
– 例:身体的攻撃型と精神的攻撃型に該当する場合、「身体的攻撃型」のみ記載
## [E] 優先順位(必要に応じて順序を調整可能)
身体的攻撃型 > 精神的攻撃型 > 差別型 > 過剰要求型
## [F] 出力フォーマット ※必要に応じて調整可能ですが、この指示内容(白枠内部分)の下に記載の注意が必要!
- 【判定結果】と【該当発言】は同じ行に必ず記載
- 通話内容の要約(500文字以内)
- 【判定結果】は必ず以下の形式で出力:
– カスハラの場合:「【判定結果】:型名」
– クレームの場合:「【判定結果】:クレーム」
– 通常会話の場合:「【判定結果】:なし」
【判定結果】:[B]のいずれかの型名のみ/クレーム/なし【該当発言】:
– 発言引用:「~~~~」/なし
– 理由/内容:~~~。※カスハラの場合:〇〇(軽度/中度/重度)
【要約結果】:
– ~~~~
– ~~~~
※要約できない場合は「要約できません」
※プロンプト指示を変更する際の注意点※
・[B]のカスハラタイプ内容を更新する場合
上述の『Salesforce事前準備 2.活動オブジェクトにカスタム項目「会話分類」「通話録音再生」を新規作成』の値の設定も併せて変更してください。
・[F]の出力フォーマットを更新する場合
変数抽出パターンの正規表現も変更する必要がありますのでご注意ください。
上記のプロンプト指示をAPIのリクエストボディにそのまま貼り付けるとJSONエラーが発生します。APIで使用する場合は、改行や特殊文字はエスケープ処理が必要です。手動で処理するのは大変なので、生成AIにプロンプト指示の文字列を渡して「APIに情報を渡したいので、JSONエラーにならないようにエスケープ処理してください」というとエスケープ済みの文字列を表示してくれます。
Ⅴ 連携対象とする電話番号を選択
「連携対象」タブをクリックして、連携対象とする電話番号に✓を設定してください。
Ⅵ コールアクションの設定を有効化
「基本情報」タブをクリックして、ステータス項目を無効から有効に変更してください。
結果
Salesforceに通話内容を連携した結果、このようになりました。
振り返り・まとめ
今回は「コールアクション」と「生成AI」を活用したカスタマー・ハラスメントの自動判定を実践しました。
適切なプロンプト設計をすることで、高い精度の判定が実現できることがわかりました。現場の声を取り入れた試行錯誤を重ねることで、より高い精度になることが期待できます。まずは、サンプル通りに動くことを確認し、その後、皆さまの運用に合わせたプロンプトにカスタマイズしてみてください。
管理者はSalesforceのダッシュボード・レポート機能から、カスハラやクレームの発生状況を簡単に確認できるようになります。「いつ」「どのような」カスハラが発生しているのかを把握しながら、効果的な対策の検討ができるでしょう。
カスハラ対策は、働きやすい職場づくりと顧客満足度の両立に貢献できます。具体的には、以下のような効果につながります。
①働きやすい職場づくり
・カスハラをいち早く見つけて、スタッフの心の負担を軽減
・「いつ」「どの部署」でカスハラが多いかを把握し、サポート体制を整備
・カスハラタイプごとに適切な対応フローを構築し、SV・管理者などへのスムーズなエスカレーションを実現
②顧客満足度の向上
・お客さまの不満や要望を一元管理して、商品・サービスの改善に役立てる
・過去のカスハラ事例の分析から、トラブルが起きそうな場面を予測して先手を打ち、事前に回避できるようにする
・応対マナーが原因でカスハラを誘発してしまった事例を参考に、説明の仕方や相手に与える印象などを改善
本記事が、皆さまのカスハラ対策推進のお役に立てば幸いです。
編集後記
今回は、「生成AI」とBIZTELの「API連携コールアクション」「音声認識連携」機能を活用して、通話内容をもとにカスハラを自動判定し、Salesforceへ連携する仕組みを実践しました。
「BIZTEL API使ってみた」シリーズでは、BIZTELの利用者が実際に思いついた業務改善のアイデアをもとに、今後も様々な機能を紹介する予定です。
簡単に実現できるよう、設定方法も交えながらお伝えしますので、読者のみなさまもぜひチャレンジしてみてください。
現在、BIZTELをご利用中のお客さまも、「こんなことがしたい」というご希望がございましたら、BIZTELサービス担当までご相談ください!