CTIとは?知っておきたい機能や種類、導入のポイントやシステム連携について徹底解説!
[最終更新日:2022/8/23]
本記事では、
- CTIとはなんなのか、利用するメリットが知りたい
- CTIにどんな機能があるのか知りたい
- どんなCTIシステムがあるのか知りたい
といった方のために、CTIの概要やメリット・機能を解説し、さらにオススメのCTIシステムを紹介します。
顧客満足度向上のため、CTIシステムの導入を検討する際にご活用ください。
目次
CTIとは
CTI(Computer Telephony Integration)は、電話とコンピューターをつなぎ、それぞれが連携して動作するように統合・制御する技術、またはシステムです。
CTIを導入することで、音声や発着信情報といった電話に関するデータをコンピューター上のアプリケーションと連携して利用することが可能です。
例えば、着信のあった番号をもとに顧客情報を検索してコンピューターに表示するなど、オペレーターの作業効率や応対品質の向上に役立つ機能が利用できます。
現在、オフィスやコールセンターの業務では、電話機以外にも様々なデバイスやソフトウェアが使われています。
例として、オペレーターが利用するPCや自社の顧客情報を管理するCRMシステム・データベース、電話の発着信・保留・転送などの制御を行うPBX(Private Branch eXchange)、オペレーター業務をより円滑にするコールセンターシステムなどが挙げられます。
そういった様々なシステムを電話と連携する技術のことをCTIと呼びます。現在では、そのような機能をもったシステム自体をCTIと呼ぶのが一般的です。
CTIは、コールセンター業務を支える非常に重要な仕組みといえるでしょう。
PBX・コールセンターシステムとCTIの違い
CTIは、コールセンターシステムと一体となった形で提供されることがほとんどです。サービスによってはさらにPBXの機能を併せ持つものもあります。
コールセンター システムやPBXは、CTIと同じくオフィスやコールセンターの電話業務で使われる代表的なシステム・ソフトウェアです。混同されることも多いですが、厳密にはそれぞれ異なった概念を指しています。
どのような違いがあるのか、簡単に整理してみましょう。
電話とコンピュータ全体の制御を行う「CTI」
CTIは、電話に関する様々な仕組みを相互に連携するシステムです。
PBXやコールセンターシステムといった、本来は独立しているシステムをそれぞれ統合・制御し、連携する役割を持ちます。
電話業務をスムーズに行うためには欠かせない技術です。
電話機能の制御を行う「PBX」
PBXは構内交換機とも呼ばれ、電話に関する様々な動作の制御を行うシステムを指します。
PBXによって、オフィスの内線・外線通話の発着信や転送・保留といった機能を利用することができます。
企業が使う電話に対して、基本的な機能制御を行うシステムがPBXだと覚えておくとよいでしょう。
コールセンター業務の効率化をサポートする「コールセンターシステム」
コールセンターシステムは名前の通り、コールセンターにおける業務を効率化する多彩な機能を持ったシステムです。
入電情報や問い合わせ内容に応じて適切なオペレーターに着信を振り分けたり(ACD)、音声ガイダンスを設定(IVR)したりすることができるほか、コールセンターの稼働状況を可視化したり、活動状況を統計レポートとしてまとめたりすることもできます。
また、お客さまとの通話中にSVがオペレーターのみに聞こえる音声でアドバイスを行うといった機能を持っているシステムもあります。
CTI・PBX・コールセンターシステムが混同される理由
このように、CTI・PBX・コールセンターシステムは機能や役割に大きな違いがあります。
しかし最近ではこれらの言葉が混同され、「電話業務を効率化するシステム」として使われることが一般的になっています。
CTI・PBX・コールセンターシステムそれぞれの機能をひとつに併せ持った、オール・イン・ワンのサービスが広く知られるようになったためです。
CTI導入のメリット
