コールセンターシステム導入事例~なぜ導入は成功したのか?(後編)
前編ではコールセンターシステム導入の目的を4つに分類したうえで「業務効率化」と「顧客満足度向上」について成功事例を紹介してきました。
続く後編では、「コストダウン」と「攻めの領域」を目的とした導入事例と、「コールセンターシステム導入が成功した理由」を解説していきます。
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目次
目的別コールセンターシステム導入の成功事例
まずは前編のおさらいです。前編では、コールセンターシステム導入目的を、以下4つに分類しました。
- 業務効率化(オペレーションの効率化、オペレーター間の業務量平準化など)
- 顧客満足度向上(VOC収集、カスタマーサクセス対策など)
- コストダウン(人件費抑制など)
- 「攻めの領域(アウトバウンド業務強化、新規開拓、契約継続率向上など)」対策
本稿(後編)では、4つの課題のうち「コストダウン」と「攻めの領域」について、成功事例を紹介します。
コストダウンを目的とした事例
○株式会社ツムラ
老舗漢方薬品メーカーのツムラでは、自社コンタクトセンターで、医療関係者と一般利用者からの問い合わせに対応しています。
オンプレミス型のPBXをベースにビジネスフォンを活用していましたが、漢方の需要増を受けて毎年20~30%ペースで入電数が増加。これに対応するため、新たなコンタクトセンターの開設に合わせてクラウド型コールセンターシステムとCRMの導入を決定。大幅な導入コストの削減を達成しました。
- 課題
- CRMやCTIとの連携機能、ACD(コール振り分け)機能などの追加を検討していたが、既存のPBX+ビジネスフォンに実装すると1000万円規模の投資が必要になるため、投資額を抑えなくてはならなかった。
- 需要増から顧客数・コール数がともに増え、オペレーター間の情報共有が効率よく行えなくなっていた。また、受電内容からマーケティングのためのデータ蓄積がしにくかった。
- 東京に加えて大阪にもコンタクトセンターを設立することになったものの、拠点間で着信をコントロールする仕組みが存在しなかった。
- 導入効果
- クラウド型コールセンターシステム(BIZTELコールセンター)を選択したことで、コールセンターシステムの導入コストが当初概算額の約1/20(約50万円程度)まで圧縮された。
- CRM+クラウド型コールセンターの連携により、オペレーター間のリアルタイムな情報共有が可能になった。また、顧客対応力向上や業務負荷軽減にも効果があった。
- 複数の拠点を1つのセンターとして統合管理できるようになったことで、効率的な入電コントロールが実現し、待ち呼になる入電の割合は5%以下、放棄呼は1件/日以下にまで減少した。
コールセンターシステムは、クラウド型を選択することでさまざまなメリットを得ることができます。ハードウェアの調達費用を大幅にカットできるだけでなく、短期間での導入や座席数の増減にも柔軟に対応できるという側面も持っています。
攻めの領域対策を目的とした事例
○SATORI株式会社(インサイドセールス強化)
MA(マーケティングオートメーション)ツール「SATORI」の開発・導入を行うSATORI株式会社では、インサイドセールスチームの業務負荷軽減が課題でした。
そこで、自社MAツール「SATORI」とコールセンターシステム「BIZTEL」の連携を決定。コールセンターシステムの機能を併せて使えるようにしたことで、新たなMAツールの付加価値を創出するきっかけになったそうです。
- 課題
- 優先的に対応すべき見込み客の抽出、資料送付、リモートセールス、アポイント獲得など、やるべきことが多岐に渡るため、インサイドセールス業務を効率化する必要があった。
- 導入効果
- クリックトゥコールの導入により、リードに対する架電業務が効率化された。
- 顧客情報を画面で確認しつつ、両手が空いた状態(ヘッドセット利用)で通話が可能になり、画面操作が素早く的確に行えるようになった。
- チームメンバーが増員されるタイミングでの回線施設や設定作業が不要になった。
- ハードウェアとしての「電話」が必要ないため、テレワークが可能になった。
○株式会社ラクス(利用継続率向上)
中小企業向けの経費精算システム「楽楽計算」を提供している株式会社ラクスでは、契約者からの問い合わせ対応を、自社コールセンターで対応しています。
しかし、契約数の増加とともにビジネスフォンでのコールセンター運用が限界に達していました。また、カスタマーサクセスの実現による継続利用率の向上を掲げる同社にとって、「プロアクディブ(能動的な)なサポート」を提供できる環境が必要と考えていました。
- 課題
- 契約後は手厚いサポートでカスタマーサクセスを提供し、解約率の低下(利用継続率向上)につなげたいと考えていた。
- 従来のオンプレミス型ビジネスフォンでは、コール振り分けができず、オペレーター間の業務量に差が出てしまい、不公平感が高まっていた。また、入電数などコールセンターの稼働状況が把握できないため、シフト組みや契約増に対応できる回線数の検討が難しかった。
- 導入効果
- IVR(自動応答)による着信振り分け機能をはじめ、コールセンターシステムの機能で効率化を実現。サポート力の向上・解約率低下を後押しすることができた。
- 各オペレーターに対し、業務量が均一になるように問い合わせを配分できるようになり、不公平感が解消された。
- モニタリング機能やレポート機能の充実で、コールセンター業務全体の効率化も実現した。
コールセンターシステムのメリットは、コスト削減や業務効率化という「守り」の側面だけではありません。特に今後は、「利用・体験」が重視される「サブスクリプション型ビジネス」の時代です。コールセンターシステムを活用した顧客接点の強化は、新規顧客の獲得や収益率向上などを後押しする施策ともいえます。
コールセンターシステム導入が成功した理由
では最後に、「なぜ導入が成功したのか」を総括してみたいと思います。コールセンターシステムの導入が成功した理由は、以下の4つに集約できるでしょう。
- 課題が明確であり、確実に課題をクリアできる機能に着目してシステムを選定できた。
- システムの導入が、自社と顧客双方にとってメリットがあった。
- 尖った機能よりも「高い音声品質」「安定稼働するシステム」など、品質の高さ、安定性につながるサービスを選定した。
- 導入時のコスト感やスピード感(納期)が、目的にマッチしていた。
これらを満たすには、豊富な機能・サービスの安定感・優れたコストパフォーマンスを併せ持つ「クラウド型のコールセンターシステム」が有効だと言えます。
また、中長期的な視点で運用を見据えたとき「拡張性の高さ(音声認識やAIなどの先端機能を追加できるか)」や「席数の増減に対し柔軟に対応できるか」なども、重視すべきポイントになります。
まとめ
本稿では、「コストダウン」と「攻めの領域」を目的としたコールセンターシステム導入の成功事例を紹介してきました。
コールセンターシステムはCRMやMA、SFAなどのICTソリューションと相性が良く、連携も比較的スムーズです。したがって、すでにこれらを導入済みの企業にとっては「即効性のある施策」とも言えます。
ただし、「導入」自体がゴールになっては意味がありません。まずは目的、課題をはっきりさせ、実績豊富なベンダーへ問い合わせてみてはいかがでしょうか。