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2022.06.14

PBXとは?仕組み・機能・ビジネスフォンやCTIとの違いなどを解説

PBXは外線と内線のシームレスな接続のために用いられる仕組みです。

PBXは、電話回線で接続するアナログPBX・デジタルPBXからインターネットプロトコルを活用したIP-PBXへ、さらにクラウド上で機能を提供するクラウドPBXへと進化してきました。ここでは、PBXが持つ機能やビジネスフォン・CTIとの違い、選定時のポイントなどについて解説します。

1.PBXとは?概要・歴史・機能を紹介

PBXとは「Private Branch eXchange(構内交換機)」の略称で、「外線を経由せずに内線同士を接続できるシステム」を表しています。例えば、複数の外線・内線を設置する企業などにおいては、最低限の外線(公衆電話回線)で電話網を構築できるようになります。

PBXの歴史

PBXはもともと、電話交換手が手動で行っていた公衆回線の交換業務を「企業内で」「自動的に」行うことを目的として開発されました。それまで電話交換は「1:1」で行われていましたが、電話交換機の普及に伴い「1:複数」の接続が可能になりました。やがて、電話交換機の進化版ともいえる「アナログPBX」が登場します。さらにアナログPBXは、ISDN網の普及とともに、音声をデジタル処理するデジタルPBXへと移行していきます。

2004年ごろからは、IP回線を介して音声通信を行う「IP電話」が普及し始め、デジタルPBXが「IP-PBX」へと進化しました。IP-PBXは、電話回線の維持コストがかからず、IP環境が準備されていれば比較的容易に導入できるという強みを持っています。また、電話とシステムとの統合技術(CTI= Computer Telephony Integration)も進み、この頃に現在のコールセンターシステムの原型が出来上がりました。

2006年以降になると、BIZTELをはじめ、PBXの機能がクラウドサービスとして利用できる「クラウドPBX」が登場し始めます。以前はPBX本体を購入し、自社に設置する必要のあったオンプレミス型がスタンダードでしたが、クラウドPBXは、PBX本体の購入や自社サーバーを必要とせず、PBXの機能のみをクラウドサービスとして受け取ることが可能です。したがって、PBX本体の調達・設置コストが発生せず、極めて小さいコストでPBXを使うことができるという特徴を持っています。

また、内線番号・座席・機能の追加も容易であり、「必要なときに、必要な座席数分を、短期間で」利用できることが強みです。

PBXの主な機能

PBXの主な機能としては、次のようなものがあります。

●発着信制御

発信時に回線を指定したり、特定の親番号に紐づく子番号へ着信させたりといった制御が可能です。

●パーク保留

保留にした際、着信した電話機以外からでも通話に戻れるようにする機能です。専門性の高い問い合わせに対し、より詳しい担当者へ対応を依頼する場合などにも重宝します。

●内線通話

企業が利用する電話機同士を、内線で網の目のようにつなぐことで、相互に発着信・通話することができます。外線を一切経由せずに無料で通話できるため、通話コストの削減に役立ちます。

●ダイヤルイン機能

一つの電話回線契約で複数の電話番号を取得し、その番号ごとに着信先の電話機が指定できる機能です。少数の外線で複数の企業内電話機に着信指定ができることから、コストを抑えつつ細やかな着信の割り振りが可能になります。

※ BIZTELにおける「ダイヤルイン番号」は、「電話機ごとに設定できる、直接着信が受けられる外線番号」を指します。「一つの電話回線の契約で複数の電話番号が取得できる」といった意味合いは含まれておらず、上記の定義とは異なります。

●代表番号設定

代表番号あての着信に対し、複数の電話機で応答できるようになる機能です。あらかじめ複数の電話機を登録した「グループ」を作成しておき、さらにグループの代表番号を指定することで利用できます。

●転送機能

不在時にあらかじめ指定した番号へ転送する「不在転送」、着信した電話機が通話中の場合に自動転送を行う「話中転送」、応対者が転送先の相手と会話をしてから取り次ぐことができる「保留転送」などが利用可能です。ビジネスシーンに応じて様々な転送を利用できることは、PBXが持つ最大の強みのひとつといえるでしょう。

2.PBXとビジネスフォン・CTIとの違い

次に、PBXとビジネスフォン・CTIとの違いについて整理していきましょう。いずれも企業内の電話システムにおいてよく使われる仕組みですが、厳密には以下のような違いがあります。

PBXとビジネスフォンの違い

●機能の豊富さ

一般的にビジネスフォンとは、「主装置」という交換機と電話機とで構成された仕組みのことをいいます。ビジネスフォンでも、機種によってはPBXと同様に自動転送や留守番電話・通話録音が可能です。
PBXはこれらに加えて、コールフローの設定や拠点間の内線網の構築がしやすかったり、APIによって他システムと連携できたりと、サービスによってさらに高度な設定・制御ができる可能性があります。

