インサイドセールス人材の育成方法とは?

インサイドセールスは、営業活動の効率化・契約率の向上に効果がある営業手法として注目されています。

その一方で、黎明期にある日本では、インサイドセールス人材の確保が難しいという現状があります。中途採用も新規育成もうまく進まない……と頭を悩ませていませんか?

ここでは、インサイドセールス担当者育成に役立つ具体的な方法を紹介しています。

需要が高まるインサイドセールス

欧米では当たり前のように行われているインサイドセールスは、今後日本でも拡大する可能性が高いと言えます。なぜなら、次のようなメリットがあるからです。

○インサイドセールスのメリット

・フィールドセールスに要していた「移動時間」と「交通費」が減り、人的リソースに余裕ができる。
・MA、CRM、アクセス解析、SFA、コールセンターシステム などのICTツールを効果的に活用できる職種であり、効率よく業務を行うことができるため、営業コスト削減が見込める。
・スタンドプレイよりもチームプレイが重視されることから、チーム力向上が見込める。
・内勤のため、高い成果を出しているメンバーのノウハウを収集・横展開することが容易にできる。

インサイドセールスが生まれた米国では、売上高5億円以上の企業のうち約3割がインサイドセールスを採用しています。さらに、米国および欧州全体では、対面セールスやリモートセールスを行う企業を売上高ベースで分析すると、インサイドセールスが47.2%を占めるという報告もあるほどです。つまり、営業の成果の約半分にインサイドセールスが貢献している計算になります。欧米のビジネストレンドが数年遅れで日本国内に浸透することを考えれば、今後数年で国内においても急速に普及することが見込まれるでしょう。

ただし、2019年時点では、まだまだフィールドセールスが主流です。そのため、インサイドセールスの経験を持つ人材が不足しており、人材の確保が難しいという現状があります。中途採用に頼らず、インサイドセールス人材を社内で育成する方法も検討すべきでしょう。

インサイドセールス人材をいかに育成するか

国内ではインサイドセールスが浸透しきっておらず、運用実績を持つ組織が少ない状態です。このことから、インサイドセールス担当者を中途で採用しようにも、市場に人材がほとんどいないという事態が考えられます。

中途採用が難しければ、育成によってインサイドセールス人材を確保していくしかありません。しかし、インサイドセールスのノウハウが広まっていない現状では、手探りで人材育成を進める企業が少なくないようです。そこで、インサイドセールス人材を育成するときのポイントをいくつか紹介していきます。

情報共有と分業制の徹底

インサイドセールス担当者全員が営業プロセスの全体像を理解した上で、担当者ごとの役割を明確化することが重要です。分業制を徹底することで、各プロセスにおける人材育成が進みやすくなります。

KPI設定と進捗確認

アポイントメント数だけではなく、電話数・有効会話・アポイント件数・商談確定数、契約数ごとに評価指標を設定しましょう。また、部門間でKPIの進捗状況を共有することも必要です。KPI設定と進捗確認を推進することで、各部門のメンバーが全体最適を意識して行動できるようになるでしょう。

担当者間でのクロスチェック

インサイドセースルチーム内の担当者間(リード担当、クロージング担当など)で、双方の商談内容をチェックし、ヒアリングや受注の進め方を指摘し合いましょう。自分の担当以外の業務について理解が深まるとともに、担当者同士の連携意識が高まります(フィールドセールス担当がクロージングを担う場合も同様)。

きめ細やかなマネジメント

週次で個人面談を行うなど、担当者のモチベーション維持と目的意識共有に努めると良いでしょう。

商談時の意識改革

「テレアポのテクニック」に頼りすぎず、かつ「いかに顧客に話してもらうか」という意識づけをしましょう。ここで言うテレアポのテクニックとは、「聞き手の興味関心を引くストーリー、インパクトの強い言葉の提示」や「ベネフィットを畳みかけるように打ち出す」といったものです。これらは決して「悪」ではないものの、インサイドセールスには不向きと考えたほうが良いかもしれません。