では、CTIを導入すると、企業はどのような効果を得ることができるのでしょうか。ここからは、CTIの導入メリットについて解説します。
業務効率化
CTIの様々な機能を活用することで、応対業務の抜本的な効率化が実現できます。
多くの企業で実践している業務効率化の例として、顧客管理システムとCTIを連携し、通話開始前に顧客の情報を表示する仕組みなどが挙げられます。
これにより、応対のたびにデータベースを確認するといった余計な手間をなくし、スムーズなやり取りと通話時間の短縮につなげることができます。
また、ワンクリックで顧客への架電を実現する「クリックトゥコール機能」を用いれば、アウトバウンド業務などで大量に架電を行わなければならない場合においても、オペレーターの作業負荷を削減できます。
さらに、コールセンターシステムの機能を併せ持ったCTIであれば、あらかじめ設定したルールに沿って適切なオペレーターへ着信を分配し、電話のたらい回しを防いだり、音声ナビ機能(IVR)によって、お客さま自身がダイヤルボタンで選択した用件に応じて、最も適した窓口へ案内したりすることもできます。
このように、CTIの機能をうまく活用することで、コールセンター全体でのさらなる業務効率化が実現できるでしょう。
顧客満足度の向上
業務の効率化と同時に、よりきめ細やかな顧客対応が実現できる点もCTI導入のメリットです。
例えばCTIと顧客管理システム(CRM)を連携することで、お客さまから着信を受けた時点でCRMからすばやく問い合わせ履歴を参照する仕組みは、過去のやりとりを踏まえた脈絡のあるコミュニケーションを可能とします。
これだけでも、お客さまは「自分のことがわかってもらえている」と感じ、顧客満足度の向上に大きく貢献できるでしょう。
また、IVRを備えたCTIであれば、休日や夜間といった営業時間外の問い合わせに対して自動音声で応答を行うこともできます。簡易的な内容であれば時間外対応が可能になるため、お客さまにとっての利便性をより高めることができるでしょう。
顧客データの分析と活用
また、コールセンターで得たデータを分析して、既存商品・サービスの改善につながる取り組みを考案したり、新商品・サービスのヒントを得たりすることができます。
コールセンターで活用できる主なデータは、「問い合わせ内容」や「通話内容の録音データ」です。これらを分析することで、お客さまの商品・サービスに対する満足度や意見などを把握でき、応対品質や顧客満足度の向上につなげることができます。
CTIには通話録音機能に加えて、AIを用いた音声認識サービスとの連携機能を持つものもあります。録音データは聴き直しに時間や手間がかかることが多いですが、音声認識サービスとの連携を活用し、音声をテキスト化する仕組みを作ることで、お客さまの声を確認・分析する効率がぐっと上がります。
テレワークでのコールセンター環境の実現
CTIには、ソフトフォンと呼ばれるPC上で操作する電話機が備わっているものもあります。ソフトフォンの利用によって、テレワークでのコールセンター環境を構築することも可能です。
また、オペレーターの業務ステータスを可視化する機能が使えるCTIであれば、コールセンターの稼働状況が把握しやすくなり、管理効率も向上します。
CTIの機能
CTIシステムでは様々な機能を提供していますが、ここではよく使われるものを抜粋して紹介していきます。
CRM連携
顧客情報を管理するCRMとCTIを連携することで、より詳細に相手の状況を把握しながら応対できます。潜在顧客や見込み客といったステージに応じて顧客を分類したり、過去のやりとりなどの情報を活用したりすることで、オペレーターの業務の効率化や品質向上が望めます。
通話録音連携
通話の録音データを、CRMなどに入力した応対履歴と紐付ける機能です。通話内容を後から確認する際に、対象の音声を簡単に探し出すことができます。
レポート機能
架電・受電に関する様々な統計レポートを作成する機能です。着信数や保留数・応答率・放棄数といった各種データを可視化し、コールセンター業務を効率化します。
ポップアップ機能
