2018.09.13
2022.02.18

ディープラーニングとは?コールセンターの未来につながるAI活用最前線!

近年さまざまな領域で注目されているAI。
コールセンター領域でもAIの活用が加速しつつあります。コールセンターで電話業務に携わっている方は、

「AIを活用してよりパフォーマンスの高いコールセンターを実現したい」
「時代に乗り遅れないようコールセンターにAIを導入したい」

など、さまざまな思いを持っているのではないでしょうか?

AIにも色々なものがありますが、特にディープラーニングが注目されています。

コールセンターでもディープラーニングを活用した新しい取り組みが始まりつつあります。そこでこの記事では、コールセンターにおけるAIの最前線として、ディープラーニングの基本から活用例を解説します。

ディープラーニングとは?

コールセンターにおけるディープラーニング活用の前提知識として、ここではディープラーニングの基礎知識を解説します。

ディープラーニングとは、日本語では「深層学習」と呼ばれ、人間が経験やインプットをもとに自然に行っていた思考や選択をコンピューターに学習させる技術です。

「機械学習」と混同されることがありますが、両者は明確に異なります。機械学習では、処理するデータおよび判断基準を人間がコンピューターにインプットする必要があります。例えば、機械学習における画像認識で猫を認識させるには、猫と識別された大量の画像を人的にコンピューターインプットすることで、認識させます。つまり、これは「猫」ですよ、これは「猿」ですよといった情報を人間が明示します。

一方ディープラーニングの場合、与えられたインプットをコンピューター自ら解析してその特徴や共通点などを導きだします。つまり、人間がこれらを明示する必要がありません。

また、ディープラーニングはあくまでもAIの一部です。AIでは、ディープラーニングで導き出した特徴や共通点をもとにした自動化やサジェストを行います。

ディープラーニングの活用例

ディープラーニングによるデータ解析は、主に「テキスト」「画像」「音声」の領域で活用されています。

コールセンターは音声データの宝庫であり、ディープラーニングととても相性の良い領域です。ここでは、期待されているコールセンターへのディープラーニング活用例について解説します。

通話音声のテキスト化・要約

代表的な活用例が顧客とオペレーター間で交わされる会話の音声認識です。従来オペレーターが手動で行なっていた会話履歴の登録を自動で行うことができます。単純な会話の全文テキスト化・登録だけでなく、登録する内容の精査や重要なポイントだけを登録するといったことができるようになってきています。

ディープラーニングがサービス化される以前は、オペレーターがルールや経験に基づいてシステムに登録する内容を判断していました。この部分が機械に変わることで、オペレーターの負荷を下がり、対応できる件数が向上します。つまり、パフォーマンス向上に大きく寄与します。

自動分類・多言語翻訳

通話音声テキスト化の発展的な機能となりますが、ディープラーニングではテキスト化した会話内容を自動で「質問」「要望」「クレーム」などに分類することができます。

例えば、AIプラットフォームとして著名なIBMのWatsonはこの機能を標準で搭載しています。Watsonは、多言語対応しており、テキストを瞬時に他の言語に翻訳するといったことまで実現しています。

属人的に行っていた分類を自動で行うことにより、オペレーターの負荷軽減だけでなく、ビックデータとしての活用も期待できます。

感情解析

音声データをもとにした感情分析もディープラーニングに期待されている活用例です。

例えば、問合せの緊急度やクレームの温度感の判断は従来オペレーターが担ってきました。ディープラーニングの登場により、この部分を機械的に判断することができるようになってきました。オペレーターは人間ですので、ルールを作ったとしてもある程度オペレーターによって判断に差が出ていました。これらの課題も解決が見込まれています。

また、緊急度で一定のスコア以上と判断された問合せは、自動でスーパーバイザーにエスカレーションするといった事も可能となります。ディープラーニングの活用で、更なる標準化・品質向上が実現するでしょう。

関連するナレッジやFAQの自動サジェスト

リアルタイムで会話内容を分析し、問い合わせに関連するナレッジや回答、FAQを自動で表示することが可能となります。
従来は、オペレーターが会話しながらナレッジやFAQを検索していたため、多少なり待ち時間が発生していました。この記事をお読みの方も、「お調べするのでお待ちください」と案内された経験があるのではないでしょうか?

オペレーターの対応と並行して機械がこれらを担うことで対応時間の短縮につながります。また、オペレーターの教育コスト削減というメリットもあります。顧客目線では、スピーディで品質の高いコールセンターの実現に寄与します。

 

ここで紹介した内容は一部のサービスでは既に提供され始めています。しかし、まだまだ品質などに課題がある状況です。今後、精度については徐々に改善されていくでしょう。

AI時代におけるコールセンターの未来図

進化し続けるAI。
コールセンターでは現在補助的な役割に留まっていますが、将来的にはベテランオペレーター顔負けの対応も実現することでしょう。

今後、コールセンターの領域を超えて期待されているのが、顧客ビックデータの収集源としての活用す。コールセンターの強みはなんと言っても顧客の生の声を収集できる点です。

クレームや質問の対応に追われがちなコールセンターですが、顧客との会話の間には製品への要望など埋もれがちな貴重な情報が多く含まれています。AIが登場する以前は、会話内容すべてをシステムに登録することは困難でした。t録音データとしての登録は可能でしたが、それでは解析につなげることができません。

「会話のテキスト化」「自動分類」「感情分析」などのテクノロジー進化によって、要望などを含めた顧客情報の収集源としてコールセンターの重要性は一層深まるでしょう。

AI導入を検討する前に知っておきたいこと

コールセンターでも活用が期待されるAIですが、技術的にまだまだオペレーターの補助的な役割に留まっています。現時点では、過度に期待して導入すると投資対効果を得られない可能性があります。

また、コールセンターシステム でも、多くの製品でAI搭載が宣伝されていますが、機能はピンキリですので選定には注意が必要です。選択肢として以下があります。

選択肢1:API連携可能なコールセンターシステムを選ぶ

コールセンターシステム にAPIでAIを接続する方法です。API連携可能なコールセンターシステムであれば、Watsonなど優れたAI製品と接続することが可能です。AI製品も流行り廃りや優劣があるため、現時点では機能軸でコールセンターシステムと切り離して導入する方法がオススメです。

選択肢2:AI機能を搭載しているコールセンターシステム を選ぶ

もう一つの選択肢は最初からAIを搭載しているコールセンターシステムを選ぶ方法です。インターフェースの開発が不要になるメリットがありますが、将来的に拡張性に制限が出たり、他のAI製品に劣ってしまったりするリスクがあります。

例えば、AI領域はIBMのような大企業が大きな予算を投入して開発している領域です。中長期的に投資力と開発力を備えたサービス提供会社の製品が残ると予想されます。

まとめ

この記事では、コールセンターにおけるAIの最前線として、ディープラーニングの基本から活用例まで詳しく解説してきました。AIはまだまだ発展途上ですが、将来的にコールセンターの品質向上や業務効率化、コスト削減に大きく寄与するでしょう。

コールセンターシステムに接続可能なAIやAIを搭載したコールセンターシステムも登場し始めています。インバウンド業務の方もアウトバウンド業務の方も、コールセンターにおけるAI動向の把握にぜひこの記事をご活用ください。

 

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