結果を出すインストラクターの心得とテクニック(BIZTEL大学 第2回 講義レポート)

BIZTEL大学は、コンタクトセンター従事者の方へ「学びの機会」と「悩みの解決」を提供するために開校したオンラインセミナーです。累計1,800名(2025年4月時点)以上の入学者へ「センター運営の持続的な成長」に役立つ情報をお伝えしています。
第2回の開催では、『研修が変わる。結果を出すインストラクターの心得とテクニック。大手コンタクトセンターの研修を成功に導いたノウハウを公開』と題して、センター内の研修担当者に向けたセミナーを実施しました。
「受講生の吸収力を高める具体的なテクニック」や、「一方通行の研修にならないようにする手法」など、講義の一部をご紹介します。
目次
講師
残念な研修から脱却!研修改革が必要な理由とは
池田 「研修のインストラクター」についてお話しをする前に、さっきふと思い起こしたことがありました。
私は10代の頃、パンクバンドとかをやっていて、ロックが大好きだったんです。新宿ロフトというライブハウスに通っていて、その当時、そこに後々有名になるミュージシャンがいて。その方はボーカルですから人前で歌うんですけれど、ものすごく姿勢が良かったんです。それにすごく衝撃を受けて、姿勢って大事だな、なんて10代の頃から思い始めました。
実は3年ぐらい、その方のバンドのお手伝いをしていました。当時高校生だったんですが、ツアーにもついて行って。そのボーカルの方がライブハウスやコンサート会場で、あちこち隅っこに立って声出しをして、どういう音が広がるのか、音の跳ね返りをすごく丁寧に確認していました。
後々、自分が講師の仕事をするようになってから、ふとそのことを思い出して、会場の「空間を把握する」ということを意識してみたらうまく研修ができた、みたいな経験がありました。そのことについても、後でお話ししたいと思っています。
さて、本題に入っていきましょう。
これまで様々な企業の研修改革をお手伝いしてきましたが、なかには残念な研修を実施しているところもありました。
残念な研修の例は、次のような内容です。
・資料や環境の準備・配慮が不足している
・説明が大雑把すぎる、または細かすぎる
・インストラクターの話し方のクセが強い
・滑舌が悪い・声が小さい
など…
研修におけるインストラクターの役割と、身につけたい基本スキル6選
池田 コンタクトセンターで行う研修は、大きく3つあります。
・フォローアップ研修
・スキルアップ研修
1. 受講者がリラックスできる雰囲気を作る
リラックスすると、記憶力が高まり、パフォーマンスが上がるということが様々なデータで明らかになっています。
ガチガチな雰囲気で一方的な指導をしてしまうと、受講者の吸収率が低下してしまいますので、研修は楽しくやりましょう。
例えば、最初にその研修につながるような「まくら(本題に入る前にする、気の利いた短い話)」があると、リラックスしたムードを作れるだけでなく、受講生の注意をこちらに向けることができます。
今日のこの講義でいうと、「ミュージシャンの話」の部分ですね。
「まくら」の内容としては、以下のようなものがおすすめです。
・お客さまとの対話で経験した、ちょっと良い話
・センター内にいる尊敬・信頼できる人、楽しい人など、好感を持っている方の話
など
2.見た目を意識する
第一印象は非常に重要です。受講生に好印象を与えるために、清潔感のある身だしなみや美しい姿勢、笑顔を意識しましょう。
3.親しみを感じられる態度
受講者に「教えてあげている」という気持ちでいると、威圧的な態度になってしまいます。逆に謙遜しすぎると、受講者を不安にさせてしまい逆効果です。明るく凛として、受講者と共に学ぶ姿勢を意識してみてください。
4.一方的な研修ではなく「参加型」の研修を行う
受講生との会話がない研修は眠くなってしまいます。できるだけ、会話することを意識して進めましょう。
例えば、質問やクイズを取り入れるといった工夫があります。必ず覚えてほしいことや間違えやすい事例をテーマに、「○×形式」「三択などの選択式」で出題し、挙手制で回答を募ります。