※ 「BIZTEL ビジネスフォン」の場合、主装置の代わりにクラウドPBXを交換機として利用しており、上記にあげたPBXの特性・機能を活かすことができます。

●コントロール可能な規模の違い

主装置で通話の交換を行うビジネスフォンでは、小中規模(数席~百席)のオフィス・コールセンターに適していることが多いです。一方、座席数が数百~千席の大規模なケースになると、PBXによるコントロールのほうが適しています。ただし、PBXはクラウド型のサービスであれば極めて小規模(数席程度)のオフィス・コールセンターでも利用しやすいため、実際には規模に制限がない(小規模~大規模すべてに対応できる)といえるでしょう。

●価格帯

オンプレミス型PBXとビジネスフォンを比較した場合、単純なサービス価格では一般的にビジネスフォンのほうが安いでしょう。ただし、クラウド型PBXは電話機を含めたハードウェア調達費用が極めて小さいため、総合的な運用コストではビジネスフォンよりも安価であることも多いです。特に中規模以上(数十席〜)からはクラウドPBXのほうがスケールメリットが大きい可能性が高いといえるでしょう。

PBXとCTIの違い

CTIはコンピューターと電話を統合する技術、または電話に関する様々な仕組みを相互に連携させるシステムを指します。これに対しPBXは、CTIを構成するユニットのひとつです。CTIは、PBX・CRM・SFAなどを連携させてコールセンターシステムの高度化を図る仕組み、と理解しておくと良いでしょう。

3.PBXの種類

PBXは、電話回線と物理的な機器の有無によって呼び方を区別するのが一般的です。

電話線を使う「アナログPBX・デジタルPBX」

電話線を利用して通話を実現する、現在では最もレガシーといえる形式のPBXです。それぞれアナログ電話回線・デジタル電話回線(ISDN回線)を利用して通話を実現します。
インターネット回線を利用するIP電話が登場する以前、1990年代ごろまではこれらのPBXが一般的でした。

IP回線を使う「IP-PBX」

インターネットプロトコル回線(IP回線)を用いて通話を実現するのが「IP-PBX」です。
VoIPと呼ばれる技術によって音声をインターネット回線にのせて処理できるようになり、運用コストの削減が可能になったことで急速に普及しました。

一方、音質はIP回線の品質に依存してしまう側面があり、環境によっては電話回線に比べ安定性でやや劣る場合があります。
IP-PBXはPBX機器を自社内に設置するタイプのものと、自社のサーバーにソフトウェアをインストールするタイプのものがあります。

物理的な設備が必要な「オンプレ型PBX」

利用にあたってPBX機器など物理的な設備を必要とする場合、それらは「オンプレ型PBX」と呼ばれます。一般的にはアナログPBXやデジタルPBX、IP-PBXがこれに分類されます。

総じてシステムの安定性が高く細かいカスタマイズができる一方、システムの保守費用や更新費用といったコストが高くなりがちというデメリットも抱えています。

物理的な設備を必要としない「クラウドPBX」

クラウド上にあるサーバーからPBXの機能を利用できるものは「クラウドPBX」に分類されます。物理的な設備を必要としないため場所にとらわれない運用ができるほか、オンプレ型に比べ非常に安価に利用できるのが特長です。
近年では在宅勤務・テレワークが一般的になったため、クラウドPBXによって在宅でのコールセンター体制を整えている企業も増えています。

一方、インターネット回線を用いて通話を行うため、音質がインターネット回線の品質に依存してしまうことに注意が必要です。

PBXの特徴と種類を図解

PBXの種類を簡単に整理すると以下のような図になります。

 

4.オンプレミス型/クラウド型PBXのメリット・デメリットを比較

近年はクラウド型PBXが急速に普及し、オンプレミス型PBXからの移行が進んでいます。ただし、一概にどちらが優れているとは言い難く、どちらを選択すべきかはケースバイケースです。両者のメリット・デメリットを把握して適切な選定を心掛けていきましょう。

オンプレミス型PBXの特徴と、メリット・デメリット

●特徴

オンプレミス型PBXは、自社内(構内)にPBXを設置する形式です。PBX主装置の調達やネットワークの施設工事費が必要で、イニシャルコストが高いという特徴があります。その代わり、自社独自の業務要件に対応する詳細なカスタマイズが可能で、通話品質も良いという強みがあります。

●メリット

・カスタマイズ性の高さ
オンプレミス型PBXでは、業務要件に応じて詳細なカスタマイズが可能なことが多いです。予算や設置スペースに余裕があるならば、かなり細かく業務要件を追求することができるでしょう。

