最新版!コンタクトセンターの市場規模とトレンド
近年、コンタクトセンター市場がにわかに活気を帯びています。
その背景には、AIやクラウドといったITの発達があり、これらを含めたコンタクトセンターの構築がトレンドになっているのです。
そこで本記事では、コンタクトセンターの市場規模やトレンド、シェア、システム導入の勘所を網羅的に解説します。コンタクトセンター構築を検討している方なら必見の内容といえるでしょう。
目次
コンタクトセンターの市場規模
コンタクトセンターシステムの市場は、関連のアプリケーションを含めると年間9兆円超の市場規模を誇ります。※1
市場規模自体は2014年からほぼ横ばいですが、オンプレミス型からクラウド型への移行が原動力となって安定して推移しており、今後も引き続き旺盛な需要を誇る分野であると言えるでしょう。
このようにコンタクトセンターが注目される背景には、「顧客体験が注目されていること」や「オムニチャネル時代の到来」があります。
近年、サービスや製品自体に加え、「購入したという体験」や「企業とのコミュニケーション」にも価値を見出す顧客が増えています。つまり、良質な顧客体験の提供は顧客満足度の向上やファン層の形成につながると考えられるのです。
また、「オムニチャネル化」も重要なキーワードです。ITの発達により、SNS・チャット・Eメールといった電話以外のコミュニケーション手段が一般化しました。顧客は、これら複数のチャネルを通じて企業にアクセスしてきます。オムニチャネル化では、複数のチャネルを効果的に使い、顧客体験の向上が求められます。
また、オムニチャネル化によってVOC(顧客の声)を収集・管理・分析し、企業の成長に役立てる動きも活発化しているのです。
※1 参考:NTTコミュニケーションズ「クラウド型コンタクトセンターの最新動向について」
コンタクトセンターを支えるシステムのトレンド
企業の中で存在感を増すコンタクトセンターは、さまざまなITシステムによって支えられています。
コンタクトセンターの核「コールセンターシステム」
コールセンターシステムは、コンタクトセンターの核ともいえるシステムです。
電話とコンピューターを接続・統合する「CTI」はその好例です。CTIは、顧客情報の自動表示やCRMとの連携、通話録音機能などの充実で、コールセンター業務を効率化してきました。
コンタクトセンターの構築では、コールセンターシステムを土台にし、インターフェース連携によって必要な機能を補完する方法が注目されています。
カスタマーサービスプラットフォーム
カスタマーサービスプラットフォームは、電話やチャット、SNS、CRMとの連携を可能にし、カスタマーサービスに関するさまざまな機能を統合したソリューションです。
リアルタイムチャットを用いた顧客サポート、チケット化によるインシデント管理、録音共有や通話時間分析などを備えています。また、LINEやTwitterなど、メジャーなSNSと連携しながら顧客対応を効率化できます。
音声認識AI
音声認識AIの活用で、問い合わせ内容のテキスト化やカテゴライズが可能です。これらは今後、VOC活動(顧客の声を収集・管理・分析して顧客満足度向上に役立てる活動)の一翼を担うものです。
支援AI
支援AIは、新人教育コストの低減や対応品質の均一化に役立ちます。特にオムニチャネル時代のコンタクトセンターでは、「対応品質の均一化」が重要な目的のひとつです。
支援AIは、集積した問い合わせデータの中から最適な回答を提示し、多様な文言での検索にも素早く対応します。これまで属人的なスキル・経験に頼っていた教育も、支援AIの力で効率化できるでしょう。
コールセンターシステムのシェア
次に、コールセンターシステムのシェアについてみていきましょう。
※2出典:ミック経済研究所「クラウド型CRM市場の現状と展望2018年度版」
日本国内のクラウド型コールセンターシステムのシェアです。稼働席数、顧客企業数ともにリンク(BIZTEL)が1位となっています。
次に、コールセンターシステム全体に占める、クラウド型のシェアです。
※3出典:ミック経済研究所「クラウド型CRM市場の現状と展望2018年度版」
コールセンターシステム単体の市場規模が6637億5千万円前後で推移する中、クラウド型の割合が増加傾向です(予測を含む)。2016年には全体の20.6%だったクラウド型のシェアは、2018年30.7%と実に1.5倍もの成長を見せています。さらに2019年には36.3%に達するとの予測があり、今後数年でクラウド型コンタクトセンターが主流になる可能性が見えてきました。
ではなぜ、クラウド型コールセンターシステムがここまでの伸びを見せているのでしょうか。その理由は、以下4つに集約できます。
導入スピードの速さ
クラウド型システムは物理的な導入作業が必要ないため、短納期での導入できるという強みを持っています。常時稼働し続けるコンタクトセンターでは、いかに素早くシステムを切り替えられるかが重要なポイントです。
改善スピードの速さ
AIやチャットボットなどの最新技術も、クラウドサービスとして素早く適用できます。
機動性や事業継続性の担保が可能
物理的な場所の制約があるオンプレミス型とは異なり、クラウド型は拠点の追加や変更がいつでも簡単に行えます。また、拠点の分散化も容易で、災害時の事業継続性(BCP)対策としても有効です。
低コスト
クラウド型はオンプレミス型に比べ、導入コスト・ランニングコスト共に小さいことが強みです。座席数や利用状況に応じて、最適な課金形態を利用できるため、無駄が生じにくいのです。
システム導入の勘所
最後にクラウド型コールセンターシステムを導入する時、気を付けるべきポイントをまとめていきます。
ビックバン的導入を目指さない
システムのアップグレードは、ややもすれば「ビッグバン的導入」を思い浮かべがちです。しかし、実際にはビッグバン的な導入事例は大企業の一部のみというのが実情でしょう。
多くの企業は、既存のコールセンターシステムに必要な機能を付与し、徐々に補完・強化・拡張しながら導入を進めています。
拡張性のある核(コアシステム)を選択する
コンタクトセンター構築では、まず核となるコールセンターを選び、それに対して徐々にCRM・AI・カスタマーサービスプラットフォームの機能を追加していく方法がおすすめです。
このとき、核となるコールセンターシステムは、他システムとの連携が可能なものを選定すべきでしょう。追加開発によって他システムとの連携に対応できれば、コールセンターの機能を自在に強化できるからです。
特にAIは、まだまだ発展途上なため、柔軟に拡張・切り替えが可能な状態を維持すべきでしょう。API連携サービスを提供しているベンダーのシステムを選びたいところです。
まとめ
市場の中で徐々に存在感を増しているクラウド型システムは、コンタクトセンター構築の要ともいえるものです。
ビッグバン的な導入を目指さず、必要な機能を必要なときに追加していけることは、クラウド型の大きなメリットでしょう。
無理・無駄のないコンタクトセンター構築のため、まずは核となるコールセンターシステムの選定から始めてみてはいかがでしょうか。
*「コンタクトセンター」関連のおすすめ記事