クラウド型CTIシステムの選び方〜主要5サービスを比較〜

コールセンターにおける電話対応業務の改善・強化に向けたソリューションとして、CTIシステムが注目されています。しかし、その選び方や強み・弱みを詳細に把握できているでしょうか。CTIはビジネスの規模や形態によって最適なソリューションが変わるため、しっかりとポイントを整理して比較しなくてはなりません。
本稿ではCTI比較のポイントを整理しながら、最適なCTI選定の一助となるような情報を提供します。
1.最適なCTIはクラウド?オンプレミス?
昨今、あらゆるICTシステムがクラウドに置き換えられています。これはCTIも例外ではありません。ストレージやビジネスアプリ、果ては基幹システムまでがクラウドによって提供されています。もちろんこれは単なる流行ではありません。クラウドがトレンドとなっている背景には、ビジネスにおけるさまざまなメリットがあるのです。
そこで、まずはクラウドとオンプレミスの比較を見ていきましょう。
○クラウド型
・メリット
自社内にサーバーやネットワーク機器(電話回線も含む)などのハードウェア資産を持たず、ベンダーから間借りする形態であるため、調達コストがかからない。また、導入スピードも速く、短納期かつ低コストで新しいシステムを立ち上げられる。
・デメリット
システム構成がサービスを提供するベンダーのプランに依存するため、ややカスタマイズ性が低い。また、オンプレミス型のクローズドネットワークとは異なり、外部との通信が発生するため、セキュリティリスクがある。
○オンプレミス型
・メリット
ハードウェアやネットワークの構成をきめ細やかに設定でき、カスタマイズ性が高い。また、クローズドネットワークでセキュリティ性を高めやすく、他システムの連携も容易。
・デメリット
システムの要件定義や設計、実装などをゼロベースから行うため、短納期での導入が難しく、導入費用も高い。また、スケーラビリティの確保や運用管理にもコストがかかり、事業の足かせになりがち。
このようにクラウド型とオンプレミス型は、一長一短のように見えます。しかし、実際にはコスト面での恩恵が大きいクラウド型に軍配が上がるでしょう。特にコールセンター向けCTIの場合、導入に至る動機の多くは「効率化・コスト削減」です。
また、主要CTIの多くはセキュリティ対策や他システム連携にも注力しており、クラウド型特有のデメリットも解消されつつあります。つまり、今後はクラウド型コールセンターシステムのCTIを選択するメリットのほうが大きい、といえるでしょう。
2.導入失敗を防ぐ!CTI比較のポイント7つ
それでは実際にクラウド型CTIを比較する上でおさえるべきポイントを整理していきます。
クラウド型CTIの比較ポイントは、主に以下の7つに集約できるでしょう。
①コールセンターの規模(ビジネスの規模)
小~中規模のコールセンター(10席から100席規模)ならば、短納期でのシステム構築や柔軟な運営が可能なこと、スケールしやすいことなどが重要です。一方、大規模コールセンター(100席超)の場合は、安定性・信頼性・セキュリティ対策・トラブル発生時のサポート体制を重視すべきです。
②業務タイプ(インバウンド・アウトバウンド)
「インバウンド(受電)」「アウトバウンド(架電)」の両方に対応できることも重要な比較ポイントです。特にアウトバウンド業務に対応していると、販促活動やアンケート、アポイント獲得など、コンタクトセンターとして付加価値を高める顧客対応の仕組みを構築しやすくなります。
③機能
「何でもできるCTI」ではなく「自社のコールセンター業務に必要な機能を持ったCTI」を選定していきましょう。また、コストパフォーマンスを考え、最小構成時の価格やオプション機能の種類なども検討したいところです。
④カスタマイズ性
クラウド型はオンプレミス型に比べカスタマイズ性が劣ります。それだけに、自社の業務に合わせたカスタマイズの可否は、重要な選定ポイントです。
⑤外部連携の可否
