2023.03.30

SaaS提供企業におけるCTI導入の成功事例4選

クラウド環境が一般化したことで、業種業界を問わず「SaaS(Software as a Service)」を提供する企業が増えています。一般的にSaaSは、サブスクリプション型の契約を採用することが多いようです。

そのため、良質なカスタマーサポート/カスタマーサクセスの提供による契約率の維持・向上が、ビジネスの成否を左右します。ここでは顧客対応時の効率化を実現するCTI導入のポイントなど、実際のSaaS提供企業での導入事例を紹介します。

1.SaaS提供企業にマッチするCTIとは

冒頭でも紹介したように、SaaSはサブスクリプション型の契約形態が基本となるため、いかに顧客と良好な関係を築くかが重要です。そのためには、CTIなどのITツールを駆使し、カスタマーサポート業務の質・速度の向上を検討する必要があります。

SaaS提供企業のCTI導入メリット

では、CTI導入によって発生するメリットを2つの側面から見ていきましょう。

●インサイドセールスやコールセンター業務の効率・成果アップ

CTIを導入するメリットの一つは、電話に関する業務が大幅に効率化できる点です。

インサイドセールスやコールセンターなどの業務では、特に情報収集・共有といった面でで強みを発揮します。例えば、サポート・セールス両部門の連携がスムーズになったり、クリックトゥコールによる架電効率が向上したりといった効果が期待できるでしょう。

●顧客対応品質・顧客満足度の向上

CTIを導入するメリットのもう一つが、顧客満足度の高い応対を可能にする点です。

CTIの強みとして、CRMやチャットボットといった「他システムとの連携」が挙げられるでしょう。例えばCRMとの連携では、着信時に顧客情報を表示する「着信ポップアップ機能」が利用できます。

着信ポップアップ機能の活用で、本人確認の作業や、過去の問い合わせ内容の再確認作業などが効率化されます。その結果、顧客の待ち時間が軽減され、スムーズな顧客対応が実現します。

さらにCTIは、次のような機能でも顧客対応品質・満足度の向上に貢献します。

・ソフトフォン

ソフトフォンを提供しているCTIであれば、ハードフォン(固定電話機)よりもコストを抑えられるでしょう。また、ボタンを押す手間が無くなったり、両手が空くことで他の業務が進めやすくなったりと、オペレーターの業務負荷軽減にも効果があります。

・IVR

IVR機能により、要件や顧客属性に応じて、適切な窓口へダイレクトにつながるようになるため、コミュニケーションコストの削減に効果があります。

・通話録音

顧客との会話が録音データとして残るため、トラブル時の「言った・言わない」を防止できるほか、オペレーターの対応品質向上のヒントが得られるでしょう。

・データ分析

着信数・放棄呼数・応答率などを集計し、カスタマーサポート部門の状況が数値で具体的に把握できるようになります。

カスタマーサポート強化のためのCTI選び

では、ここからは実際にCTIを選定する際のポイントについても紹介します。
SaaS提供企業がカスタマーサポート業務を強化するためには、次のような点に着目したCTI選定がおすすめです。

●クラウドであること

クラウドの利点は「イニシャルコストの低さ」と「物理的な制約の少なさ」にあります。オンプレミスのように電話機・サーバーなどの機器調達コストが必要ないうえ、サービスによっては1席単位での小規模スタートが可能です。

また、「IP電話+ソフトフォン」という組みあわせが一般的であることから、電話回線の敷設工事なども必要ありません。少人数・省スペースからのサポート部門の立ち上げや、在宅勤務向けのシステム構築などにも適しています。

また、繁閑に合わせて契約を柔軟に調整することができる点もクラウドを選ぶべき理由の一つでしょう。クラウドであれば、年間を通して稼働が大きく増減する場合なども、それに合わせてアカウント数などを調整できるサービスがあります。

●通話音声の品質

通話する際の音声の品質は、企業が考えている以上に顧客の心証を左右する要素です。デモやトライアルなどを通じて、必ずチェックしておくようにしましょう。

●契約更新の単位

SaaS企業のビジネス拡大期では、短期間にトライアンドエラーを繰り返し、スピーディーにPDCAを回せることが重要となります。これはCTIの導入においても同じことがいえるでしょう。

つまり、万が一期待していた機能・サービスが提供されない状態となってしまった場合には、素早く見切りを付けて、別のサービスにトライできる契約形態であることが大切です。そのため、年単位ではなく、月単位での契約変更・解約などができるベンダーを選ぶと良いでしょう。

●料金体系の柔軟さ

基本のサービス内容は簡素かつ低額で、なおかつオプションが細かく設定されているサービスを選ぶ方法がおすすめです。必要な機能を、必要な時に付与できる料金体系ならば、業務に必要な機能を最低限のコストで導入できるようになります。