「実際にお客さまへ説明するように答えてください」といった形で問題を出し、受講者同士で交互にロールプレイングをしながら回答してもらう方法もあります。このやり方だと、学習した内容を自分の言葉にして伝えられるか確認することができます。
それから、受講生に音声を聴いてもらったり、映像を見てもらったりするのもおすすめです。特に実際の電話対応の音声を流せば、受講生が興味を持ち、集中力アップも期待できます。
Web研修の場合であれば、受講生を置き去りにしないよう、リアクションボタンの活用に加え、ロールプレイングに入る前に全員で声出しするといった工夫をしてみると良いでしょう。
5.「8の字」の目線と、空間を意識して話す
対面での研修の場合は、参加者をまんべんなく見られるよう、最前列から最後列にかけて、会場全体に「8の字」を描くように目線を移動させることが大切です。特に会場の左右の端は目線がいきにくい場所なので、より意識的に見るといいでしょう。
他にも、通路を行き来するのもおすすめです。行き来しながら話すことで、インストラクターの声を様々な方向から受講生の耳に届けられるため、適度に刺激を与えられます。
あわせて、研修会場の空間を意識することも重要です。空間をイメージしたうえで、部屋の隅まで届くよう、声のボリュームや張りを調整しましょう。
こういった配慮も、受講生の吸収力アップにつながります。
6.研修後にアンケートを実施する
研修が終わった後は、必ず受講生にアンケートを取りましょう。
作業工数を考えると、研修の準備をして、実施をして、そのうえ反省もしなくてはならないのは大変なことですが、この振り返りが今後の生産性に関わってくるので非常に重要です。
アンケートを取り、修正・反省すべき点を絶えず改善していかないと、結果として無駄なコストを生み出しかねません。「業務知識の習得についていけなかった」といった理由で、研修の途中や、デビューして1ヵ月ほどのタイミングで新人が辞めてしまうことになれば、やはりインストラクターも含めて会社側に一定の責任があるのかなと感じてしまいます。必ずPDCAを回せるようにしましょう。
対面・Webそれぞれの研修用に、開始前の準備、講義の構成内容、話し方、振る舞いなど、インストラクターが注意すべき項目についてまとめたチェックシート(※1)の雛形を用意しました。
この資料を参考に、ぜひ皆さんで自社専用のチェックシートを作ってみてください。インストラクターとしてあるべき姿は何かを、チームで共有できるようになります。自分たちのセンターの方向性・方針について、モヤモヤしていたものが統一できますので、チームの中で話し合って、一緒に作っていただくのが良いかなと思っています。
※1 BIZTEL大学に入学していただくと、BIZTEL shouinのアカウントが無料で発行され、過去のセミナー動画の視聴や、講演スライドの閲覧が可能です(視聴可能なプリセット動画や、機能を制限して提供)。チェックシートは、「第2回 インストラクターの心得とテクニック」に格納された講演スライドより閲覧できます。 入学はこちら
司会 池田さん、ありがとうございました。私は「まくら」で面白い話をするのが苦手でして……日常生活の色々なことに目を向けてみようかなと思いました。
チェックリストについても、なかなか手に入らないものを今回特別にご用意いただいたので、ぜひ皆さまのお役に立てればと思います。
参加者からの質問(一部紹介)
【質問1】集合型(対面)研修で1ヵ月の期間がある場合、受講者アンケートは毎日実施するのでしょうか。それとも最終日に実施するのでしょうか。
池田 私は、個々のプログラムごとにアンケートを取るタイプですね。業務別にマニュアルや資料がある場合、「業務の資料が適切だったか」「わかりやすかったか」などと尋ねるのですが、修正箇所をうっかり忘れてしまうことがないよう、研修項目ごとに実施するようにしています。
このように、私は細かくアンケートを作ろうとする癖があるのですが、最初はざっくりとした頻度でいいのではないかと思っています。
司会 いったんは、すべての研修が終わってから最後にアンケートを取る形でスタートしてみるのが良いかもしれないですね。
【質問2】オペレーターのモチベーション維持に有効なことはありますか?
