2019.01.25
2022.02.18

VOCとは?企業を成長させる「顧客の声」の活用方法を徹底解説!

「お客様の声」の中には、経営や商品・サービス改善をするためのヒントが詰まっています。

今回紹介する「VOC(Voice of Customer)」は、直訳すると「お客様の声」です。VOCを適切に活用できれば、情報の収集・管理・分析、さらには共有やフィードバッグを通して、企業の成長を促すことに役立ちます。

では効果的なVOC活動とは、いったいどのようなものなのでしょうか。VOC活動の概要から課題、チャネル、推進方法までを解説します。

VOC(Voice OF Customer)活動とは

VOCとは「Voice of Customer」の略称です。

VOC活動とは、「お客さまの声を収集する活動」と誤解されがちかもしれません。確かにお客様の声の収集もVOC活動の一部です。しかしVOC活動が目指すものは、もう一歩先にあります。それは「商品・サービスの質と、顧客体験(CX)を向上させる」ことです。

お客様が、企業から提供される商品・サービスに対して下す評価には、様々な要求、競合他社との比較結果などが込められています。さらに市場の傾向(トレンド)をリアルタイムに反映しているという側面もあるでしょう。VOC活動を通じてお客様の声を収集・蓄積し、分析・展開していくことで、自社商品やサービスの質は向上していくはずです。

つまりVOC活動とは、お客様の声を源泉とし、自社商品やサービスに関する情報を戦略的に収集・活用する取り組みと言えます。

陥りがちなVOC活動の課題

次にVOC活動で陥りがちな3つ課題について解説します。お客様の声を積極的に集めているつもりが、VOC活用につながっていないケースは、意外と多いものです。

そもそもお客様の声を収集できていない

収集計画やお客様へのアプローチに問題があると、お客様の声を十分に集めきれていないという状況に陥りがちです。

お客様の声を収集するためには、「いつ」「どのような方法で」実行するかが大切です。つまり「収集タイミング」と「収集方法」ですね。

お客様の声を効率的に集めるための対策としては、購入直後に一定のタイミングでアンケート回答を促したり、コールセンターへの問い合わせ直後に評価を求めたりといったものがあるでしょう。

収集したが情報を管理できていない

VOC活動では、お客様の声を集めた後のプロセスのほうが重要です。労力やコストをかけて集めたVOCでも、適切に管理されなければその後の施策に繋げられません。

例えば縦割りの部署単位でVOCを保存し、横展開や集約がないという場合は、VOCに失敗していると言って良いでしょう。VOC活動は全社的なものであり、単一の部署で情報を蓄積することを目的としていません。情報の収集を行う部署を設けたとしても、集めた情報の管理については共通の認識を持つべきなのです。

施策につなげられていない

集めたVOCを実際の施策に繋げていなければ、VOC活動が成功したとは言えないでしょう。

VOCをもとに自社商品やサービス品質、サポート体制、マーケティング手法などの改善点を洗い出し、実際に改善し、その効果(売上、リピート率、解約率、顧客満足度など)を測定してこそ、VOC活動の本領が発揮されるのです。

VOC活動のチャネル

では実際にVOC活動を行ううえで、チャネル(手段・経路)になり得るものを紹介します。

コールセンター

企業とお客様が接するコールセンターは、お客様の生の声をリアルタイムに収集できる貴重な場です。

ちなみにコールセンターを通じたVOC活動では、必ずしもIT投資が必要とは限りません。オペレーターがヒアリング内容をシステムに手入力するのであれば、既存のコールセンターシステムで十分に対応可能です。

ただし、通話内容の自動録音やテキスト化、内容に沿ったカテゴリ分類、その他分析や資料への落とし込みなどを行うのであれば、IT投資が必要になるでしょう。例えばコールセンターシステムを中心に、カスタマーサービスプラットフォームやCRM、AIエンジンと接続するといった方法が考えられます。

ソーシャルリスニング

ソーシャルリスニングには、お客様1人あたりの情報量は多くないものの、大勢のお客様を対象として大量データを収集しやすいという特長があります。
ただし、情報源の属性が明確でないため、情報の精度(信憑性)にばらつきがあるという点に注意しましょう。ちなみにソーシャルリスニングは、専用ツールの導入が必要です。

アンケート

ウェブアンケートやNPS(ネットプロモータースコア)なども、VOC活動のチャネルとして有効です。一般的に、ウェブアンケートは低コストでVOCを集めやすい傾向にあります。しかし、質問の設定次第では回答に偏りが出たり、有意義な回答を得られなかったりするため、注意が必要です。

一方、NPSは既存顧客を対象に顧客ロイヤルティ(企業に対する信頼や愛着の高さ)を測ることができます。NPSと事業の成長率は相関関係にあると考えられているため、VOC活動の目的に合致しているといえるでしょう。

NPS®️についてはこちらの記事でも解説しています。

ちなみにコールセンターシステムの中には、対応終了後にアンケートを実施する機能を持つ製品があります。こういった製品を導入すれば、アンケートのためだけにコストをかけることなく、より自然な形でVOC収集が行えます。

VOCの進め方

では最後に、VOC活動の進め方について整理します。前述したとおり、VOC活動の目的は「収集」ではないため、適切なステップを踏むことが重要です。

ステップ1:目的の明確化

まず、「何のために」「どのような情報を」「どの組織で収集し」「どの組織と共有するのか」を明確にする必要があります。これにより、必要な情報や分析手法、分析結果の管理・運用方法、そこから得られるメリット(売上や顧客満足度向上など)が浮き彫りになってきます。

ステップ2:VOC活動推進体制の設計

ここでは主に、収集チャネルやチャネル別の運用設計などを設定します。これは、例えばコールセンターで使うトークスクリプトの設計などが該当するでしょう。さらに、収集した情報を蓄積・管理する方法についても決定します。

ステップ3:システム導入

必要に応じてVOC活動に必要なシステムを導入します。コールセンターシステムやCRM、カスタマーサービスプラットフォーム、AIなどが代表的です。こういったシステムの活用で、大量のVOCを収集・蓄積・管理・分析できるでしょう。

例えばコールセンターシステムとCRMとを組み合わせれば、顧客情報の取得と分析が効率よく回ります。ただし、既存のチャネルで対応可能であれば、特にIT投資を行う必要はありません。目的はシステムの導入ではなく、VOCの推進だからです。

ステップ4:実際の運用

VOC収集チャネルを稼働させ、VOCを蓄積し、商品・サービス・サポート体制の改善や顧客満足度向上を目的とした分析に使用します。分析結果は関連する業務の部門・担当者へ共有し、実際の施策へとつながっていきます。

まとめ

VOC活動を全社的な取り組みにできれば、企業の持続的な成長につながるでしょう。そのためには核となる仕組み(システム)の構築が不可欠です。

もし既存のシステムで対応できないようなら、コールセンターシステムをはじめとしたITシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。