電話番号をもとに顧客情報を検索し、コンピューターに表示する機能です。電話を取る前に相手の名前や住所などが把握できるため、顧客に合わせた柔軟な応対が可能になります。
ACD(着信分配)
あらかじめ設定したルールに沿って、オペレーターへ着信を振り分ける機能です。業務スキルに応じて入電の優先度を設定したり、応対するオペレーターの偏りをなくすことができます。また一定時間の応答がなければ別のオペレーターへ入電を振り分けるなどの設定もできるため、放棄呼の減少にもつながります。
IVR(自動音声応答)
入電時にガイダンスを流し、プッシュされたダイヤルボタンに応じた動作の設定ができます。ACDと同様にあらかじめルールを決めておき、押された番号に応じてオペレーターへ転送したり、混雑時に時間を置いてかけ直すようお願いするといったガイダンスの設定が可能です。
稼働状況モニタリング
コールセンター全体の状況を可視化する機能です。通話数・保留数・待ち呼数などの数値や、オペレーターの稼働状況を把握することができます。
プログレッシブコール
待機しているオペレーターの人数に対して発信倍率を設定し、自動的に架電を行う機能です。法人向け営業のようにある程度高い応答率が期待できるリストへの架電に役立ちます。
プレディクティブコール
プログレッシブコールと同様に待機しているオペレーターの数に対して発信倍率を設定した上で、あらかじめ決めた通話時間の経過後に自動で架電を行う機能です。こちらは不在率が高く、なかなかつながらないリストへの架電に有効です。
発信先の管理機能
条件を設定してリストの中から架電先を絞り込んだり、お客さまの都合に合わせて再架電日時を設定したりする機能です。確度の高いリストの抽出や、再架電のスケジュール漏れの防止などにより、架電業務を効率化することができます。
CTI連携ができる主なシステム
CTIは、サービスによっては単独で利用しても様々な機能が使えますが、他システムと連携させることで、より効果的な仕組みとなります。以下では、CTIとともに活用できる主なシステムを紹介します。
顧客管理システム(CRM / SFA)との連携
これまで何度か紹介しましたが、最も基本的なのがCTIと顧客管理システムとの連携です。
顧客管理システムをCTIと連携させることで、業務の大幅な効率化につながります。受電した電話番号をもとに顧客情報を検索して、顧客の名前や住所などをコンピューターに表示できます。
蓄積された情報を電話が着信したタイミングですぐに把握できるため、お客さまとの無駄なやりとりがなくなり、スムーズな応対につながります。
また、通話中のお客さまが過去に利用した商品・サービスについて顧客管理システムに情報が蓄積されているのであれば、お客さまの好みに合いそうな商品・サービスを適切に提案できるでしょう。
迅速かつ的確な対応を通じて、顧客満足度の向上、ひいては自社に対するロイヤルティの向上も期待できます。
さらに、着信時に応対履歴の入力画面も呼び出せるため、オペレーターの工数削減が可能です。その結果、コールセンター全体の業務効率の向上が見込めます。
音声認識サービスとの連携
CTIと音声認識サービスとの連携も有効です。近年では、人工知能技術の発達とともに、音声認識の精度も向上しています。録音した音声データを音声認識サービスによりテキスト化することで、様々な用途に活用できるでしょう。
例えば、録音機能のあるCTIであれば、応対時の問い合わせ内容を音声データとして収集・分析して、オペレーターの顧客応対品質を高める取り組みにも活用できるほか、マーケティングや営業の施策にも役立てることができます。
音声データは聴き直して確認すると時間がかかるため、音声認識システムでテキスト化したうえで、データ分析ツールなどで統計的に処理する方法が有効です。
また、上述した顧客管理システムと組み合わせて、音声認識システムでテキスト化した通話データを、顧客データと紐づけることもできます。これらのデータをもとに、テキストマイニングやBIツールで分析すれば、新たな知見の獲得も期待できるでしょう。