基本プランの中に業務で使用しない機能がいくつも含まれている場合は、高コスト運営の原因になりかねません。

2. SaaS提供企業のCTI導入事例4選

では、実際にSaaS提供企業におけるCTI導入の成功事例を紹介します。

freee株式会社

https://biztel.jp/case/cs/3766/

●課題:通信品質の低さ

バックオフィス業務の効率化ソリューションを提供する株式会社freeeでは、事業者向けのプランにおいて電話サポートサービスを付与しています。しかし、以前利用していたシステムは通話環境が悪く、雑音や音声のタイムラグが生じるなど、業務に支障が発生していたとのこと。これを解決するために、CRMとの情報連携も視野に入れてCTIの再選定を行いました。

●選定したシステムの概要

Zendesk+BIZTELコールセンター

●導入後の効果

当初の課題であった通話品質は、雑音・タイムラグ共に改善し、通話コストも旧システムの2/3程度に削減。また、シンプルで操作しやすい管理画面やレポート機能、通話録音機能の活用で、対応品質の向上が実感できているそうです。

SATORI株式会社

https://biztel.jp/case/cs/3917/

●課題:自社MAツールのインサイドセールス効率アップ

MAツールを提供するSATORI株式会社では、見込み客の抽出・リモートセールス・アポイントメント獲得といった一連のインサイドセールス業務の効率化を進めていました。その一環で、架電業務の効率化を目的にCTIの選定を進めたそうです。

●システムの概要

SATORI+BIZTELコールセンター

●導入後の効果

新システムへの移行後は、「クリックトゥコール+ヘッドセットフォン」という組み合わせでの架電が可能になり、架電業務の効率が向上。電話番号の掛け間違いリスクが減ったこと、ボタンを押す動作が省略されて業務負荷が軽くなったこと、ヘッドフォンのノイズキャンセリングで顧客の音声が聞き取りやすくなったことなど、複数の効果を実感されているようです。今後は、自社MAツール(SATORI)とCTI(BIZTELコールセンター)の組み合わせをパッケージとして顧客企業に提供するプランも検討しているそうです。

株式会社スマレジ

(​​https://biztel.jp/case/cs/3611/

●課題:カスタマーサポート部門の内製化・高品質化

クラウドPOSレジサービスを手掛ける株式会社スマレジでは、自社製品のサポート業務をアウトソーサーに委託していました。しかし、応答率が50%を切るケースや、専門性の高い問い合わせへの対応が不十分なケースが発生したことから、カスタマーサポート部門の内製化を決定したそうです。

●システムの概要

BIZTELコールセンター

●導入後の効果

新システムの導入と同時に内製化を進めた結果、応答率は目に見えて改善。内製化後には100%近い数字を叩き出すこともあったそうです。現在でも90%弱の応答率を維持しています。また、正社員による精緻で的確な対応が進み、カスタマーサポート業務の質も向上しました。「スピーディーかつ柔軟に立上げが可能なクラウド型CTI」によって内製化を成功させた例といえるでしょう。

アカウンティング・サース・ジャパン株式会社

https://biztel.jp/case/cs/3778/

●課題:顧客管理の弱さと非効率なコールセンター運用

税理・会計事務所向けのクラウドサービスを提供するアカウンティング・サース・ジャパン株式会社では、「固定電話+プロジェクト管理ツール」という組み合わせでカスタマーサポート部門を運営していました。プロジェクト管理ツールは、顧客管理システムの代用として活用していたそうです。しかし、プロジェクト管理ツールからは、過去の応対履歴を参照しにくく、結局は手書きのメモを参照しながらサポート業務を行っていたそうです。また、コールセンターシステム自体を導入していなかったため、情報管理・共有機能が弱いことも、非効率な業務の原因になっていたました。

●システムの概要

salesforce+BIZTEL

●導入後の効果

顧客情報はCRM(salesforce)に集約し、CTI(BIZTEL)と連携することで業務全体の効率化が進んだそうです。具体的には、オペレーターの手書きメモ作成やコミュニケーションコストが削減され、業務の平準化が進んだことで、一人当たりの対応可能数が増加しました。また、レポート機能でPDCAサイクルの材料を入手できるようになり、業務効率化と応対品質向上が進めやすくなったそうです。

3.まとめ

ここでは、SaaS提供企業におけるCTI導入のメリットや、実際の導入事例を紹介してきました。本稿で紹介した事例からもわかる通り、顧客接点(カスタマーサポート)の強化は、当初想定していた課題以外にもメリットを発生することがあります。SaaS事業にマッチしたCTI選びによって、カスタマーサポート部門の強化を検討してみてはいかがでしょうか。