2022.05.09

コールセンターにおけるCTIと顧客管理システム(CRM)の連携メリットとは?

コールセンターでよく利用される代表的なシステムには、CTI顧客管理システム(CRM)があります。効率的なコールセンターの運営には、これらのシステムを連携させて利用することが必須といえるでしょう。また、現代のビジネスでは「顧客の満足度」がこれまで以上に重要視されていますが、CTIと顧客管理システムを連携させることで、より満足度の高い顧客応対につなげることができます。
この記事では、CTIと顧客管理システムの概要や、両者の連携メリットなどについて解説します。

1. CTI・顧客管理システムとは

CTIとは

CTIとは、「Computer Telephony Integration」の頭文字をとった略語で、コンピューターと電話を統合した仕組み、またはその技術を指します。

オフィスやコールセンターでは、PBX(Private Branch eXchange)と電話端末により、通話を実現しています。しかし、PBXと電話端末で実現できるのはあくまで保留や転送、内線の利用といった通話自体に関わる機能のみです。そこで、PCや様々な外部システムと連携し、多様な付加機能を提供する仕組みがCTIです。

CTIは、コールセンターの電話を「複数の機能をもったコミュニケーションデバイス」に変化させることができます。たとえばCRMと連携して入電時に顧客情報をポップアップ表示する機能や、電話番号を入力することなくワンクリックで発信ができる機能などを活用できます。

顧客管理システム(CRM)とは

顧客管理システム(CRM)とは、その名の通り顧客を管理するために用いられるシステムのことです。

CRM(Customer Relationship Management)、つまり「顧客との関係性を管理するシステム」という名称からもわかる通り、顧客の電話番号やメールアドレス・購入履歴・問い合わせ履歴など、顧客との関係性を把握するための様々な情報をシステムに蓄積・管理できます。そして、それらの情報を顧客への最適なアプローチ方法を検討する際に活用可能です。

製品によって機能は異なりますが、主に顧客の氏名・属性・購入履歴などを管理する顧客情報管理や、顧客との商談の進捗状況を把握する商談管理、見込み顧客を把握するための接触履歴管理などの機能を持ちます。

2. CTIと顧客管理システムの連携はなぜ必要か

コールセンター業務において顧客への適切かつ迅速な応対を行うためには、「誰から電話がかかってきたのか」「その顧客とはこれまでにどのようなやり取りをしたのか」といった情報を、入電時にすぐ確認できる仕組みがあると便利です。これらの情報は一般的に顧客管理システムで管理されており、CTIと顧客管理システムが連携されていない場合は、オペレーターが受電のたびに手作業で対象の顧客情報や対応履歴を確認しなければなりません。

より良い顧客応対の実現を目指すには、CTIと顧客管理システムを連動させ、必要な顧客情報をスムーズに確認できるような仕組みを構築すべきといえるでしょう。

3. CTIと顧客管理システムの連携により実現できること

それでは、CTIと顧客管理システムの連携によって、具体的にどのようなことが実現できるのでしょうか。以下では、3つの観点で紹介します。

顧客応対の効率化

CTIの「着信ポップアップ」と呼ばれる機能を利用することで、受電した際に、その電話が誰からかかってきたものなのかをPCの画面へポップアップ表示し、すぐに把握することができます。

また架電時には、顧客管理システムに登録されている顧客の電話番号をクリックするだけで発信できる「クリックトゥコール」機能を利用することで、より業務効率の高い顧客応対が実現可能です。

顧客ロイヤルティの向上・ロイヤルカスタマー育成

ロイヤルティの高い顧客の囲い込みや育成を行うためには、コールセンターが適切に顧客への対応を行い、顧客に満足してもらうことが重要です。

CTIと顧客管理システムを連携すれば、2回目以降の問い合わせや手続きの依頼があった際、顧客情報をオペレーターがスムーズに確認できます。これにより、迅速かつ的確な対応が可能となり、顧客満足度の向上、ひいては自社に対するロイヤルティの向上につながります。

また、重要な顧客から問い合わせが来た際に、最適なオペレーターが応対できるよう、入電を振り分ける機能を持ったCTIもあります。

顧客への提案力の向上

通話中の顧客が過去にどのような商品・サービスを利用したかが、相手を待たせずに把握できます。これにより、顧客が好みそうな商品・サービスの提案を、テンポよく行えるでしょう。

例えばホテルの予約受付であれば、過去の宿泊時に利用のあった付加サービス(レストランやスパの利用など)を案内・提供する取り組みが可能です。

4. CTIと顧客管理システムの連携方法

では、CTIと顧客管理システムの連携はどのように実現するのでしょうか。以下では、「CTIに含まれる顧客管理機能を利用するケース」と「CTIと別個の顧客管理システムを連携させるケース」について紹介します。

CTIに含まれる顧客管理機能を持ったCTIを利用するケース

製品によっては、はじめからCTIに顧客管理機能を備えているものもあります。

顧客管理機能が含まれたCTIを利用することで、別のシステムと連携を行うことなく、コールセンターで顧客管理機能を利用できるメリットがあります。ただし、CTIに含まれる顧客管理機能は機能面が不十分であるケースもあるため、自社の要件を十分に満たしたものかどうか確認が必要です。

CTIと別個の顧客管理システムを連携させるケース

CTIとは別に顧客管理システムを導入し、両者を連携させる方法もあります。一般的には、こちらを選ぶ企業が多いでしょう。
自社が実施したい顧客管理に合わせたシステムを比較的自由に選択可能なため、よりきめ細やかな顧客対応を実現できる点がメリットです。

ただし、利用するCTIによって連携できる顧客管理システムが異なるため、自社が利用しているCRMなどのデータベースと連携できるCTIベンダーを選ぶことをおすすめします。CTIベンダー選定の際には、過去の連携実績などを参考にするとよいでしょう。

5.まとめ

この記事では、CTIと顧客管理システムの概要や、両者の連携メリットなどについて解説しました。CTIと顧客管理システムを連携させることには多くのメリットがあります。コールセンター構築・運営の際には検討すべきでしょう。

CTIを選定する際、自社ですでに顧客管理システムを利用している場合には、そのシステムと連携できるかが重要なポイントです。また、これから顧客管理システムを導入する場合には、CTIと連携できることはもちろん、自社のやりたい顧客管理が実現できるかを忘れずにチェックしましょう。