部下とのコミュニケーショントラブルに向き合う【後編】
【前編から続く】
自己懺悔の面談(1対1で)
このブログを読まれた方は、一様に引いてしまったかもしれません。
しかし、にっちもさっちも行かなくなった人間関係を取り戻すのに、
手段を選んでいる場合ではありません。
ただ、やり方を間違うと逆効果どころか、最悪の結果になってしまうので、
慎重に準備し面談に臨む必要があります。
そのポイントを整理してみました。
目次
面談の進め方12のポイント
① 複数人数と一度に面談すると袋叩きに合うので、やるのは必ず1対1で。
② 心おきなく話ができるよう、声が漏れず、また人目に付きにくい別の場所(会議室など)でやる。
さらに面談していること自体を、他の人に察知されないように。
変な噂が尾ひれをつけて拡散する恐れがあるため。
③ 空腹時や忙しい時間帯は、相手の気も立っているので絶対に避けること。
〇 ランチ後すぐ
満腹状態は、人の気持ちが一番落ち着き安定している状態。
厄介ごとの話し合いにおいて、この機を逃してはならない。
ランチをおごってあげると、相手は少し引け目を感じているので攻撃も鈍る。
ただし、自腹でおごること。領収書を切るのは効果が激減。
さらに、その噂がすぐに広まり、えこひいきだなんだと別の問題が発生。
× 朝一番、午前中、業務終了時間間際、業務終了後
午前中はまだ脳がフレッシュなので、自分も相手も理屈っぽくなる。
またロジカルな思考が働くので、不用意な発言で言葉尻を取られる危険性も高い。
業務終了後は、空腹と早く帰りたいので一番イラつきやすい。
どうしてもこの時間しかない場合は、軽食(何か甘いもの)を用意してやるほうがよい。
④ 面談の最初にねぎらいの言葉をかける(これ大事!)
「毎日頑張ってくれてありがとう。」
「〇〇さんがいつも皆をまとめてくれているので、皆も安心して仕事してくれています。ありがとう。」
頭を下げて、お礼を伝えることで、感謝の気持ちを態度で表現できる。
言い慣れていないとぎこちなくなるものの、心配ご無用。自宅で練習しよう。
人によって喜びポイントが異なる。
相手の普段の言動や、どういうところにこだわっているか観察しておくこと。
ここがぴったり合うと効果倍増。
ここで何か気の利いたことを言おうとすると、
余計なことを言って失言しやすいので、あくまでシンプルに。
⑤ 相手は警戒しているので、正直に自分の言葉で懺悔し、相手を安心させる。
潔さが肝心。1対1ならできるはず。
決して言い訳じみたことを言ってはいけない
(謝罪慣れしていない人は必ず言い訳が多くなる。
事前に文章に起こして他者にチェックしてもらうと良い。)
⑥ 「〇〇さんと私の人間関係がぎくしゃくしているが、
その原因が私にあるのではないかと感じている。
自分に何か間違いがあるなら正したいと思っている。
だから言いたいことは全て聞かせてほしい。」と心から伝える。
目力を込めて、相手の目をしっかりと見ながら話すこと。
「お互いの誤解を解決したい」というような、問題が両者にあるといういい方は、
もし相手側が自分は悪くなく、こちら側に一方的に問題があると認識していた場合、反発を招きやすい。
ここはまず一旦、自分に非があるとしておいたほうが無難。
こちらが先に折れることで、相手側も「自分にも非があった」と言いやすくなる。
言い方は各自のやり方で。
今の人間関係を改善したいという思いが相手に伝われば、それでOK。
ただし、「周りが~」、「組織が~」など他のものを理由にすると
「嫌々ながら」というニュアンスにとられかねないので避けること。
あくまで主語は「自分」で。
⑦ 相手の言い分に間違いがあろうとも、決して反論しない!(これやると全てパー)
誤解はそのまま受け止めろ!
まずは中身より、相手の気持ちを受け止めることが先。
相手から理由を問われたものには回答。ただし言い訳はダメ!
