2020.07.17
2022.02.18

【事例付】ビジネスフォン環境をクラウドPBX・CTIで強化する方法とは?

かつて、日本企業の電話システムといえば、「電話回線+オンプレミス型PBX+固定電話のビジネスフォン」という組み合わせが一般的でした。しかし、ビジネスの成功に顧客接点領域の強化が必須である現代では、物足りなさを感じるユーザも少なくないでしょう。

また、電話システムの機能拡張を目論んでCTIを導入しようにも、コストや既存システムとの連携の問題から踏み切れない……というケースは少なくありません。

こうした種々の問題を解決する方法のひとつが、クラウド型のPBXとCTIを用いたビジネスフォンサービスです。ここでは、クラウド型ビジネスフォンサービスのメリットや、実際の導入事例などを紹介していきます。

そもそもビジネスフォンとは?

ビジネスフォンとは「内線・外線機能を併せ持った企業向け電話」です。近年では、ビジネス環境の変化に伴い、通話以外にもさまざまな機能が要求されるようになっています。

そこで、まずはビジネスフォンの基礎知識についておさらいしておきましょう。

ビジネスフォンの歴史

ビジネスフォンの原型は、企業が独自に設置した「私設電話」だと言われており、今でいう内線電話の機能を果たしていました※1。これに対し外線電話は「加入電話」とも呼ばれ、加入電話と私設電話の接続(発信・着信)は、交換手が手動で行っていました。その後、「クロスバー交換機」※2 による内線から外線への自動接続・発信や、「ダイヤルインサービス」※3 による外線から内線への自動着信が可能になり、現在のビジネスフォンの土台ができあがったといわれています。

※1 有線電気通信法では、「私設電話」を電気通信事業者以外が設置する電話と定義しています。
※2 クロスバー交換機:自動電話交換機。縦横に張り巡らされた複数のバーが電磁石によって動作し、交換作業を自動化する仕組み。
※3 ダイヤルインサービス:1契約回線に複数の端末が接続されている場合に、端末ごとに電話番号を付与し、特定の端末に着信させることができるサービス。

ビジネスフォンの仕組み

近年のビジネスフォンは、一般的に「主装置(PBX)+端末(電話機)」で構成されています。前述したようにビジネスフォンは「外線と内線」のシームレスな接続が可能で、保留・転送・同時着信などの機能も付与されています。

  • PBXとは?

ビジネスフォンを語るうえで欠かせない要素のひとつが「PBX」です。PBXとは、「Private Branch eXchange(プライベート・ブランチ・エクスチェンジ)」の略称で、日本語では「構内交換機」と訳されます。

PBXは、ひとつの外線から複数の内線への接続作業を担う装置で、従来は企業・組織の内部に置かれていました。近年では、通常のアナログ電話回線ではなくVoIP(TCP/IP通信を用いた音声データの送受信技術)を用いた「IP-PBX」や、IP-PBX機能をクラウドサービスから提供する「クラウドPBX」が登場しています。

ビジネスフォンのメリット

ビジネスフォンによる外線・内線のシームレスな接続により、次のようなメリットが生まれます。

  • 組織形態に応じた柔軟な配線

代表番号(外線番号)から各部署・席単位の内線という具合に、組織形態に応じて細かな配線が可能になります。また、取次業務も効率よく行えるようになるでしょう。

  • 回線コストの節約

ビジネスフォンでは、ひとつもしくは少数の外線番号に複数の内線を結び付けられるため、電話の台数=契約回線数とはなりません。したがって、契約する外線番号の数を最小限に留めてコストを下げつつ、組織間の密な連絡網を構築できるようになります。

ビジネスフォンのデメリット

一方、ビジネスフォンにはデメリットもあります。特に「電話回線+オンプレミス型のPBX+固定電話型のビジネスフォン」では、次のような点に注意が必要です。

  • 主装置(PBX)の導入・設置・維持費用がかさみがち
  • 席数増加時のコストが大きい(回線の敷設工事費や電話機そのものの設置費用など)
  • ボタン配置や機能面の制限など、ビジネスフォンそのものに物理的な制限がある
  • 業務効率化に役立つ機能(着信ポップアップや通話履歴管理)などを付与しにくい
  • 顧客とのコミュニケーションをナレッジとして蓄積しにくい

このように「電話回線+オンプレミス型のPBX+固定電話型のビジネスフォン」では、コストや拡張性に問題を抱えがちです。

そこで注目したいのが「クラウドPBX・CTI」を用いた「クラウド型ビジネスフォンサービス」です。

クラウド型のビジネスフォンサービスに注目

クラウド型ビジネスフォンサービスは、CTIやPBXの機能をインターネット経由で提供することにより、低コストで高機能な電話システムが構築できるサービスです。また、既存の電話システムとクラウドPBXを接続し、既存資産を有効活用しつつ、機能面の拡張をすることもできます。

クラウド型ビジネスフォンサービスのメリット

  • PBXの設置・維持コストを大幅削減
  • 主装置の物理的な設置が不要なため、多拠点化や構成変更をする際に柔軟な対応ができる
  • CTI機能も活用でき、IVR通話履歴管理などが使用可能
  • PC主体のソフトフォンによる架電・受電が可能になり、固定電話機が不要になるほか、コールセンター業務の効率化・オペレーターの負担軽減の効果をもたらす機能も利用できる

クラウドPBXは、オンプレミス型PBXのように導入・設置・維持のコストが大きくありません。ベンダーからクラウドサービスとしてPBX機能が提供されるため、最低限のコストでオンデマンド型のコールセンターシステムを手軽に構築することも可能です。

さらに、既存のビジネスフォンをベースに、さまざまな付加機能(通話録音・録音データの蓄積・着信ポップアップ)も利用できるため、顧客接点領域の強化が容易に行えます。

クラウド型のPBX・CTI・ビジネスフォンサービスの活用事例

最後に、クラウド型のPBX・CTI・ビジネスフォンサービスを導入した企業の事例を紹介します。

クラウド型ビジネスフォンサービスへの移行でコストダウン

  • エキサイト株式会社

エキサイト株式会社では、オンプレミス型PBXを用いた電話システムを運用していました。しかしながらPBX自体の経年劣化により、不具合が発生。また、メンテナンスや座席変更時の工事費用に数十~数百万円を要していたことから、機能面の強化とコスト削減を見据えてクラウド型ビジネスフォンサービスへの移行を決定しました。

保守費用や通信費用の大幅な削減に成功したほか、呼量や放棄呼数がリアルタイムで把握できるレポート機能も利用できるようになり、電話応対をする人員の配置やIVRの設定変更を通常業務と並行しながら行えるようになりました。

また、コールセンターでは、これまで使用してきた固定電話機から、PCにインストールして使用するソフトフォンにすべて切り替えました。ヘッドセットをPCに接続して通話するため、両手がフリーになって入力作業がしやすくなり、業務効率化やミス削減につながったそうです。

まとめ

本稿では、ビジネスフォンの基礎知識を解説するとともに、クラウド型PBX・CTI・ビジネスフォンサービスの導入事例も紹介してきました。テクノロジーが発達した現代においても、顧客接点の中心は「音声のコミュニケーション」です。したがって、顧客接点領域の強化では、「電話」をいかに高機能な仕組みに進化させるかが成功の鍵といえます。

クラウド型のPBX・CTIを活用したビジネスフォンサービスは、旧来のビジネスフォンの利便性はそのままに、コスト削減や高機能化が実現できる仕組みです。オンプレミス型ビジネスフォンの更新・変更などに合わせ、クラウド型ビジネスフォンサービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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