2019.04.12
2022.02.18

応対品質管理をやってみよう(第2回)

*前々回の記事「【KPI】とっても大事な応対品質。管理するコツとは?」
*前回の記事「応対品質管理をやってみよう(第1回)」

さあ、この回から実際に応対品質管理のための指標づくりを考えてみましょう。

まず何から考えるべきか?

それは
「なぜ応対品質管理をするのか?」

顧客満足度を高めるため?
企業としてふさわしい応対レベルの品位を保つため?
品質と効率を両立させるため?
それとも、社員評価をするため?

みなさんの目的はなんですか?
その目的にもとづいて仕組みを作っていますか?

そして応対品質の評価と顧客満足度の評価はリンクしていますか?

そこで今回は、コールセンターに電話する顧客の声から検証してみましょう。

外部調査機関に見る顧客の不満や要望

4年前のコールセンター白書に「コールセンターに不満を持った理由」のアンケート結果が出ています。

1位 「待ち時間が長い」
2位 「電話がつながらない」
3位 「音声応答システムでの番号入力」
4位 「コミュニケーターの知識不足」
5位 「別の担当者に回された」

1位から3位までは、オペレーターの問題というよりも、どちらかというと体制の問題といえます。4位はオペレーターのスキル、5位はオペレーターのスキルと仕組みの問題が考えられます。

次に「オペレーターに求めること」では、

1位 「問合せへの適切な回答」 58.5%
2位 「保留や転送のない対応」 12.5%
3位 「親切」 10.0%

やはりここでもオペレーターのスキルについての要望が最も高くなっています。

この状況は日本だけに限った話ではありません。

とある外資系コンサルティング会社が数年前、米国の顧客に対し調査した結果があります。

「消費者が最も不満を感じる応対」

1位 「電話で長時間、保留にされる」 72%
2位 「違う担当者に何度も問題を説明しなければならない」 70%
3位 「質問に対する適切な回答を得ることができない」 66%
4位 「別件で電話したのに、他の製品やサービスを売り込まれる」 60%

日本も海外も、コールセンターに電話をかける顧客の不満が似ているというのは興味深いとともに、もしかすると、コールセンターに共通する課題と考えていいかもしれません。

さらに面白い調査をしたものが、グッドマン博士で有名なTARP社が行った調査です。

「過去3年間で2度以上ひどいサービスを受けたため、企業を乗り換えた消費者が考える“素晴らしいサービス”の条件とは?」

1位 「質問や問題が解決すること」 66
2位 「製品やサービスの知識があること」49%
3位 「連絡しやすいこと」 35%
3位 「要求を正しく理解すること」 35%

顧客の怒りが伝わってくるような結果ですね。
オペレーターのスキルについて具体的に指摘しています。

とある国内の金融系会社が数年前行った顧客満足度調査に、少し面白い結果があります。

「コールセンターのオペレーターに求めるもの」

属性別にみると、どの属性も「正確な情報伝達」が一番多く、上位3件は同じでした。

一方で年代別にみると違いが出ました。

「正確な情報伝達」と「聞き取り易い話し方」が、属性と同様に高かったのですが、一番若い世代の20代で、「丁寧な言葉遣い」に対する要望が高かったのが驚きです。普通に考えると年配ほど厳しそうに見えるのですけどね。

また30代は最も忙しい世代なのでしょうか、テキパキした応対を求めています。

他の調査結果も似たようなものばかりで、概ね以下の回答にまとめられます。

「つながらない、つながっても待ち時間が長い」
「たらい回しによるストレス」
「オペレーターの態度が悪い」

顧客の不満や要望の整理

前章の結果を整理すると、ひとつのパターンが見えてきますね。

①オペレーターの知識の量と質に関するもの

「コミュニケーターの知識不足」
「製品やサービスの知識があること」

②オペレーターの理解力に関するもの

「要求を正しく理解すること」

③回答の正確さや的確さに関するもの

「問合せへの適切な回答」
「質問に対する適切な回答を得ることができない」
「正確な情報伝達」
「別件で電話したのに、他の製品やサービスを売り込まれる」

④解決までにかかる時間に関するもの

「別の担当者に回された」
「保留や転送のない対応」
「電話で長時間、保留にされる」
「違う担当者に何度も問題を説明しなければならない」
「応対中に待たせない」

⑤解決力に関するもの

「質問や問題が解決すること」

⑥オペレーターの話し方に関するもの

「聞き取り易い話し方」
「丁寧な言葉遣い」

 

コールセンターに電話をかける顧客には”目的”があります。

テクニカルサポートであれば、トラブルを解決したい。
通販であれば、何か商品を購入したい、または返品やトラブルを抱えている。

その顧客の要望に対し、

「要求を正しく理解し」
「解決のアプローチを適切な手順で」
「かつ速やかに」
「顧客の要望が確実に達成される」

以上の4点が、顧客満足度に直結する重要な要素といえます。

したがって、応対品質評価の指標には、この4要素を考慮する必要があり、かつ評価のウエイトの大部分を占めている必要があるといえます。

さて、次回はこれらを前提に、どんな評価項目が望ましいか具体的な指標づくりをしてみましょう。

→「応対品質管理をやってみよう(第3回)