インサイドセールスでは、自分よりも顧客に長く話してもらうことで、課題に対する理解が深まり、信頼関係を築くきっかけになります。まずはヒアリングから入り、製品やサービスの説明・案内は最後に行うなど、相手の立場に立った会話を徹底することが大切です。

また、早口の顧客には話すスピードを速め、ゆっくり話す顧客にはスピードを落とすなど、顧客のペースに合わせた会話スピードの調節も心がけましょう。

既存顧客の担当者からノウハウを吸収する

既に一定の信頼関係・実績を積み上げた既存顧客からインサイドセールスを開始しましょう。その既存顧客のフィールドセールス担当者との密な連携を心がけ、「過去の商談の内容」や「ビジネス上の課題」「顧客の好み」などをインサイドセールス担当者が吸収し、チーム全体のナレッジとして蓄積することが狙いです。

具体的には、現状の業務課題や情報ニーズなどをヒアリングし、役立つ情報を定期的に提供していきます。そして、情報提供後に顧客にサービスの必要性や予算化時期などを確認し、確度が高そうであれば提案します。

通話録音システムの活用

インサイドセールス担当者の育成では、クロスチェックや商談時の意識改革、営業担当者のトーク手法に対する理解など、「録音ツール」を必要とする場面が多くなります。そのため、通話録音機能が使える電話システムの導入も検討しましょう。

インサイドセールス担当者育成とコールセンターシステム

インサイドセールス人材の育成では、商談内容のクロスチェックや情報共有、応対の引き継ぎなどで「録音ツール」を使用する機会が増えると考えられます。また、リアルタイムで商談内容のチェックが行える「モニタリングツール」も有効でしょう。

そのため、通話機能しか持たない一般的な電話を使うよりも、通話録音やモニタリング機能も備えているコールセンターシステム (電話とコンピュータの統合システム)を利用することが望ましいです。

では、インサイドセールス人材の育成に役立つコールセンターシステムを、どういった視点で選ぶべきなのでしょうか。コールセンターシステムを選定するポイントとしては、以下3つが挙げられます。

CRMやSFAとの親和性が高いか

コールセンターシステムの中には、CRM・SFAとの連携機能を持つものがあります。

CRMでは顧客情報の蓄積・管理・共有が進み、SFAは営業プロセスの情報共有・可視化が見込めます。どちらも営業活動はもちろん、インサイドセールスの人材育成の効率化に役立ちます。

コールセンターシステムを選ぶ際は、CRM・SFAとのスムーズな連携が可能か、また連携することでどのような機能が使えるようになるかを確認しましょう。

使いやすいUIを採用しているか

操作性が悪かったり、扱いに専門知識が必要だったりするようなシステムでは、かえって営業効率を落としてしまいます。担当者が顧客との会話に集中するためには、使いやすいUIであることが重要です。

小規模な導入が可能か

前述したように、インサイドセールスは、既存顧客から部分的に適用するのが望ましいといえます。したがって、数席程度のごく小規模な仕組みを構築できるコールセンターシステムが望ましいと言えるでしょう。

クラウド型コールセンターシステムであれば、10席未満の小規模コールセンターに対応しているソリューションがあります。クラウド型コールセンターシステムは短納期、低いランニングコスト、優れたスケーラビリティなどが強みです。インサイドセールスを「小さく産んで大きく育てる」には、クラウド型コールセンターシステムが適していると言えます。

まとめ

本稿では、インサイドセールス人材の育成方法と、そこで役立つツールについて紹介してきました。

通話録音機能やモニタリング機能をもったクラウド型コールセンターシステムは、インサイドセールスの人材育成においてベースになり得るソリューションです。

インサイドセールス人材の育成にあたり、こうした便利なツールを利用することを検討してはいかがでしょうか。