すでに社内で利用しているシステム(CRMやSFAなどの顧客管理システム)との連携が可能かどうかも選定ポイントになり得ます。ICTシステムは連携によってシナジー効果を生みやすいため、外部連携が可能かどうかで導入の成否が決まると言っても過言ではありません。特に、着信した電話番号と紐づいた顧客情報を自動でパソコン画面にポップアップ表示するCRM連携ができると、受電業務の効率は劇的に改善します。
また、他社のパッケージやアプリとの連携に、どれだけのコストがかかるかも把握しておきましょう。
⑥トータルコスト
コストは導入から運用保守までにかかるトータルコストで比較します。クラウド型CTIは、「初期費用+座席数や拠点数に応じた従量課金」が一般的です。自社のビジネス規模に応じて最適なものを選んでいきましょう。
⑦サポート体制と導入実績
まず、自社の業務に合わせてサポート要件(対応してほしい時間帯、範囲など)を決め、可能な限りそれに近いものを選定していきましょう。また、自社と同じ業種や業態への導入実績があるかどうかもチェックしたいところです。導入実績の有無は、システムの導入スピードや導入後の安定性に繋がります。
3.主なクラウド型のCTI5サービスを比較
それでは、比較ポイントが整理できたところで、より具体的に主要CTIを比較してみます。今回比較するのは、国内で特にシェアが高い、以下5つのクラウド型CTIソリューションです。
● BIZTELコールセンター
● コネクト2.0
● CT-e1/SaaS
● COLLABOS PHONE
● PureCloud
【BIZTELコールセンター】
規模に関わらずどのようなコールセンターにもマッチする国内有数のCTIといえます。インバウンド・アウトバウンド両対応で、カスタマイズと外部連携の柔軟性、セキュリティの堅牢性に強みがあります。また、導入実績は国内トップレベルなことも見逃せません。導入スピードも最短5営業日と速く、機動性が高いCTIです。通話にかかる費用も大幅に削減された企業の事例もあり、コストカットも見込めます。
【コネクト2.0】
こちらも規模の大小にかかわらず柔軟な導入が可能で、900社以上の導入実績を誇るコールセンターシステムです。初期費用が2000円からと非常に安いことが強みでしょう。ただし、カスタマイズについては、問い合わせて確認する必要があります。
【CT-e1/SaaS】
小規模なコールセンターにマッチし、インバウンド・アウトバウンドに対応しています。災害時を想定したネットワーク冗長化が可能で、導入スピードも速いことが強みでしょう。さらに、開発エンジニアによって提供される高品質なサポートも評判を呼んでいます。
【COLLABOS PHONE】
こちらも小規模コールセンター対応のCTIで、インバウンド・アウトバウンド双方に対応し、特にインバウンド業務に強みをもっています。PCにCTIソフトをインストールして使用するタイプです。ソフトフォン特有の手軽さや低価格、短納期での導入が魅力です。
【PureCloud】
中~大規模向けのCTIで、機能に応じた段階的な料金設定が強みといえます。また、オプション機能としてCRM連携も可能です。ただし、カスタマイズについては確認が必要です。
4.まとめ
CTIシステム導入に際しては、コールセンターの規模や電話業務の内容など、さまざまな選定基準があります。それだけに比較ポイントの整理は重要なのです。しかし、必ずしも自社の選定基準に合致したCTIが存在するとは限りません。妥協や譲歩が必要なこともあります。ただし、重要な比較ポイントを把握しておけば、自然と最適なソリューションが見つかるはずです。今回紹介した7つのポイント「規模」「業務タイプ」「CTI機能の内容」「カスタマイズ性」「外部連携」「トータルコスト」「サポート体制と導入実績」は、忘れずにチェックしましょう。本稿を参考にしながら、ポイントを抑えたCTI比較を行い、お客様はもちろん、電話応対に従事している人たちの満足度の上がるシステム選定をぜひしてみてください。
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