2020.02.28

応対品質管理をやってみよう(第9回)

このシリーズの過去の記事はこちら
*【KPI】とっても大事な応対品質。管理するコツとは?
*応対品質管理をやってみよう(第1回)
*応対品質管理をやってみよう(第2回)
*応対品質管理をやってみよう(第3回)
*応対品質管理をやってみよう(第4回)
*応対品質管理をやってみよう(第5回)
*応対品質管理をやってみよう(第6回)
*応対品質管理をやってみよう(第7回)
*応対品質管理をやってみよう(第8回)

1. お客さまと良好な関係を築く

今回は最後の観点、「お客さまと良好な関係を築く」の評価基準について考えてみましょう。

カスタマー・エクスペリエンスの視点で見た場合、第一〜四の観点はいずれもコールセンターに課された大切な責務といえます。

そして、もうひとつ重要なのがここの観点です。
例えば、料理が美味いと評判の店に行き、確かに料理は素晴らしく大満足したとします。
しかし店員の態度が横柄で、楽しく食事できなかったとしたら、またその店に食事に行きたいと思うでしょうか。

お客さまはオペレーターを通して、その会社を評価します。
コールセンターに電話したお客さまが、応対に不満を抱いたため、その企業のサービスを利用しなくなったとしたら、そのコールセンターに存在意義があるといえるでしょうか。
その意味でも、この観点は数値化の難しい重要指標になります。

一般的な視点で考えてみると、5つのカテゴリが考えられます。
さあ、評価基準を作ってみましょう。

2.話しやすさ:オペレーターの友好的な姿勢が、お客さまを安心させ、積極的な会話に導いた。

ここで問われるのは、
「オペレーターは明るく、感じの良い第一声ができているか。」
「お客さまから陽気な声や饒舌さなど、リラックスしている様子が見て取れたか。」

考え方としてまず、オペレーターの話しやすい雰囲気づくりによりお客さまがリラックスして話せていたのか、オペレーターの振舞いにフォーカスします。
以上を踏まえて評価基準を作成すると以下のように考えられます。

(評価基準1)
・第一声が暗く、お客さまが話しかけづらそうだった。
・オペレーターの非友好的な応対姿勢が、お客さまを緊張させ、お客さまが言葉を選んで遠慮しがちに話していた。

(評価基準2)
・第一声は丁寧だが、感情表現が弱く、事務的な応対に聞こえた。
・まだ自分のペースで話しており、お客さま口調やスピードに合わせたり、聞き役に徹したりするまでには至らなかった。

(評価基準3)
・第一声は明るいものの、やや人工的で自然さに欠ける。
・オペレーターはしっかりとお客さまの話を聞いており、お客さまの積極的な会話につながっていた。

(評価基準4)
・第一声が明るく自然で、お客さまが話しかけやすかった。
・オペレーターの終始穏やかな姿勢により、お客さまはリラックスし、饒舌になっていた。

3. 関心を示す:お客さまの話に対し、オペレーターが肯定的かつ積極的な姿勢を示していた。

ここで問われるのは、
「オペレーターの復唱や相槌、質問が効果的にお客さまの話を促していたか。」
「お客さまの感情に合わせたオペレーターの声のトーンから、真剣さが伝わったか。」

考え方として、オペレーターが積極的に質問したり、復唱や相槌を効果的に使ったりして、お客さまの要望を理解しようと努めているのか、オペレーターの姿勢を見ます。
以上を踏まえて評価基準を作成すると以下のように考えられます。

(評価基準1)
・オペレーターが主導して質問せず、お客さまが気を遣って話さなければならなかった。
・復唱や相槌の数やタイミングが不適切なため、お客さまから話を聞いているのかと疑問に持たれていた。

(評価基準2)
・同じ相槌の連続、少ない復唱など、事務的・儀礼的な聞き方になっていた。
・オペレーターの復唱や相槌、質問のタイミングがぎこちなく、お客さまとの会話のリズムを生み出すには至らない。

(評価基準3)
・復唱や相槌のタイミングが適切で、お客さまの話を聞いていることが伝わった。
・お客さまの感情に合わせて声のトーンを変化させるなど、お客さまへの関心が伝わる応対だった。

(評価基準4)
・会話の中で無駄のない復唱や、相槌が、お客さまがさらに話したくなる意欲を掻き立てた。
・会話の適切な感情表現や抑揚・スピードがお客さまの感情とフィットし、真剣さがお客さまに通じていた。

