【アフターコロナのコールセンター対策】第二波が来る前に、今のうちに対策しておくべきこと。
新型コロナウイルスによって、コールセンターを取り巻く環境は目まぐるしく変わってきました。
緊急事態宣言の解除後も在宅勤務などの体制を取っているコールセンターは多く、そうした緊急体制下でのコールセンターに関するさまざまな情報が、少しずつ集まってきました。
まだ進行形ではあるものの、そこから見えてきた傾向や課題から、今後予想される第二波までに何をしておくべきか考えてみましょう。
目次
コールセンターの在宅化状況
さまざまな調査機関や業界からあがってくる情報を総合的に見ていくと、コールセンターの完全在宅化を実現できたのは、だいたい1割程度のようです。
完全ではなくとも、一部のオペレーターや業務を在宅化したコールセンターは約4割前後で、したがって、概ね半分程度のコールセンターが何らかの形で業務の在宅化を実施したようです。
また、在宅化を今回実施していないコールセンターでも、約3割前後の企業が今後の導入を検討しているとのことでした。
今回の緊急体制で各コールセンターがとった対策は以下のものがあげられます。
- 手洗い・うがい・検温など、衛生状態の徹底。
- 座席間隔を空けたり、人口密度を下げたりするなど、ソーシャルディスタンスの確保。
- 営業時間の変更や、応答率目標を下げるなど、サービスクオリティを下げた。
- チャット・メール・SNSの対応強化や、ホームページでのFAQの充実化など、電話以外の対応チャネルを強化。
BIZTELのサービスデスクにおいても、3月以降、コールセンターの在宅化のための相談をしたいという電話が殺到していました。
見えてきた課題
コールセンターの在宅化を実施した企業の取り組みから、在宅勤務をするにあたっての課題も明らかになってきました。
ハード面での課題がやはり大きく、
- セキュリティの担保
- 在宅環境の確保
- 業務実施設備の確保
この3つについては、ほとんどの企業が課題と認識しているようです。
このあたりはある程度予想できるものでしたが、想定外なことが多かったのは「2.在宅環境の確保」です。
自宅に勤務スペースを持てないという人は意外と多く、セキュリティやPC・電話機の課題がクリアできても、部屋が狭くて機材を置く場所がない、機材を置くデスクや椅子がない、といった事情から在宅化できなかったり、時間がかかったりしたようです。
またインターネット環境についても、人によってスペックが違うという問題や、個人で契約しているプロバイダの通信費を誰がどこまで負担するのか、新たに回線を用意するなら、いつまでにインターネット回線をひけるのかなど、個別対応しなければならない問題もありました。
※ちなみにBIZTELで在宅コールセンター業務を実施する場合は、Wi-Fiのような無線LAN接続は音質や通話の安定性に課題があるため、あくまでも有線LAN接続を推奨しています。
さらに、業務中の生活音に関する問題や、「勤務する姿を家族に見られたくない」という従事者の声も聞かれしました。
確かに、自宅で家族が近くにいる状況で苦情対応などしたくないですよね。
ソフト面での課題としては、
- 業務の効率化や平準化
- 人材の採用や育成
- 従業員満足度やメンタル管理
などがあげられます。
業務をきちんと体系化していないコールセンターほど、在宅化により業務の品質低下が見られたとのことです。
また、応対指導の機会が減ったケースや、人材の教育手法が従来型の集合研修であったため、在宅勤務中に十分な教育を実施できなくなったケースもあったようです。
第二波が予想される今後においては、人材採用や教育方法について従来型とは別のオンライン手法も準備する必要があるといえるでしょう。
今のうちにすべきは、業務の断捨離
コロナ禍において、「ハンコをもらうためにわざわざ出社しなければならない」という話がニュースになりました。
コールセンターにも似たような話があります。
それは、「紙の問題」です。
- 電子化されていない、紙の業務マニュアルがあったが、機密情報保護の観点から持ち出せなかった。
- エスカレーションや手続きの流れに意外と紙を使っていた。
多くの企業でCRM(顧客関係管理)のシステム化が進んでおり、顧客応対自体はオフィス外でも出来るものの、コールセンター内部の運営についてはまだまだ紙が使われているところが多く、これが在宅化の障害になったという声が聞かれました。
こうした事態に陥らないためにも、オペレーションのペーパーレス化を今のうちに進めておく必要があります。
また、紙以外の問題として、社歴の長い人と短い人で業務のやり方が異なるなど、業務の属人化が放置されているコールセンターほど在宅勤務時に混乱を招き、業務品質・効率が低下したとの声も出ていました。
さらには、昔作ったルールで今は形骸化している無駄な仕事、何かトラブルがあるたびに増えていくルールなど、知らず知らずのうちに余計な仕事が増えてそのままになっているケースも意外とあるようで、これも業務の体系化の障害となりえます。
この機会に業務プロセス全体を棚卸して、人によってやり方の異なるプロセスの平準化、マニュアルの電子化など、今の業務全体の断捨離を検討するべきといえるでしょう。