池田 一番有効なのは、オペレーターが努力して到達できたことを見逃さずに、褒めてあげることだと思います。
オペレーターがお客さまから「ありがとう」と言ってもらえたら、「お客さまも喜んだし、指導係をしている身からしても嬉しいので、ありがとう」と本人に直接伝えてみるのも良いでしょう。
それから、周りからすると当たり前のことであっても、本人からすればやっとうまくできたということや、センター全体の中で模範となる、輝いている部分を見つけて褒めるのも良いですね。
褒められると照れてしまう人もいると思いますが、嫌ということではないと思うので、ぜひ良いところを見つけて褒めてみてください。
オペレーター教育のためのクラウドサービス「BIZTEL shouin」とは
司会 それでは次にブライシス株式会社セールスサポート部 塚本より、教育のためのクラウドサービス「BIZTEL shouin」についてお話しいたします。
塚本 はい、よろしくお願いいたします。私はコールセンターオペレーター歴16年です。その後、インサイドセールスチームのリーダーを経験しまして、後進の教育という部分でかなり悩み、試行錯誤した1人です。現在は、BIZTEL shouinの営業担当として、コールセンター業界の教育課題の解決に従事しております。
それでは、コンタクトセンター専門の動画研修を中心としたクラウド型の教育管理サービス「BIZTEL shouin」についてご説明します。
プリセットの研修動画が豊富
BIZTEL shouinは、コンタクトセンターのオペレーター・SVに必要なスキルに関する情報を動画化しています。1本あたり平均5分の動画が計80本(2025年4月時点:150本以上)収録されています。
初期研修だけではなく、SV向けの研修動画もあり、今後もさらに増える予定です。「研修講師の心得」など、池田さんが今回お話しされた内容も入っています。
また、すでに収録されている動画だけではなく、自社で用意したPDFや動画も格納して使えます。
クイズや検定で、知識を定着
せっかくの研修動画も、観ただけでは身につきませんよね。学んだことを自分の頭で考え、記憶に定着させて、初めて効果が出ます。
BIZTEL shouinには、「クイズ」機能があります。
まず研修動画を見て学習し、その内容を踏まえてクイズに答えることで、知識を定着させることができるという機能です。一問一答形式なので、気軽に挑戦できます。一度中断して、続きの問題から挑戦することもできますし、間違えた問題だけ解くということも可能です。「インプットとアウトプット」これらを繰り返すことで成長を促せる仕組みとなっています。
理解度を測るという部分でつながるのですが、社内試験をする際に利用できる「検定」という機能もあります。
先ほどご紹介したクイズと違って、合否判定や受験回数が表示されます。また、受験回数の上限や、合格基準点・制限時間の設定が可能です。
初期研修だけではなく、新商品の知識検定や、新しい業務にチャレンジするときの見極めテストや、社内の昇格試験にも使える機能です。
研修の進捗状況を確認できる
管理者側で、研修動画などのコンテンツを、誰がどれだけ視聴しているのかチェックできる機能もあります。
また、クイズに関しても、問題ごとの回答率・未回答率・正解率などを確認することが可能です。どの学習者が正解・不正解だったかも分かります。
BIZTEL shouinのプリセット動画や機能について「もっと知りたい」と思った方は、ぜひホームページをご覧ください。
ご清聴ありがとうございました。
BIZTEL大学への入学をお待ちしております!
今回ご紹介したように、「BIZTEL大学」ではセミナーやソリューションの紹介を中心に、参加者の持続的な成長に役立つ情報をお届けしています。入学された皆さまには、次回セミナーの視聴案内が自動で届きますので、以降のお申し込み手続きは不要です。
また、希望者にはeラーニングシステム「BIZTEL shouin」のアカウントを無料で発行(※2)しており、過去のBIZTEL大学のセミナーを視聴することが可能です。受講した内容を理解し、身についたか確認するためのクイズ・チェックリストも提供しています。
※2 視聴可能なプリセット動画や、機能を制限して提供しています。
セミナーで改善手法を学び、最新ソリューションの情報を収集して、BIZTEL shouinで復習し、学んだ内容を現場で活かす。そして、また次回のセミナーに参加する。BIZTEL大学では、こうした持続的な成長サイクルをコールセンター(コンタクトセンター)の皆さまにご用意しています。
将来的にはオフラインでの開催や、参加者同士のネットワーキングの場になるような未来を目指していく予定です。「BIZTEL大学」に興味をお持ちの方、ぜひご参加をお待ちしております!