4.受け入れる:オペレーターがお客さまの感情を理解して受け止め、お客さまに寄り添う姿勢を示していた。

ここで問われるのは、
「オペレーターは共感と謝辞を使い、お客さまを受け入れる姿勢を示していたか。」
「お客さまの不満にも、オペレーターは感情的にならず、辛抱強く応対したか。」

考え方としてまず、お客さまの気持ちを受け止めているのか、オペレーターの共感姿勢を評価します。
また苦情応対など、お客さまが感情的になった場合でも、オペレーターがどれだけ自分の感情をコントロールして応対できていたか評価します。

(評価基準1)
・共感や謝辞がない、または不足しているため、お客さまが不快、不満を感じ苛立っていた。
・オペレーターの否定的な姿勢や感情的な物言いが、お客さまの怒りを招いた。

(評価基準2)
・謝辞と共感フレーズを使っているもののスクリプト通りの儀礼的なものになっていた。
・お客さまの不満に対して受け止めることはできるものの、まだ一人では対処しきれていない。

(評価基準3)
・共感と謝辞を適切な感情表現で表明し、お客さまの気持ちを受け入れる姿勢を示した。
・お客さまの不満に対し、終始辛抱強く対処できていた。

(評価基準4)
・オペレーターの素直で自然な謝辞や共感が伝わり、お客さまから満足している様子がでていた。
・お客さまの不満を和らげる応対で、一人で苦情を解決できた。

5.敬意:オペレーターがお客さまの人格を認め、大切なお客さまとして振る舞っている。

ここで問われるのは、
「オペレーターの適切な敬語を使えていたか。」
「お客さまの誤解や間違いに対し、相手が受け入れやすいよう、オペレーターは遠回しに伝えたか。」

考え方として、社会人として節度のある応対をオペレーターはしていたのか、企業の顔として受け入れられる態度であったのか、一般常識の範囲で評価します。
さらに、お客さまに何らかの勘違いがあった場合や間違いがあった場合にも、どのようにオペレーターが振舞い、お客さまを不快な気分にさせなかったのかの観点で評価します。

(評価基準1)
・間違った敬語の使い方が目立ち、お客さまの不快感を招いた。
・お客さまのもどかしい説明にイライラしたために、強引に話を遮って、手続きや案内を進めることが散見された。

(評価基準2)
・敬語は使えているものの、二重敬語や過剰な敬語使いなど、改善の余地が大きい。
・お客さまの間違いや勘違いに対し、悪意はないものの、ストレートに指摘してしまうことがあった。

(評価基準3)
・敬語を正しく活用できていた。
・お客さまが話しているときは遮らず、話が終わった後に、オペレーターは話していた。

(評価基準4)
・オペレーターは常に謙虚で節度を持った姿勢を保ち、それがお客さまを安心させ、穏やかであり続けさせた。
・お客さまの気分やメンツを損なわないよう、相手を和ませるような言い換えや、話し方ができていた。

6.サービスマインド:オペレーターの謙虚かつ協力的な姿勢がお客さまに伝わり、お客さまから好意的な反応が見られた。

ここで問われるのは、
「お客さまの問題解決に、一貫して協力的な姿勢を示していたか。」
「オペレーターは最後に感謝の気持ちを伝えて切電したか。」

考え方として、オペレーターの姿勢についての総合的な評価と、お客さまの反応からオペレーターのサービスマインドを評価します。

(評価基準1)
・お客さまの要望に嫌々応対しているのが明らかで、お客さまを恐縮させた。
・感謝の気持ちを伝えることなく、そそくさと切電した。

(評価基準2)
・親切の押し売りなど、オペレーターの自己満足的な応対になることがあった。
・最後に感謝の気持ちは伝えて切電しているものの、スクリプト通りの事務的なものだった。

(評価基準3)
・お客さまの様々な要望に嫌な顔一つせず、丁寧に応対していた。
・オペレーターの感謝・気持ちが伝わるクロージングで、お客さまは好印象を抱いて終話した。

(評価基準4)
・お客さまに対し、オペレーターは好意的かつ真剣に対応して、お客さまは感激または感謝の気持ちを表明していた。
・お客さまの事情を察し、可能な限りの応対をすることで、お客さまは納得した。

この観点は主観的な要素が強く、何度作っても納得しにくい、難しいものです。
ここについては皆さんの企業でも複数の方々で議論が必要な気がします。

これで応対品質管理表が完成しました。

さて、これをもとに評価シートを作成しますが、評価点をどう配分するかという最後の宿題が残っています。
これについては最終回で考えてみましょう。