さらに、リアルタイムの通話データをテキスト化することで、応対履歴の入力にかかる時間を短縮するといった使い方も可能です。文章要約ができるAIを組み合わせることで、自動で音声データから応対履歴の素案を作成することもできます。
チャットボットとの連携
近年では、若年層を中心として、電話に対する苦手意識を持つお客さまが増えています。そういったお客さまは、チャットボットなどのテキストベースのツールによる窓口が好まれる傾向にあります。
一部のCTIでは、チャットボットとの連携も可能です。お客さまがチャットからオペレーターとの通話を希望した際に、チャットボットでの会話内容を引き継いで電話対応を開始できます。
これにより、チャットボットでどこまで問題が解決しているのか、もしくは何が解決できていないのかをあらかじめ把握でき、スムーズな応対が可能となるでしょう。
APIの活用
CTIによっては、APIを公開しているサービスもあります。API(Application Programming Interface)とは、他システムとの連携を容易にするために、あらかじめ準備されているシステムの出入り口のようなものです。APIを通してシステム連携を行うことで、カスタマイズ開発なしで簡単に連携できます。
連携実績のないシステムであっても、CTIがAPIを公開している場合は、比較的スムーズに連携できる可能性があるため、自社の要件に合わせて確認してみてください。
CTIのタイプ①クラウド型・オンプレ型
CTIには、大きく分けてオンプレ型とクラウド型があります。
オンプレ型CTIとクラウド型CTIではサービスを提供する形式が異なるため、導入時のコストや期間といった点に大きな違いが生まれます。
クラウド型CTI
クラウド型のCTIシステムは、物理的なハードウェアを必要としないソフトウェアのみのサービスです。基本的にクラウド上に設置されたサーバーからサービスが提供される形をとるため、自社にサーバーを設置したり、電話回線をひいたりする必要がなく、インターネットとパソコンがあればすぐに導入することが可能です。
5営業日〜2週間程度とスピーディーに導入ができるほか、導入コストが低く抑えられる、繁閑に合わせて利用する人数や機能を細かく調整できる、複数拠点や在宅化対応が容易といったメリットがあります。
オンプレ型CTI
オンプレ型のCTIシステムは、自社にCTIサーバーを設置する必要があります。自社システムとの連携など、柔軟なカスタマイズができる点が特徴です。またオンプレ型のメリットとして、インターネットに接続しないため高いセキュリティを保つことができる点、安定して高い音質で通話ができる点があります。
ただし、オンプレ型CTIは物理的な設備を必要とするため、比較的コストが高くなってしまったり、導入〜利用までの期間が長くなってしまったりすることが多いため注意が必要です。
CTIのタイプ②インバウンド向け・アウトバウンド向け
CTIはインバウンド業務向けとアウトバウンド業務向けに分けることもできます。
同じような規模の会社であっても業務内容によって適したシステムは異なってきますので、自社が導入すべきシステムがどのようなものか、実際の業務も踏まえて見極められるようにしましょう。
インバウンド業務向けCTI
着信時に顧客情報をポップアップで表示する機能や、着信振り分け(ACD)・音声ガイダンス(IVR)などのコールセンターシステムの機能を備えたCTIは、インバウンド業務を効率化することができます。
コールセンターの応答率が向上するほか、適切なオペレーターが対応できるようになるなどの効果があるため、より顧客満足度の高いコールセンター運営が可能になります。
インバウンド業務に使えるCTI機能
- ポップアップ機能
- ACD(着信分配)
- IVR(自動音声応答)
- 稼働状況モニタリング など
アウトバウンド業務向けCTI
システムが自動で架電するプログレッシブコールやプレディクティブコールなどの機能を持つCTIは、アウトバウンド業務の手間を減らせます。
オペレーターの数に対して同時に発信する件数の倍率を設定することができるため、電話に出ないことが多くコンタクト率が低い個人向け営業、コンタクト率が高い法人向け営業など、業務に合わせて架電効率を調整・向上させることができます。
