2020.01.23
2021.12.14

応対品質管理をやってみよう(第8回)

このシリーズの過去の記事はこちら
*【KPI】とっても大事な応対品質。管理するコツとは?
*応対品質管理をやってみよう(第1回)
*応対品質管理をやってみよう(第2回)
*応対品質管理をやってみよう(第3回)
*応対品質管理をやってみよう(第4回)
*応対品質管理をやってみよう(第5回)
*応対品質管理をやってみよう(第6回)
*応対品質管理をやってみよう(第7回)

お客さまの要望を確実に達成する

今回は5つの観点の四番目、「お客さまの要望を確実に達成する」の評価基準について考えてみましょう。

ここは顧客満足度に直結する重要な箇所です。
注意すべきは会社の観点で完了したと思っても、顧客の観点で完了していないとお客さまの要望を達成したとは言い難いということです。
そのため顧客視点でのチェックポイントが必要になります。

一般的な視点で考えてみると、3つのカテゴリが考えられます。
会社の観点として、オペレーターの知識やスキルの「正確性」と処理の「完全性」です。

もうひとつ、お客さまの観点で判断するにはお客さまの反応から読み解く「満足度」があります。

この3点について、評価基準を作ってみましょう。

正確性:お客さまはオペレーターから正しい情報を得られ、要望は正しく処理された。

ここで問われるのは、
「お客さまの要望に応対するだけの、適切な知識とスキルをオペレーターは備えていたか。」
「オペレーターの応対や処理は正しく行われたか。」

考え方としてまず、オペレーターの応対で発揮された知識やスキルはどの程度のレベルであったかの観点で評価します。

次に、オペレーターの行った処理は正しく、適切なのものであったかの観点で評価します。
以上を踏まえて評価基準を作成すると以下のように考えられます。

(評価基準1)
・オペレーターの知識とスキルは不十分だった。
・オペレーターは間違った回答や処理をした。

(評価基準2)
・オペレーターの知識とスキルは必要最低限を満たしていた。
・オペレーターは許容範囲の回答と処理だったが、十分とは言えなかった。

(評価基準3)
・オペレーターは適切な知識とスキルを備えていた。
・オペレーターは正しい回答と処理だった。

(評価基準4)
・オペレーターは高度な知識とスキルを備えていた。
・オペレーターはお客の要望に対する、最適な回答と正しい処理ができた。

完全性:お客さまの目的はすべて達成され、同じ事案で再び連絡する必要が無かった。

ここで問われるのは、
「お客さまの質問や問題はすべて解決したか。」
「お客さまから再度同じ問い合わせが来ない十分な応対だったか。」

考え方としてまず、お客さまの質問や問題は解決したのか、会社所定のマニュアルや規定に沿って判断します。

次に、オペレーターの解決レベルや手法においてどの程度完全性があったのかの観点で評価します。

(評価基準1)
・お客さまの問題は解決せず、お客さまが諦めた。
・オペレーターはお客さまの要望すべてに対応しなかった。

(評価基準2)
・お客さまの問題がすべて解決したとは言い難いものの、お客さまは納得した。
・他者の助けを借りながら、お客さまの要望を解決した。

(評価基準3)
・お客さまの質問や問題はすべて解決した。
・お客さまが表明した要望については解決できた。

(評価基準4)
・お客さまの問題がすべて解決しただけでなく、再度問合せが来ない助言やサポートがあった。
・オペレーターはお客さまの気づかない問題にも気づき解決した。

満足度:オペレーターの応対は、お客さまを満足させるに十分であり、お客さまから好意的な反応が見られた。

ここで問われるのは、
「お客さまから気持ちのこもった安心、安堵、喜びの感情表現が見られたか。」
「オペレーターの応対にお客さまは満足し、利用意向を示していたか。」

考え方としてまず、お客さまの反応から満足度合いや納得度合いがどの程度であったか、相手の声の調子やリアクションから判断します。この評価をするには、苦情応対を含めたお客さまの感情表現についての一定水準の経験を必要とします。

次に、お客さまから具体的な反応が見られたか、例えば喜びや感謝、感激、気持ちのこもった「ありがとう」の声が聞かれたか、それともどこか不満げな気持ちの表現があったのか、表面化した反応を見ていきます。

(評価基準1)
・お客さまは不満を表明し、抵抗した。
・お客さまから担当者を代わるように強い申し出があった。

(評価基準2)
・お客さまは満足したとは言えないものの、納得はした。
・お客さまから特に好意的な反応は見られなかった。

(評価基準3)
・お客さまは応対に満足して切電した。
・オペレーターの応対に対し、お客さまから好意的な反応があった。

(評価基準4)
・お客さまは期待を上回る応対に満足し、積極的な利用意向を見せた。
・お客さまは感激し、感謝の言葉を述べた。

お客さまが完全に解決したと思えるには、まず顧客の要望を引き出しきれたのか、声に出ない裏の言葉をオペレーターが聞き取れたのか、第一番目の観点である「顧客の要求を正しく理解する」と密接に関係しています。
ここの指標を考える際は、「顧客の要求を正しく理解する」と見比べながら考えるといいでしょう。

次回は最後の「お客さまと良好な関係を築く。」です。
評価表において最も難しく、かつ重要な観点になります。

あともう少しお付き合いください。

(第9回に続く)