・セキュリティ強度の高さ
オンプレミス型PBXは、インターネットなど外部のネットワークを経由せず、自社内のネットワークのみを用いて構築するケースが大半です。クローズドな環境で構築するため、不正アクセスや情報漏洩のリスクが低減しやすくなります。

・システム連携
企業内ネットワークのみを用いるオンプレミス型PBXでは、開発が必要なケースがありますが、基本的にどの社内システムとも連携が可能です。

●デメリット

・イニシャルコストの高さ
オンプレミス型PBXの場合、本体の調達費用に加え、回線の敷設や関連機器の設置工事、業務に合わせた設定・チューニングなど種々のコストが必要です。

・ランニングコストの高さ
オンプレミス型PBXは、設定変更のたびにベンダーへ依頼してエンジニアを派遣してもらわなくてはなりません。また、社内に専任の管理者を置く場合、その分の人件費も必要です。

・移転・拡張に時間がかかる
オンプレミス型PBXは構内に物理的な機器を設置するため、拠点の移動や拡張をする際に時間と手間がかかります。拠点の分散化でコールセンターを新たに開設する場合など、本番稼働までのリードタイムが長くなりがちです。

クラウド型PBXの特徴と、メリット・デメリット

●特徴

クラウド型PBXは、IP-PBXをさらに発展させたものです。インターネット回線を利用して通話ができることに加え、PBX機能をクラウドサービスとして提供しているため、自社でサーバーを持つ必要もなくなりました。そのため、ハードウェアの調達コストがほとんど必要ない上、短期間での導入が可能です。また、数席~千席規模まで幅広く対応可能です。相手の番号に応じてコールフローが設定できる「着信ルーティング」や、API連携機能を活用した外部システムとのシームレスな連携など、クラウド型PBX特有の高度な使い方が選択できることも特徴のひとつでしょう。予算やスペースの制約が小さいことから、拠点分散やリモートワークに適合しやすく、コロナ禍におけるオンラインシフトの流行で、さらに需要が伸びています。

●メリット

・低コスト・短納期
PBX本体の購入・設置や、電話回線の敷設工事などにかかるコストが必要ないことから、イニシャルコストの節約が可能です。また、ソフトフォン(PC上で操作する電話機)を無償提供しているサービスであれば、電話機の購入代もかかりません。

・運用コストが小さい
クラウドPBXのメンテナンス・保守は基本的にクラウドベンダーが担うため、費用が大幅に削減できます。また、保守期間切れによる買い替えも発生しません。「トータルコストでは月間利用料が必要なクラウド型PBXの方が高い」という意見もありますが、機能追加・設定変更・保守・メンテナンス・買い替えにかかるコストを5年~10年のスパンで考慮すると、クラウド型が有利になる可能性が高いです。

・最新の状態を維持しやすい
ソフトウェアなどが自動でアップデートされるクラウド型PBXでは、常に最新の機能を利用できます。

・複数拠点の内線化が容易
クラウドPBXには場所の制限がないため、拠点同士をつないだ内線化が容易に実現できます。遠隔地同士を結び、全国に点在する人材を仮想コールセンターのメンバーとしてアサインするなど、コールセンター構築にも幅が生まれます。

・番号増減・設定変更などの労力が小さい
クラウド型PBXでは、ブラウザの管理画面から番号追加・削除・設定変更(録音、転送のon/offなど)が可能です。ベンダーにエンジニアの派遣を要請せずとも、社内の人材のみで作業が完結します。

・豊富な付加機能・外部システム連携機能
クラウドPBXでは、「IVR(音声自動応答システム)」「着信転送」「ソフトフォン」などの様々な機能を、利用したい時にすぐに利用することができます。オンプレミス型PBXの場合は機能追加に長い開発期間がかかったり、保守対応が大規模になってしまったりすることもあるため、利用したい機能をスピーディーに追加することは難しいでしょう。
また、CRMやSFAなど外部システムとの連携により、顧客情報のリアルタイム表示やナレッジ共有など、応対品質向上・オペレーターの負担軽減に役立つ機能も利用できるようになります。

●デメリット

・通話品質がネット回線の品質に依存しがち
クラウドPBXは、インターネット回線を利用して通話を行うため、通話品質がインターネット回線の品質に左右されがちです。したがって、できるだけ高品質なインターネット回線の契約を心掛けたいところです。

・セキュリティ強度
外部ネットワークとの接続が発生するクラウドPBXでは、不正アクセスや情報漏洩が危惧されることがあります。ただし、クラウドサービスのセキュリティレベルは年々向上しており、オンプレミス型と遜色がないことも少なくありません。FW(ファイアウォール)や暗号化・ウィルスチェックサービスなど、自社の基準が満たせるセキュリティ機能を提供しているベンダーを選びましょう。