アウトバウンド業務に使えるCTI機能
- プログレッシブコール
- プレディクティブコール
- 発信先の管理機能 など
CTIの費用
CTIはコールセンターシステムと一体となった形で提供されることが一般的です。ここではクラウド型・オンプレ型ともに、CTIとコールセンターシステムを含めたコストについて解説します。
クラウド型CTIの費用:1万円/席〜
クラウド型CTIの費用は、およそ1席あたり1万円〜になることが多いです。
クラウド型では、サーバーやPBXといったハードウェアを購入する必要がないため、導入コストを抑えることができます。
月々の運用にかかる費用も、利用する人数や期間に応じて課金されるため、繁閑に合わせた調節が可能です。
また、部署異動や拠点の移転に伴う設定変更もブラウザから行えるため、業者に依頼することで発生する手数料がかからないといった特徴もあります。
オンプレ型CTIの費用:数十万円〜
オンプレ型の費用はおおよそ数十万円〜数百万円になることもあります。
オンプレ型では、サーバーやPBXを自社内に設置する必要があるため、導入にかかるコストが高くつきます。また、設定変更についても業者・ベンダーの手を借りなければならないため、その都度費用が発生します。
一度システムを構築してしまうと、利用状況の変化に合わせた調節が難しい反面、長期的な運用コストはクラウド型よりも安くなる場合があります。
製品によって価格は異なりますが、多機能になるほど高くなる傾向があります。
クラウド型・オンプレ型の費用を比較
クラウド型CTIの費用例(BIZTELコールセンターの場合)
初期費用 | 50,000円程度 |
月間利用料 | 10000円/席〜 |
+オプション費用
オンプレ型CTIの費用例
初期費用①サーバー購入費 | 要見積もり |
初期費用②システム開発費 | 要見積もり(数十万円〜) |
+運用保守費用
CTIを導入すべきケースとは?
業界や業種に関わらず、電話窓口やコールセンターが抱えている課題は、CTIの導入によって解消できるケースが少なくありません。ここではクラウド型に焦点を絞って、CTIやコールセンターシステムがどのように役立つのかを解説します。
ケース①応答率が低い(応対できない入電が多い)
コールセンター運営において、「入電に対してどれだけ対応できているか」は基本的かつ非常に重要なポイントといえるでしょう。コールセンターでは、入電数に対して応対ができた割合を「応答率」と呼びます。
入電数に対して稼働できる人数が少ないなど、適切に対応できていない場合は応答率が低くなりがちです。
このようなケースの場合は、まずはCTIやコールセンターシステムなどを利用して業務の効率化をはかっていくべきでしょう。
例えば、そもそも入電数に対してオペレーターがどの程度足りていないのかが分からないといった場合には、CTIでコールセンターの稼働状況をリアルタイムで可視化し、応答率に関係する待ち呼・あふれ呼(放棄呼)がどの程度あるのかを把握することから始めることをおすすめします。
また、IVRを活用したコールフローの整備も応答率の改善に役立ちます。お客さまのご用件に応じて適切な窓口へ案内する仕組みをつくっておくことで入電の処理が効率化でき、応答率の改善をはかることができます。
ケース②入電時・応対時の処理に課題がある
例えば、CTIを導入することで、顧客情報を電話番号で検索して自動表示できるため、既存顧客であれば相手が名乗らずとも特定することができます。あらかじめ属性がわかることで、ひとりひとりに合わせた顧客体験を創出できます。
このほか、入電を自動で各オペレーターに振り分けたり、オペレーターにつながるのを待っているお客さまを管理したりする機能を持つCTIもあり、入電や応対に関するさまざまな課題解決に役立てられています。
ケース③在宅勤務や複数拠点でも効率的なコールセンター運営を行いたい
コロナ禍によって在宅勤務が一般的に浸透している一方、コールセンターの在宅化に課題を抱えている企業は少なくありません。
