03や050で始まる電話番号の違いとは?メリット・デメリットを比較
ビジネスにおいて使われる電話番号は、「050」や「03」などの番号が先頭についています。
これらの電話番号は、通信事業者が企業に提供するにあたり、音声品質などの基準が総務省によって定められています。そして、その基準は番号の種類によっても異なっており、提供している事業者によっては、利用する番号に応じて電話回線の品質や価格に差が出る場合もあります。
それでは、どのように自社で採用する電話番号を選択すべきなのでしょうか。
この記事では、050番号と、03などの地域番号(0AB-J番号)の概要や、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
目次
1. 050番号とは
050番号の概要
050番号とは、2002年より開始したIP電話サービスの番号です。総務省の「電気通信番号制度※1」においては、利用者設備識別番号のうち「特定IP電話番号」とされています。
050番号はIP電話用に割り当てられるもので、総務省の「情報通信白書 令和3年版」によれば、050型IP電話の加入契約数は2020年度末時点で899万件※2にのぼります。
050番号の形式は「050 – xxxx – xxxx」の全11桁です。それぞれハイフンごとに「050(IP回線)- 事業者の識別番号 – 加入者番号」という情報を示します。なお、具体的な採番方法は、上述した電気通信番号制度に基づきます。また、050番号は総務省の省令※3により、その品質基準が定められています。
※1 総務省「電気通信番号制度」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/tel_number/index.html
※2 総務省「情報通信白書 令和3年版 第2部 第2節 2.電気通信サービスの提供状況・利用状況」より
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd242210.html
※3 総務省令「事業用電気通信設備規則」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=360M50001000030
050番号のメリット
050番号のもっとも大きなメリットは、電話番号を用いた通話方式のなかでも一般的に低価格で導入・利用ができる点です。その他の安価な通信手段としては、特定のアプリケーションをインストールし、パケット通信を利用して通話を行う方法もありますが、050番号を用いれば、電話という広く普及した手段を使って、不特定の相手からの問い合わせが受けられます。
050番号のデメリット
一方で、050番号のデメリットとして、事業者によっては通話の品質がやや安定していない場合がある点が挙げられます。
総務省の定める050番号の品質基準は、後述する03番号などから始まる地域番号(0ABJ型番号)で通話する場合や、従来型のアナログ回線を利用した電話を使う際と比較すると低く設定されています。そのため事業者によっては音声が届かない・聴き取りにくいといった事象が発生することもあり、ビジネスで使用できる品質が担保されていない可能性があります。
よって、050番号を利用する場合は、サービス提供者が個別に設定している基準を、事前に確認することが重要です。
2. 03などから始まる地域番号(0AB-J番号)とは
地域番号(0AB-J番号)の概要
03や06といった市外局番から始まる電話番号を、0AB-J型番号と呼びます。これは、番号の割り当て方が「0A-BCDE-FGHJ」と並ぶことに由来します(「I」は1と混同しやすいため除外)。
03から始まる番号は、一般の加入電話に割り当てられる、東京の市外局番から始まる電話番号です。市外局番は地域ごとに設定され、例えば大阪であれば06、名古屋は052となります。
0AB-J番号は、アナログ回線の固定電話やISDN回線・光回線・ケーブルテレビの電話などに割り当てられます。総務省の「電気通信番号制度」においては、利用者設備識別番号のうち「固定電話番号」に位置します。
総務省の「情報通信白書 令和3年版」によれば、0AB-J型番号を利用するIP電話の加入契約数は2020年度末時点で3,568万件となっており、1,790万件だった2010年度末から10年で約2倍に増加しています。
IP電話で利用される03番号は「アナログ電話相当の機能を有するインターネットプロトコル電話用設備」に分類されており、接続品質・総合品質・ネットワーク品質・安定品質などについて定められた基準を満たしている必要があります※4。
※4 総務省令「事業用電気通信設備規則」第三十五条 第三款
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=360M50001000030
地域番号(0AB-J番号)のメリット
地域番号(0AB-J番号)を利用するメリットの一つは、音質や安定性といった通話の品質が高いことです。03番号を提供するには、総務省が定める基準をクリアする必要があり、IP電話で03番号を利用する際にもアナログ電話と同等の品質が担保されていなくてはならないためです。
03番号のデメリット
一方で、03番号を保有するためには、契約するキャリアやサービスによっては050番号よりコストが高くなる点がデメリットになります。
BIZTELの場合は、050番号と同じ価格で03番号の取得が可能です。
3. 050番号と03などから始まる地域番号(0AB-J番号)の比較
では、050番号と地域番号(0AB-J番号)を表形式で比較してみましょう。
一般的に050番号はコストが安いというメリットがありますが、一方で品質面が担保されていない可能性もあるため、事業者を通じて電話環境を構築するのであれば慎重に選ぶことをおすすめします。
050番号 | 地域番号(0AB-J番号) | |
接続品質 | 基準あり | 基準あり |
総合品質 | 基準あり ※5 | 基準あり ※6 |
ネットワーク品質 | 基準なし | 基準あり |
安定品質 | 基準なし | 基準あり |
コスト ※7 | 低い | 高い |
※5 端末設備等相互間の平均遅延時間が400ミリ秒未満であることなど
※6 端末設備等相互間の平均遅延時間が150ミリ秒未満であることなど
※7 電話番号を発行するキャリア・サービスによって費用が異なるため、050番号と同じコストで地域番号(0AB-J番号)を利用できるケースもある
4. 03などから始まる地域番号(0AB-J番号)の移行方法
地域番号については、番号ポータビリティ(LNP)などにより、他のキャリアやクラウドPBXへ切り替えを行う際にも継続して利用できます。以下では、番号ポータビリティを利用した地域番号の移行方法について紹介します。
固定電話の番号ポータビリティ(LNP)とは
固定電話の番号ポータビリティ(LNP:Local Number Portability)とは、一般加入電話などで利用している電話番号を他のキャリアに引き継ぐことができる仕組みです。番号ポータビリティを利用できるのは、NTT東日本やNTT西日本で取得した固定電話番号に限られ、IP電話向けに取得した地域番号や050番号などは基本的に対応不可となります。
ただし、元々NTT東日本・NTT西日本で取得していた番号を別のキャリアに引き継いでいた場合には対応できることもあります。
番号ポータビリティのメリット
電話番号が変更されると、顧客への連絡はもちろん、その番号で登録している各種サービス・契約、名刺の連絡先など様々な情報を更新する手間が発生してしまいます。しかし、番号ポータビリティを利用すれば、これらの手間を省きつつ、回線事業者を変更できます。
例えば、クラウドPBXへの移行を検討する際に、電話番号を継続利用したい場合にも番号ポータビリティが有効です。
5.まとめ
この記事では、050番号と、03などの地域番号(0AB-J番号)の概要やメリット・デメリットを解説しながら、両者の比較を行いました。050番号を利用する際には、特に通話の品質に注意して事業者を選びましょう。
また、地域番号については、番号ポータビリティを利用することで、これまで利用していた電話番号を継続できる可能性があります。IP電話への移行を検討する際には、継続利用の可否を確認してみることをおすすめします。