・発信規制
クラウドPBXを介した発信では、「ナビダイヤル」や「番号案内」といった電話サービスへつなぐことができない場合があります。ただし、そのようなサービスに企業内から発信することは極めて稀ですから、実際にはそれほど問題にならないでしょう。

・FAX連携
インターネット回線をベースとするクラウド型PBXでは、アナログ電話回線をベースとしたFAXへの接続が難しいことがあります。ベンダーによってはクラウドPBXでも利用できる「インターネットFAX」を提供していますので、そちらを利用すると良いでしょう。

4.クラウドPBXと他システムの連携で可能になる機能

クラウドPBXはCRMやSFAといった外部システムとの連携で、機能をさらに強化することが可能です。以下は、外部システムとの連携で可能になる機能の一例です。

着信ポップアップ

着信時に顧客情報をポップアップ表示する機能です。CRMなどに保存された顧客情報や過去の応対履歴を表示できるため、顧客の属性やこれまでの経緯を踏まえた対応が可能になり、応対品質の向上が期待できます。

クリックトゥコール

マウスクリックによって架電が可能になる機能です。外部システムに登録された番号をクリックだけで発信できるため、かけ違いを防止したり、架電のたびに番号をプッシュする必要がなくなったりするなど、労力の削減・業務の効率化に役立ちます。

通話履歴連携

顧客情報画面に通話した日時や通話録音ファイルを自動的に保存する機能です。どの応対でどういった通話が行われたかを紐づけて管理できるため、応対履歴の振り返りやクレーム調査・業務効率化などに役立ちます。

5.PBX選定時のポイントとは?

最後に、PBX選定時のポイントを整理して紹介します。PBX選定においては、「オンプレミス型」「クラウド型」の2択で悩むケースが多いでしょう。
基本的に「納期」「イニシャルコスト」を重視して考えると、クラウド型PBXに軍配があがります。クラウド型PBXは日々進化しており、よほど業務要件が複雑でない限りは、クラウド型PBXがおすすめです。では、その他の選定ポイントについて具体的に見ていきましょう。

事業の将来性にマッチしているか

PBXの選定においては、自社事業の将来像とマッチしているかも重要なポイントです。具体的には次のような点を考慮する必要があります。

  • 業務拡大の可能性(席数の追加予定、頻度など)
  • リモートワーク・テレワーク導入計画の有無
  • コールセンター拠点の分散化・冗長化の必要性

もし、座席数の追加やテレワーク導入・拠点分散化などが予定されているようであれば、これらに対応できる機能をもったクラウド型PBXの導入が望ましいです。

業務要件を満たす機能があるか

・連携仕様について
上述の着信ポップアップやクリックトゥコールのような、CRMなどとの連携による機能を利用したい場合は、自社が使用するシステムとの連携が可能かチェックする必要があります。また、通話の自動テキスト化など、音声認識システム・AIツールを将来的に活用したい場合は、API連携に対応しているサービスを選択しましょう。

・設定変更の頻度
内線番号の追加や音声ガイダンスの変更など、各種設定が頻繁に行われる場合は、ブラウザから設定変更が可能なサービスが適しています。

・使用端末
PCを電話の端末として使用する場合は、ソフトフォン(画面上で操作する電話機)が無償で利用できるサービスがおすすめです。

ベンダーの技術力・ノウハウ・実績

PBXの導入においては、提供ベンダーについて以下3つのポイントをチェックしましょう。

・複数の業界・業態で導入実績があるか
様々な業界・業態への導入実績は、技術力や提案力に幅があることの証拠です。基本的な機能・サービスが揃っていることに加え、顧客に応じて最適なサービスの組み合わせを提案できるベンダーであれば、スムーズに導入が進むと考えられます。

・技術力
API連携など、自社が求めるシステム連携を可能にする技術力があるかも重要なポイントです。本来は連携が想定されていないシステム同士であっても、ベンダーがAPI連携サービスを提供していれば、接続が可能になることもあります。

・メジャーなパッケージソリューションとの連携可否
クラウド型PBXは外部システムとの連携によって様々な機能を実現できる仕組みです。Salesforce・kintone・slackなど、国内外のメジャーなパッケージソリューションとの連携が可能であれば、PBXの機能を強化しやすくなります。

6.まとめ

ここでは、PBXの概要やタイプによる比較、選定時のポイントなどについて解説してきました。PBXは企業の顧客接点を強化し、社内外のコミュニケーション効率を上げるために欠かせない仕組みです。

特にクラウド型PBXは、オフィスの多拠点化・テレワーク移行・コールセンターの新規開設など、現代の時流にマッチした使い方を実現しやすいため、おすすめです。ベンダーの導入実績や、サービス内容・コストなどを総合的に比較しながら選定を進めてみてください。