2019.12.06
2021.12.14

応対品質管理をやってみよう(第7回)

このシリーズの過去の記事はこちら
*【KPI】とっても大事な応対品質。管理するコツとは?
*応対品質管理をやってみよう(第1回)
*応対品質管理をやってみよう(第2回)
*応対品質管理をやってみよう(第3回)
*応対品質管理をやってみよう(第4回)
*応対品質管理をやってみよう(第5回)
*応対品質管理をやってみよう(第6回)

速やかに対応する

今回は5つの観点の三番目、「速やかに対応する」の評価基準について考えてみましょう。

ここでは、応対が完了するまでにかかった時間やスピードについて評価していくわけですが、応対時間保留回数など具体的な数値目標を設定しているコールセンターでは、客観的な評価基準を作成することが可能です。

一般的な視点で考えてみると、2つのカテゴリが考えられます。
ひとつめは応対時間の長さや、保留回数や保留時間、転送といった中断によるお客さまのストレス要因となる時間を含めた、「かかった時間」が考えられます。

もうひとつは、聞き返しややり直しといった無用な時間を生む応対プロセスオペレーターの段取りの悪さや回りくどい説明といった応対時間全体の長さに影響する、「応対の効率性」が考えられます。

この2点について、評価基準を作ってみましょう。

かかった時間:オペレーターは最小限の中断と適切な応対時間であり、お客さまの不満は表れなかった。

ここで問われるのは、
「オペレーターの保留回数や保留時間は適切だったか。」
「お客さまの問題の解決までにかかった時間は妥当だったか。」
「お客さまから、回答や対応を急かされることはなかったか。」

考え方としてまず、保留や転送といった応対中の中断に関する回数や時間が、お客さまの不満を招いていないかを見ます。
保留については、業務によって必ず保留にして確認を求めるものもあり、必ずしもしないことが重要ではありません
また保留を禁止すると、知識やスキルがまだ弱い新人が無理をしてしまい、後にトラブル要因につながる場合もあります。
ここではあくまで適正だったかの観点で評価します。

次に、応対時間全体が適正だったのかを見ます。
ここについても、問い合わせ内容によって時間のかかるものもあり、あくまで妥当な時間であったか、お客さまが何らかの不満を感じていないのかの観点で評価します。

以上を踏まえて評価基準を作成すると以下のように考えられます。

(評価基準1)
・何度も保留や転送があり、お客さまが明らかに不満を表明した。
・お客さまから急かされるなど、オペレーターの進め方にお客さまはストレスを感じていた。

(評価基準2)
・保留や転送などの中断は、想定回数および時間内であった。
・お客さまの目的に解決までに想定時間よりもかかっているものの、お客さまにストレスや不満は見られなかった。

(評価基準3)
・保留や転送などの中断が回数、時間とも最小限で妥当だった。
・オペレーターの応対の進め方に改善の余地はあるものの、想定時間内または妥当な時間で完了した。

(評価基準4)
・保留や転送など、無用な中断は一度もなかった。
・オペレーターのスムーズな応対で、お客さまの目的は一度のやり取りで解決した。

応対の効率性:オペレーターは簡潔な説明やテキパキした応対で、お客さまがストレスを感じている様子は見受けられなかった。

ここで問われるのは、
「お客さまから、同じ説明や質問が何度もされることはなかったか。」
「オペレーターの説明は簡潔で、回りくどくなかったか。」
「オペレーターはお客さまをしっかりとリードし、スムーズに応対したか。」

考え方としてまず、回りくどい説明ややり直しなど、オペレーターの応対の仕方を起因とする無駄な時間が発生していないかを見ます。
オペレーターが簡潔に話すことや、話の筋立てに一貫性を持つことで、もう少し応対時間を短縮できるというシーンはよく見られます。
お客さまが一度の説明で理解できるように分かりやすく伝えることは時間短縮だけでなく、後に言った言わないのトラブル防止にもつながります。

次に、オペレーターがしっかりと会話をリードしているかも重要です。
お客様主体の場合だと話があちこちに飛ぶことが多く、結果的にオペレーターのほうでもう一度話を整理して説明し直すことにもつながり、結果的に応対時間が長くなってしまいます。

以上を踏まえて評価基準を作成すると以下のように考えられます。

(評価基準1)
・お客さまから何度も聞き返されるなど、オペレーターの分かりにくい応対に強いストレスや不満が見られた。
・オペレーターの知識やスキル不足により、お客さまが終始、話をリードする羽目になった。

(評価基準2)
・オペレーターは定型の応対についてスクリプト通りに出来ているものの、それ以外になると、進め方に課題が見られた。
・オペレーターはまだお客さまをリードしきれず振り回されることで、無用に時間がかかっていた。

(評価基準3)
・オペレーターはテキパキと応対しているものの、まだ説明の回りくどさや分かりにくさが一部見られる。
・お客さまから何度か聞き返されたり、やり直しがあったりと、オペレーターの進め方に無駄が見られた。

(評価基準4)
・オペレーターの簡潔な説明と迅速な応対が自然で無駄がない。
・オペレーターの応対手順が一貫しており、主導権を持ってお客さまをリードできていた。

この「速やかに対応する」という観点については、まだまだ改善の余地を感じています。
時間がかかることによって、お客さまをいらだたせる要因については、オペレーターだけに原因があるわけではなく、業務プロセスやスクリプトの整備不足に起因することも多く、オペレーターの評価にフォーカスした評価基準作りの前に、仕組みの再検証も必要なのかもしれません。

皆さんも一緒に考えてみてください。

(第8回に続く)