リモートワークにおける音声認識AIの効果とは?活用事例やコンタクトセンターシステムとの連携についても紹介
コンタクトセンターでは、新型コロナウイルスの影響によって在宅勤務が一般化したことで、
■ 物理的に目が届かないオペレーターをどのように監督するか
■ 対面でのコミュニケーションが制限される中、オペレーターが抱える問題をどう解決するか
が課題になっています。
これらを解決するための手段として、AIとコンタクトセンターシステムの組み合わせが有効です。
今回は、音声認識AIとコンタクトセンターシステムによる「在宅勤務時の課題解決方法」を紹介します。
目次
1.在宅勤務におけるコンタクトセンターの課題
まず、コロナ禍におけるコンタクトセンターの課題について見ていきましょう。
業務効率・応対品質の低下
在宅勤務でも稼働が維持できるよう、多くのコンタクトセンターがそのための環境づくりに注力しています。
しかし、管理者やSVがオペレーターの働きぶりを目視で確認できず、全体の稼働状況が把握できないため、状況に応じた業務の振り分けや、オペレーターへの適切なフォローが難しいという声がよく聞かれます。
その結果、応対品質や業務効率の低下を招いてしまうケースも少なくありません。
オペレーターの負荷増加・離職の喚起
センター全体の稼働が把握できないと、上記のように業務が適切に回らず、オペレーター個々人の負荷を増加させることにもなります。
また、対面でやりとりをする機会が減少することでコミュニケーションにかかる手間が増加し、新人オペレーターへの教育に大きく影響してしまう場合もあります。管理側の業務量が増えるのみならず、コミュニケーション不足から「職場になじめるか」「業務スキル・知識をきちんと習得できるか」といった不安が増し、オペレーターの離職につながってしまうことが懸念されるでしょう。
「在宅勤務に移行したことで、逆に業務量が増えてしまったから出社体制に戻したい」ということも珍しくないのが実情です。
2. AI×コンタクトセンターシステムが在宅勤務時の課題を解決
これらコロナ禍におけるコンタクトセンターの課題を解決する方法として、「AIとコンタクトセンターシステムの連携によるコミュニケーション機能の強化」が挙げられます。
リモートワークの弊害は「コミュニケーション機能」の強化で解決
これまでのコンタクトセンターは、オペレーター全員が出社している状態を前提としていました。そのため、リモート環境に移行した途端に管理者とオペレーターのコミュニケーション頻度・品質が低下し、そのことが種々の問題を生み出す原因となっています。
AIとコンタクトセンターシステムを組み合わせたソリューションでは、リモートでも応対品質の管理、顧客とのやりとりの把握、オペレーター間のナレッジ共有といった様々な業務支援が行えます。
特に、音声認識AIによって、通話内容のテキスト化・記録業務の効率化・問い合わせの傾向把握などが実現すれば、リモートワークに伴う弊害が防止できるでしょう。
具体的には、次のようなAIの機能が有望視されています。
●キーワード分析による問い合わせ傾向の可視化
AIはキーワード単位で問い合わせの傾向を認識することができます。出現傾向の強いキーワードから、用意すべきFAQを特定したり、顧客が関心を持っているポイントがどこにあるかを把握したりすることができます。
●通話内容のテキスト化
AIが会話を自動でテキスト化する機能です。音声よりも通話内容の可視性が高く、問題のある応対やフォローが必要な問い合わせなどを察知しやすくなります。
●報告書作成支援
通話テキスト化機能の活用により、報告書の作成業務も大幅に効率化することができます。雑務の負荷が減ることで、コア業務にリソースを集中できます。
●自動スコアリングによるオペレーターの評価
AIによるスコアリング機能を用いて、各オペレーターのパフォーマンスを可視化します。スコアリングにより、管理者は応対品質が低い(もしくは高い)オペレーターをすぐに認識でき、適切なフォローを行うことができます。
3. コミュニケーションAI「RECAIUS(リカイアス)」の特徴と活用事例
クラウド型のコンタクトセンターシステムであるBIZTELは、上記のような機能を持ちあわせたコミュニケーションAI「RECAIUS」との連携によって、在宅勤務でのコンタクトセンター運営を効率的に支援することが可能です。
RECAIUSの特徴
- 東芝が長年研究・開発してきた、音声認識・音声合成・自然言語処理・知識処理などの様々な技術を融合したコミュニケーションAI
- 電話対応業務に特化したサービス「コンタクトセンタープラス」を提供
- 通話の見える化と、オペレーター・SV(管理者)のコミュニケーション促進にフォーカスした機能を搭載
RECAIUS コンタクトセンタープラスの主な機能
●通話の自動テキスト化
通話内容をリアルタイムにテキストデータへと変換する機能です。自動要約ができるため、応対履歴の入力といった後作業にかかる時間を大幅に削減することができます。
●テキスト化した通話のモニタリング
各オペレーターの通話内容をリアルタイムでテキスト表示します。注意すべきワードが発された際にアラートを出すことができ、トラブル発生を未然に防ぐためのフォローが迅速に行えます。
●応対品質の評価と問い合わせ傾向の可視化
RECAIUSでは、1通話ごとに複数の項目(話速・口癖・適切なあいづちが打てているか、など)で応対品質のスコアリングが実施されます。スコアリング結果はレーダーチャートで表示されるため、どの項目が弱いのかがすぐに確認できます。
また、通話中に用いられるワードの出現頻度から会話の傾向を分析し、管理者・オペレーター間で共有することも可能です。リモート環境下で不足しがちなコミュニケーションを補完し、問い合わせ状況について管理者・オペレーター間で認識の齟齬が生まれることを防ぎます。
●AIによるFAQレコメンドの自動表示
通話内容に合わせてAIがFAQの候補をオペレーターに自動表示するため、迅速に対応することができます。
●コンタクトセンターシステムとの連携
RECAIUSは、BIZTEL などのコンタクトセンターシステムの機能と組み合わせて使用することで、業務改善の効果をさらに高めることが可能です。
例えば、BIZTELではモニタリング・ささやき機能が活用でき、管理者がオペレーターの通話を聴取しつつ、オペレーターだけに聞こえる音声で指示が出せます。この機能に加えて、RECAIUSの通話テキスト化機能を利用することで、書き起こしを見ながらアドバイスが出せるようになり、リモートワーク環境でも適切なフォローがしやすく、オフィスと遜色のない応対品質が維持できます。
活用事例
最後に、RECAIUSの活用事例を紹介します。
●テキスト入力業務を自動化し、作業量を3割削減
WorkVision社のコンタクトセンターでは、オペレーターが通話録音をもとにCRMへの応対結果の入力を行っていました。しかし、聞き取りにくい箇所を何度も聞き返す必要があるなど手間がかかっていたため、いかに工数を削減するかが課題になっていました。
そこでRECAIUSを導入し、CRMへの入力業務を改善。通話の自動テキスト化・要約化により作業量が3割削減され、効率的なコンタクトセンター運営が実現しています。
4.まとめ
ここでは、リモートワーク環境下のコンタクトセンターにおける課題と、コミュニケーションAI導入の効果を紹介してきました。
コロナ禍では、業務プロセスの刷新を迫られるコンタクトセンターが増加しています。管理者とオペレーターが物理的に離れてしまうことで起こる弊害は、応対品質や定着率に悪影響を与えるためです。
コミュニケーションAIの活用には、これらリモートワーク特有の課題を解決するヒントがあるかもしれません。リモートワーク体制への移行でお悩みなら、音声認識AI「RECAIUS」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。