2021.02.05
2022.05.16

オンプレミスからクラウドPBXへのリプレイス事例3選

近年のPBXは、従来の電話回線ベースのものから、複数の機能をクラウドサービスとして提供する「クラウドPBX」へと移行が進んでいます。

クラウドPBXであれば、高額なメンテナンス・保守費用を大幅に削減しつつ、柔軟性・可用性の高い電話システムの構築が可能です。また、コロナ禍で多くの企業が導入を進める「在宅勤務」にも適合する仕組みです。

ここでは、クラウドPBXのメリットやオンプレミス型PBXから移行する際に注意すべきポイント、実際の移行事例などを紹介します。

クラウドPBXとは?

PBXは、公衆回線を内線に接続したり、内線同士の接続を制御したりと、内外の回線と発着信をコントロールする仕組みです。

PBXが登場する前は、内線同士の接続に外線を経由する必要があったうえに、公衆回線の本数以上に内線を設けられないことから、通信コストの高騰が問題になっていました。この問題を解決するために生まれたのがPBXです。PBXの登場により、最低限の公衆回線で複数の内線へと発着信が可能になり、通信コストの低下に役立ちました。

ただし、オンプレミス型のPBXは、非常に高価な「装置」です。また、設定変更や電話番号追加作業はベンダーに依頼する必要があり、柔軟な運用がしづらいものでもありました。

これらオンプレミス型のデメリットを解消する仕組みが「クラウドPBX」です。クラウドPBXは、PBXを「社内に設置する装置」ではなく、「クラウド上から利用可能なサービス」へと変えた製品と考えて良いでしょう。従来のPBXが持つ電話交換機能をはじめ、さまざまな付加機能をインターネット上から利用できます。

クラウドPBXの概要は以下の記事でも詳しく解説しています。

クラウドPBXのメリットとデメリット

クラウドPBXには、次のようなメリットがあります。

クラウドPBXのメリット

・通話録音やIVR、稼働状況モニタリング、CRM連携など、複数の機能を“最新の状態”で常に利用できる
・物理的な場所の制限が無く、在宅勤務時でもコールセンターやオフィス宛の電話を受けられる
・電話機の購入や回線施設が不要などの理由からイニシャルコストが低い
・オフィス内での物理的なシステム構築が必要ないため、短期導入が可能
・メンテナンス・保守費用も最小限で済むため、ランニングコストが低い
・複数拠点の設立および拠点同士の内線化が容易
・番号増減・設定変更などが容易
・オフィス移転・立上げに対応しやすい

「ランニングコストは、オンプレミスよりクラウドPBXの方が高い」という見方もあります。これは設定変更や番号追加、故障対応、保守期限切れによる買い替えといった「追加投資」が無いケースを想定していることが多いです。クラウドPBXでは、追加対応に要する費用が極めて低いことから、実際にはオンプレミス型よりも小さいコストでの運用が可能です。

一方で、一般的に次のようなデメリットもあります。

クラウドPBXのデメリット

・通話品質がネット回線依存になりがち
・発信・着信できない番号がある(警察への緊急通報110番に発信できないなど)
・サービスによってはセキュリティ対策の機能が十分ではないケースがある
・サービスによってはFAX連携が難しい

通話品質については、導入前のトライアル期間中に十分なネットワーク環境にあるか確認することで問題を回避することができます。

また、セキュリティ要件は利用する企業によって異なります。暗号化やファイアウォールなど、自社に必要なセキュリティ機能を持ったサービスを選ぶようにしましょう。

クラウドPBXサービスによってはFAX連携が難しいケースもありますが、インターネットFAXに接続可能なものを選ぶことで解消できます。

クラウドPBXのメリット・デメリットについてもっと詳しく知りたい方はこちら

クラウドPBXのメリットとデメリット、比較ポイントを徹底解説

クラウドPBXのデメリットとは?ベンダー選定が解消のカギ

オンプレミスからクラウドPBXへ移行する時のポイント

オンプレミス型PBXからクラウドPBXへの移行においては、次のようなポイントを吟味する必要があります。

機能・コスト面での比較

一般的にオンプレミス型PBXのトータルコストは、「利用する機能の数」で変動します。もし、新たな機能が必要な場合には、その機能を追加するための費用とリターン(業務効率化・省人化など)を正確に見極め、投資の可否を判断します。オンプレミス型PBXでの機能追加は、設定変更やカスタマイズ・追加開発が必要になるケースが多いため、必要十分な機能を持ったクラウドPBXへの移行によって安価に達成される可能性が高いです。