特に、決まった座席でしか電話に出ることができず、電話回線を引いているオフィス以外での対応が難しい場合など、在宅勤務への移行をきっかけにシステムの見直しを迫られることもあります。
このような場合には、クラウド型のCTI導入が役立ちます。
クラウド型CTIはインターネット回線とPCがあれば電話環境が構築できるため、自社のオフィス以外でも、いつもと変わらない電話業務を行うことができます。
在宅勤務への移行が本格化するにつれ、CTIのクラウド化を検討する企業も増えています。
また、回線数や設定変更が簡単なこともクラウド型CTIのメリットです。
オフィスの移転や複数拠点化の際にも、従来のような大掛かりな工事作業を必要とせず、比較的簡単に電話環境を構築することができます。
CTIの導入事例
応答率が14%→最大91%へ向上
事例:アイリスプラザ
アイリスオーヤマの公式通販サイトを運営しているアイリスプラザでは、コロナ禍におけるマスク需要の急増により、回線がパンクするほどの問い合わせが日常的に発生していました。
当時の仕組みでは電話回線の増設が難しかったことに加え、注文用の窓口に注文以外の問い合わせが入ってしまう、待ち時間のアナウンスができない、コール数の上限に達してしまうと自動で電話が切れてしまいクレームに発展するといった課題を抱えていたといいます。
クラウド型CTIを導入したことで、IVRによる適切な窓口への案内や稼働状況の可視化ができるようになり、およそ14%程だった応答率が最大91%まで向上しました。
また、オペレーターへのアドバイス機能やレポート機能も併せて活用することで、応答率の向上だけでなく日常的な業務の効率化と応対品質の向上も実現できたそうです。
スムーズな入電処理の実現でアルバイト1人分の費用相当を削減
事例:フジッコ
惣菜・健康食品など食に関する幅広い事業を展開するフジッコでは、入電時に複数の電話が一斉に鳴ってしまうことで対応するオペレーターに偏りが生まれるほか、アウトソーサーとの連携による運営に非効率な点があり、対応待ちの通話(待ち呼)がうまく処理できないといった課題を抱えていました。
同社はクラウド型CTIを導入し、受注管理システムと連携することで通話時間が月間120時間ほど削減され、およそアルバイト1人分相当の費用を抑えることに成功しました。
また、着信の振り分け機能で対応するオペレーターの偏りも解消することができたほか、アウトソーサーとの連携も改善され、待ち呼についても適切に処理できるようになりました。さらに、オペレーター別のパフォーマンスが集計できるレポート機能が使えるようになり、適正な人事評価にもつながったといいます。
大規模コールセンターの在宅化を実現
事例:ピー・シー・エー
3拠点150名以上の大規模コールセンターを運営しているピー・シー・エーでは、在宅勤務体制への変更を余儀なくされたことで、90%以上あった応答率が10%~20%程度にまで落ち込んでしまったといいます。
当時の仕組みではオフィス内の決まった席でしか応対ができず、電話応対のためにスタッフが出社する必要があったことに加え、待ち呼の件数や着信した電話番号などの情報をリアルタイムに確認できなかったこともあり、在宅勤務の体制がうまく構築できずにいました。
クラウド型CTIの導入によって自宅でもコールセンター業務が行えるようになり、下がってしまった応答率も90%まで回復しました。
またシステムをクラウド化したことで、どこからでも管理画面を開き、設定の変更が行えるようになったり、必要なスタッフが必要な機能を利用できるようになったりと、以前よりも利便性が格段に向上したそうです。
CTIを導入する前に確認すべきポイント・注意点
利用する人数・規模はどのくらいか
CTIの導入に際して、まずは自社が利用したい規模に対応しているかを確認しましょう。例えばクラウド型のCTIであれば座席数ベースやアカウント単位での料金形態になっているシステムも多く、スモールスタートに向いています。業務が拡大していったとしても、100席〜300席ほどであればクラウド型で対応可能です。
一方で、300席を超えるような大規模で利用したい場合にはオンプレミス型を検討してみてもいいでしょう。
