インサイドセールスとは?基礎から実践まで、必要なシステムを交えて解説
インサイドセールスは営業活動のコストを減らしつつ、契約率の向上も期待できる営業手法として注目されています。
ただし、インサイドセールスとは、単に営業担当社員を内勤化させることではありません。
ここでは、インサイドセールスを成功させるための具体的な手法・システムについては紹介します。
目次
インサイドセールスの基礎知識
インサイドセールスは、米国で考案され、日本国内でも徐々に広まりつつある営業手法です。
元々は、広大な国土を持つ米国において、営業社員の移動コスト低減に効果があったことから注目されました。
ただし、インサイドセールスのメリットは移動コストの短縮だけではありません。
日本の国土面積は米国の4%ほどですが、インサイドセールスのメリットは十分に享受できます。
では、一体どのようなメリットがあるのでしょうか。
特徴と共に紹介します。
インサイドセールスの特徴
- ICTや通信システムの利用でリモート(遠隔地)から営業活動が可能
- 在宅勤務やテレワークと組み合わせ、時間や場所に縛られない営業活動が可能
インサイドセールスのメリット
- フィールドセールスの「移動時間」と「交通費」が減り、人的リソース不足解消が期待できる。
- ICTツール(MA、CRM、アクセス解析、SFAなど)を駆使し、アプローチのタイミングや頻度を調節できることから、営業コスト削減が見込める。
- スタンドプレイよりもチームプレイが重視されることから、チーム力向上が見込める。
- 内勤のため、現場のエースが持つ属人的なノウハウ(勘やコツ、経験、センスに依存する営業トークなど)を、ナレッジとして蓄積・共有しやすい。
このように、インサイドセールスは、コスト削減以外の効果も見込めます。
ただし、これらを享受するためには、適切な手法・システムの活用が欠かせません。
そこで、インサイドセールスの具体的なやり方を紹介します。
インサイドセールスの具体的な導入・運用の方法
インサイドセールスの導入は、いくつかのパターンがあると考えられます。
最適解は企業や現場のルール、慣習によりけりでしょう。
そこで、大枠として考えられる導入パターンを2つご紹介します。
営業活動全体のインサイドセールス化
文字通り、営業活動の開始から終了までを全てインサイドセールスにまとめてしまう方法です。
対面での案内や現場に行く必要のない商材・サービス、BtoC製品、小口の契約などに適しているでしょう。
メリット
フィールドセールス部分がほぼカットされるため、コスト削減効果が高くなります。
また、1回当たりの営業にかかる時間が大幅に短縮されるため、単純に営業回数の増加が見込めるでしょう。
デメリット
商材によっては、手触りなどの仕様やメリットがうまく伝わらず、受注率・契約率の低下につながる場合があります。
遠隔地からでも口頭でわかりやすく伝える技術が求められるでしょう。
営業活動の一部分をインサイドセールス化
契約単価が高額、もしくは内容が複雑な商材に適しています。
BtoB製品・サービス(企業向けのシステムやソリューション)などが該当するでしょう。
仕様や契約の説明のために現場に赴く必要がある場合には、フィールドセールス部分だけを残したインサイドセールス化がおすすめです。
メリット
契約確度の高い見込み客だけに絞ったフィールドセールスを展開することにより、コスト削減が見込めます。
また、実際のクロージングはフィールドセールスに引継ぐことで、顧客の信頼感や契約率を維持しやすくなるでしょう。
デメリット
インサイドセールスとフィールドセールスの連携がスムーズでない場合には、効果を実感しにくいかもしれません。
連携をスムーズにするシステムの活用が求められます。
このように、商材やビジネスの性質に合わせて導入方法を選択することが重要です。
次に、導入後の具体的な運用方法です。
導入後の具体的な運用方法
- 必要なインフラ(回線や電話機、結果を記録する仕組みなど)を整備する。
- 架電リストを作成し、優先順位をつける。
- 顧客属性に合わせてアプローチを変える(性別、年齢によって話し方を変えるなど)。
- 相手の理解度や感情を逐一チェックしながら「対話」を意識する。
- あたかも目の前に見込み客がいるように話す。
これらを全て網羅するには、担当者の事務処理能力、ハイレベルな営業スキルなどが必要です。
ただし、中には極めて属人的な能力・スキルであるため、ノウハウとして蓄積しにくいと感じる方も少なくないでしょう。
インサイドセールスにマッチするICTシステム
このように、インサイドセールスの導入・運用にはいくつかの課題があります。
これらの解決をサポートするのがICTシステムです。
インサイドセールスにマッチするICTシステムとしては、以下のようなものが考えられます。
CRM または SFA (顧客情報および営業履歴の保存、管理)
住所や電話番号、担当者名、取引きの履歴、契約期間といった顧客情報や、アプローチの内容(会話の内容、粒度など)を保存・管理できます。
また、これらを担当者以外でも事細かにチェックできることから、情報共有が容易になります。
状況に応じてアプローチを変えるときにも便利です。
MAツール(顧客接点の自動化、スコアリング、リードナーチャリングなど)
優先度、確度の高い見込み客に対し、重点的にアプローチできるようになります。
感覚的な顧客の選定から脱却し、データに基づいたアプローチが可能です。
クラウド型電話ツール(架電業務効率化、対応品質向上など)
クラウドサービスかつソフトフォン形式であることから、PC・インターネット環境・ヘッドセットがあれば発着信が可能です。
また、CRMやSFA、MAツールとの連携で、インサイドセールス業務全体の効率化が見込めるでしょう。
通話内容の録音ができるため、そこからノウハウを抽出して蓄積したり、連携先システムに取り込んだりといった施策が可能になり、顧客対応品質・マーケティング・営業手法のブラッシュアップにも繋がります。
製品にもよりますが、クラウド型電話ツールの一つであるコールセンターシステムでは、SFAやCRMとの顧客情報連携や、「クリックトゥコール機能(ワンクリックで電話発信ができる機能)」の活用が可能であり、インサイドセールスの業務効率向上を実現しています。
また、通話録音データを活用した担当社員の意識向上や、レポート機能によるデータ分析・KPI設定など、生産性の改善といった効果があることも報告されています。
Web会議システム
遠隔地同士でも、「資料の共有」や「顔を見せながらの営業」が可能になります。
目の前に見込み客が座っている感覚を維持しやすく、メールや電話よりも対話・説明が容易になるというメリットがあります。
すでに取引がある顧客との関係強化にも効果的です。
まとめ
本稿では、インサイドセールスの具体的な導入・運用方法や、マッチするICTシステムを紹介しました。
インサイドセールスは、業界や業態を問わず普及していくことが考えられます。
インサイドセールス導入のため、本稿で紹介したようなICTシステムを扱うベンダーへの問い合わせを検討してみてはいかがでしょうか。