他システムとの連携仕様

CRMとの連携などによりCTI機能(着信時に顧客情報をポップアップで表示したり、CRMの画面に表示された電話番号をクリックして発信したりするなど)を利用している場合、移行後のクラウドPBXでも同じことができるかに注目してみてください。また、将来的に外部機能(音声認識システムによる通話内容のテキスト作成など)を追加する予定がある場合は、こうした機能との連携が容易に行えるかも選定のポイントになります。

セキュリティ強度

コールセンターは顧客の個人情報を扱うため、セキュリティ強度も重要な選定ポイントです。クラウドPBXの場合は「ベンダーがセキュリティ対策を施すノウハウを持っているか」を重視して、選定を進めるべきでしょう。

ベンダーの導入実績

コールセンターシステムの構成は企業によってさまざまで、業界特有の慣習も加味したシステム構築が必要です。複数の業界・業態で導入実績を持ち、伴走型のサービスを展開できるベンダーを選びたいところです。

クラウドPBXへの移行事例紹介

最後に、クラウドPBXへの移行事例を紹介します。

株式会社グロービス

●導入前の課題

社会人向けビジネススクール運営事業などを手掛ける株式会社グロービスでは、社外からの取次や営業電話など、電話対応に関連する工数削減に役立つ仕組みを探していたとのこと。また、災害発生時のBCP対策や五輪開催時の交通規制を見据え、テレワーク環境の整備も検討していたそうです。

●システムの概要

BIZTELビジネスフォン

●導入後の効果

クラウドPBXへの移行後は、IVR機能が利用できるようになり、月間20~30時間程度の工数削減を達成。また、ソフトフォンベースの仕組みに移行することで物理的な場所の制限がなくなり、コロナ禍でのテレワークへの移行もスムーズに進んだそうです。

【グロービスさま導入事例】
旧型PBXをリプレースしBIZTELを導入。業務を大幅に効率化し、BCP対策も強化

株式会社安達・グリーンワールド

●導入前の課題

リゾート施設運営などを手掛ける株式会社安達・グリーンワールドでは、海外製のオンプレミス型PBXを運用していました。しかし、設定変更のたびにメーカーへの依頼が必要なうえに、費用の前払い制による経理部門との調整や高額なライセンス費が負担になっていたとのこと。さらに機能面でも、稼働状況モニタリングや録音機能の使用に制限があり、より低コストで可用性の高い仕組みを求めていました。そのため、利用していたオンプレミス型PBXのサポートが終了になったことをきっかけに、クラウドPBXへの移行を決定したそうです。

●システムの概要

BIZTELビジネスフォン
BIZTELコールセンター
CRM連携

●導入後の効果

クラウドPBXへの移行後は、稼働状況モニタリングや通話録音機能の利用に制限がなくなりました。直感的に分かりやすい稼働状況モニタリング機能を活用し、入電状況・応答率やオペレーターの作業状況などを全員で共有できるようになったとのこと。また、通話録音の内容をオペレーター間で共有したり、モニタリングアドバイス機能を用いて教育とコミュニケーションを活性化させたりと、応対品質向上に役立つ施策も実現できるようになりました。さらに、これら新たな機能はライセンス費用や設定変更費用を気にせずに利用できるため、トータルコストの削減にもつながったそうです。

【安達・グリーンワールドさま導入事例】
海外製のオンプレミス型PBX/CTIをBIZTELへリプレース。 応対品質向上とコスト削減を同時に実現

日総工産株式会社

●導入前の課題

製造業向けのアウトソーシング事業をてがける日総工産株式会社では、国内製のオンプレミス型PBXを運用していました。しかし、老朽化と機能不足、さらには設定変更のたびに数万円の追加費用が必要になるなど、機能とコスト面の課題があったとのこと。また、複数拠点の運用が難しいことから、DR対策としての側面も検討し、クラウドPBXへの移行を決定しました。

●システムの概要

BIZTELコールセンター

●導入後の効果

クラウドPBXへの移行後は、録音機能・ACDなどの機能が管理画面から簡単に設定できるようになり、設定変更依頼のコスト・手間を削減できたとのこと。また、PBX機能は随時アップデートされるため、老朽化の懸念からも解放されました。さらに、複数拠点化が容易になったことで、BCP・DR対策として機能しているそうです。

【日総工産株式会社さま導入事例】
複数拠点のコンタクトセンター見える化推進と顧客対応力向上で目標の KPI を達成

まとめ

ここでは、オンプレミス型PBXからクラウドPBXへ移行する際の注意点や、実際の移行事例について紹介してきました。クラウドPBXは、在宅勤務制度やオフィス分散など、コロナ禍におけるビジネス環境の変化にも対応できる仕組みです。クラウドPBXへの移行をスムーズに進めるにあたり、製品自体の機能に加えて、取り扱いベンダーのノウハウや技術力を重視した選定をおすすめします。

 

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