システム更新の可能性はあるか、その頻度はどの程度か
CTIを選ぶ際、あらかじめどのくらいの頻度でシステムの更新が必要になるかも想定しておきましょう。座席やアカウントの増加、機能の追加を行う予定があれば、拡張しやすいクラウド型のCTIをおすすめします。
大規模利用で、設定変更や保守対応の頻度が少ないことが見込まれるのであれば、長期的にみてオンプレミス型CTIの方が費用を抑えられる場合もあります。
利用する業務はインバウンドか、アウトバウンドか
CTIにはインバウンド業務に適しているシステムとアウトバウンド業務に適しているシステムがあります。利用したい業務に合ったCTIを選ぶのも重要なポイントといえるでしょう。
ただ、例えばインバウンド業務に強いシステムがまったくアウトバウンド業務に適さないわけではありません。「インバウンド向け」「アウトバウンド向け」というのはあくまで「その業務に適した機能がどれだけあるか」という視点での分類であるため、総合的な機能や費用、拡張性や自社システムとの連携性なども考慮しながら、最も適したシステムを選びましょう。
自社のネットワーク・セキュリティ環境は問題ないか
CTIを導入する場合、自社のネットワークやセキュリティ要件についても整理しておく必要があります。
クラウド型CTIはインターネット上で通話を行うVoIPという技術を用いているため、通話の品質がインターネット回線の品質に依存します。クラウド型CTIを使う場合は自社のインターネット回線についても事前にチェックしておきましょう。
また高いセキュリティ性が要求される場合、VoIPを利用しているクラウド型CTIよりもインターネット接続の必要がないオンプレミス型CTIの方が適している場合があります。
自社の要件をきちんと整理したうえで、どの程度のセキュリティが必要なのかを併せて確認しておきましょう。
在宅勤務や複数のオフィスで利用するか
今や在宅勤務もある程度普及し、出社勤務と切り替えながら対応している企業も多くなりました。ですが、電話対応のための設備がオフィスでしか利用できず、在宅勤務が始められない、という企業も実は少なくありません。
オフィス以外の場所で業務を行う場合や、オフィス自体が複数に分かれるような場合はクラウド型CTIをおすすめします。
既存システムとうまく連携できるか
自社で利用しているCRMやSFAといったシステムとの連携性も確認しておきましょう。場合によってはシステム同士の相性が悪く、うまく連携ができない可能性もあります。CTIを選ぶ際は、自社が利用しているシステムとの連携実績があるベンダーを探すようにしましょう。
【企業規模別】おすすめCTIシステム5選を紹介
ここからは、具体的なCTI・コールセンターシステムのサービスについて、利用者数の規模や費用の観点からおすすめのものを比較・紹介していきます。
BIZTELコールセンター【小〜大規模向け】
BIZTELは初めての方でも簡単に導入できるクラウド型コールセンターサービスです。2006年から15年以上に渡ってサービスを提供しており、導入社数・稼働席数ともに国内No.1を獲得しています。*
また、24時間/365日の有人による電話対応といったサポート体制を構築しており、安心して利用することができます。Salesforceをはじめとした各種CRMやSFAとの連携も可能で、ニーズに合わせた柔軟な運用ができる点も特長です。
*デロイト トーマツ ミック経済研究所より2021年5月に発刊された、『マーテック市場の現状と展望 2021 年度版 クラウド型CRM市場編(第5版)』による。
導入に向いている |
小〜大規模まで幅広く対応していますが、 |
費用 |
BIZTELコールセンターでは、コールセンター業務を支援する機能に加え、通話録音が標準提供されています。
|
カスタマイズ可否 |
様々なAPI機能を提供しており、CRMや独自システムと組み合わせて使うことができます。 Salesforce・kintone・Slack・AmiVoiceをはじめ、数多くのサービスとの連携実績があり、システムに業務を合わせることなくスムーズな利用が可能です。 |