どうしても誤解に反論したくなったら、
「~については、~という理由で、~したのだが、自分の考えは間違っていたのだろうか?」と質問調で。
断定調で言うと、反論しているように聞こえる。
⑧ メモを取る。
基本は、相手の目を見ながら話を聞く。
ポイントでメモを取る→相手が自分の話を受け止めていると感じる。
またメモしないと、何を話し、どんな約束をしたのか忘れてしまう。
⑨ 相手の話には相槌をしっかりと。
クレーム対応と同じ。
「はい」
「そうだね」
「確かに」
「まったくその通りだ」
「わかりました」
⑩ この言葉を忘れずに言う。
「自分の悪いところは少しずつ直していきたい。
ただ性格はすぐには変えられないので、少し時間がかかるかもしれない。
それまで我慢して待っていてもらえるとありがたいのだが、どうだろうか?」
相手のパーミッションを取ることで、
個人の課題から両者で課題を分かち合う運命共同体のようなものに転化する。
また時間を稼げる。
「もしまた悪い癖が出ていたら、遠慮なく言ってくれ。こっそりとね。」
くらい言えるとベター。
⑪ よほど緊急性のあるものでない限り、期限や成果の約束はしない。
だいたい性格やもめごとは、すぐには解決しないものばかり。
約束してしまうと、それができなかった時に相手の失望につながり、
もう何を話しても無駄と決裂が決定的になってしまう。
まずは感情のしこりを解くことに集中。
ただし、最終的に何らかの約束事がないとスッキリ終われない。
一度にたくさん約束するのは自殺行為になりかねないので、
まずはひとつなど最小限にとどめるよう、うまく話を持っていく。
⑫ 最後は「ありがとう」で締める。
「今日は〇〇さんと話ができて良かった。ありがとう。」
面談にあたって、理解しておくこと。
面談する前に、5つの点は理解して臨んでください。
① いったん、上司と部下という関係は忘れる。
上司の意識があると、上から目線の言葉など言動に現れやすく注意。
② 面談は「お互いの言い分の白黒をつけることではない」と理解しておく。
白黒つけたところで、感情のしこりは解決しない。むしろ悪化する。
相手の溜まっているガスを、徹底的に吐き出させることに集中する。
③ 「上司」という役を演じる。
素の自分でいると、やはりどうしても我慢できないことが出てくる。
その場合は「上司」という役を演じる俳優になってみる。
これにより、恐ろしく冷静で客観的な視点で物事を見ることができるようになる。
④ 一度の面談で決着つけようと思わなくていい。
全てがその場で解決するとは限らない。
その場合は、「〇〇については、また時間を取って話し合おう」というくらいに、軽い気持ちで。
とにかく無理をしないこと。
⑤ 面談で約束したことは、必ず、即実行しなければならない。
なんでもいいから、すぐできることから始め、
相手に自分が変わろうとしている姿勢を見せることで、状況はポジティブに変わっていく。
そのためにも、面談中のメモは必須。
ここまで聞いても、まだ気持ちが吹っ切れないですか?
それは恐らく、
「こんなことをすると相手にあなどられ、この先なめられてしまうのではないか。」
ということを感じているからではありませんか。
心配ご無用。
自分の非を素直に認め受け入れると、ポジティブな評価になる。
考えてもみてください。
もし自分が部下だとして、自分の上司に対し何かキツイことを言ったとします。
そして上司が自分の非を素直に認め、あなたの要望を受けいれました。
そんな上司を、あなたはバカにしますか?
むしろ好印象を抱きませんか?
謙虚である必要があります。しかし卑屈であってはなりません。
面談後、消耗しストレスが溜まったあなたを救う一策
面談は終始忍耐の連続で、やり切った後はぐったりとします。
またやったからといって、全ての人と仲直りできるわけではありません。
相手の人間性や性格もあれば、お互いの相性というものがあります。
やはり相性が合わない人とは、何をやってもダメなのですね。
その場合は、諦めましょう。
問題は、その溜まったあなたのストレスを開放し、成仏させなければなりません。
趣味やスポーツなどでストレスを発散できる方なら問題ありませんが、
この面談はそれだけでは解消できないくらい“毒”が蓄積します。
誰か話を聞いてくれる人に、思いっきり吐き出したくなります。
とはいえ、人に愚痴を話すのはカッコよくないと思う方もいるでしょう。
上司ともなれば、愚痴を聞いてくれる上司すらおらず、孤独です。
そんな方に、ひっそりと、かつ激しく愚痴を吐き出す方法があります。
皆さんは普段、アウトルックなどのメーラーを使っているかと思います。
そのメールに、自分の不満や愚痴、思いのたけをすべて書き出してください。
そしてそのメールを自分あてに送信するのです。
これはかなり気分がスッキリしますよ。
他人に見せない限り、どんな暴言、罵詈雑言、
思いつくだけの悪口を書き放題です。
(できれば、会社のメーラーではなく、
個人のメーラーで個人のアドレス宛に送ったほうがいいかもしれません。)
一度で書き足りなければ、何度でも毒を吐いてください。
書いて、書いて、書きつくした後は気持ちも晴れ、
頑張ろうという前向きな気持ちに切り替わります。
たかが面談ですが、されど面談。
用意周到な準備で臨んでこそ、その苦労も報われるというものです。
最後に、武田信玄の言葉をエールとして贈ります。