導入実績 |
2,000社、40,000席を超える導入実績があります。 |
URL |
BIZTEL公式サイトはこちら |
楽天コネクト【小〜大規模向け】
楽天コネクト(旧コネクト2.0)は楽天コミュニケーションズが提供するコールセンターシステムです。プランによっては1席から始められ、最低利用期間も1ヶ月と短いので、ローリスクで導入できます。電話番号発行からシステム開通までワンストップで対応できるのも強みです。
スピーディーにコールセンター環境が構築できる「楽天コネクトSpeed」と、多様なチャネルに対応することができる「楽天コネクトStorm」の2つから選択できます。
導入に向いている |
小〜大規模まで幅広く対応していますが、初期費用が少額で抑えられるため小規模での導入に向いています。 |
費用 |
【楽天コネクトSpeed】
【楽天コネクトStorm】
|
カスタマイズ可否 |
要問い合わせ |
導入実績 |
1,200社以上の導入実績があります。 |
URL |
楽天コネクト公式サイトはこちら |
GENESYS Cloud CX【中〜大規模向け】
GENESYS Cloud CXはジェネシスクラウドサービス社が提供する、高い拡張性と先進的な機能を備えたクラウド型コールセンターシステムです。
電話に加え、チャット・ビデオコール・ソーシャルメディアを統合した、マルチチャネル対応のソリューションを提供しています。あらゆるチャネルを結ぶことで、顧客に合わせた対応が可能となり、システム活用の幅が広がります。
導入に向いている |
機能別に料金プランを分けており、基本的には中〜大規模に対応しています。 |
費用 |
|
カスタマイズ可否 |
検証が必要。要問い合わせ。 |
導入実績 |
非公開のため要問い合わせ。 |
URL |
ジェネシスクラウドサービス公式サイトはこちら |
CT-e1/SaaS【小規模向け】
CT-e1/SaaSはコムデザインが提供するクラウド型コールセンターシステムです。
実務に必要な機能が標準で備えられており、カスタマイズ性も高い点が魅力です。また、開発エンジニアによる細かく丁寧なサポート対応も魅力です。
CT-e1/SaaSの大きな特徴は、運用後のカスタマイズが無料で行える点です。業務変更や商戦期にカスタマイズが必要になっても安心して対応することができます。
導入に向いている |
小規模なコールセンターに向いています。 |
費用 |
|
カスタマイズ可否 |
対応可能 |
導入実績 |
1,200テナント・19,000席以上 |
URL |
BlueBean【小規模向け】
BlueBeanはソフツーが提供するクラウド型コールセンターシステムです。
CTIのほか、CRM・オペレーター管理・レポートなど、多数の機能を搭載したオールインワンタイプの製品です。
アウトバウンド・インバウンド両方の業務に対応しており、特にプレディクティブ発信やリスト管理などのアウトバウンド機能が標準サービスで利用できるため、効率的な架電業務がすぐに始められます。
導入に向いている |
ライセンス単位、かつ1ヶ月からの契約が可能なため、スモールスタートに向いています。 |
費用 |
|
カスタマイズ可否 |
Salesforce・kintone・ZohoCRM・RECAIUSなど多数の外部システムと標準連携が可能。 その他、要問い合わせ。 |
導入実績 |
導入実績は300社以上。 |
URL |
まとめ
本記事では、CTIの機能や連携メリットに加え、種類・費用・導入すべきケース・おすすめのサービスなどについて紹介しました。
電話窓口やコールセンターを設置しただけでは、お客さまの満足度を上げることはできません。効率的な運営を行い、優れた応対を提供することで、初めて良質な関係が構築できます。自社に適したCTIを導入して、最高の顧客体験を築いていきましょう。
※「CTI」についてもっと知る
→クラウド型CTIシステムの選び方とは〜ポイントと主要5サービスの比較〜
→顧客からの信頼を獲得する!電話窓口を開設するメリット・方法・CTIなどおすすめサービス