2020.03.31
2022.02.18

BCP対策・人材確保を両立。「在宅コールセンター」のメリット

働き方改革が進む中、「柔軟かつ適切な人材活用」への対策が必須になっています。特に、顧客接点の場として日々重要さを増すコールセンターでは、人件費削減と従業員確保をどう両立させるかが課題です。

また、災害・パンデミックなどで出社が困難なときにいかにコールセンター業務を継続するかという点においても、従来の人材活用から大きな転換が求められます。

これらの課題に対し、「在宅勤務制度」が解決策になり得るかもしれません。クラウド型のコールセンターシステムを活用すれば、在宅勤務者を中心としたコールセンターの構築が可能になるでしょう。

ここでは、在宅勤務者を中心としたコールセンターを構築するメリットや、そこで必要になるシステムについて解説します。

今「在宅コールセンター」が注目される理由

在宅コールセンターは、企業側・労働者側双方にメリットがあります。

拠点から離れているところに居住している場合や、介護・育児をする必要がある場合でも勤務が可能なため、働き方改革の促進にもマッチすると考えられています。

企業側のメリット

● BCP対策として有効

在宅コールセンターは複数の拠点に人材を分散させられるため、BCP(事業継続計画)対策やDR対策としても有効です。もし特定の地域で何らかの自然災害・障害が発生しても、復旧までの間は別の地域に仕事を割り振ることで業務が継続できます。

● 人手不足対策として有効

在宅コールセンターは居住地と勤務地を一致させる必要がないため、人材の居住地に縛られず、条件が合う人材を採用しやすいです。

● 人件費削減

在宅コールセンターは、地方の人材を現地の賃金で雇用することが可能です。大都市圏の高額な賃金を回避できるため、人件費の抑制が見込めます。

● 調整が容易

在宅コールセンターでは通常の勤務形態よりも勤務シフトの柔軟性が高いため、仕事量の増減や離職によって人手に過不足が生じた場合でも調整が容易です。

● 初期コストが小さい

通常のコールセンターのように大規模なシステム構築や座席などが必要ないため、初期コストを抑えられます。

労働者側のメリット

● 通勤コストが発生しない

地方であれば、自家用車で1時間前後の通勤も珍しくありません。また、出勤前の準備を含めれば、1日のうち2~3時間は通勤のために費やしている計算になります。在宅勤務なら、これら通勤に要するコストを大幅にカットできます。

● ライフスタイルを変えずに済む

在宅コールセンターは時間・場所の融通が利くため、何らかの事情で通常勤務が難しい人材でも、時間や場所の制約を受けにくいという特長があります。例えば、結婚による引っ越し・出産・親の介護といったライフイベントにも柔軟に対応できます。

● 融通が利く副業として

在宅勤務ならではの「時間の融通」を活かし、休日や帰宅後の副業として活用できます。

 

このように在宅コールセンターは、企業・労働者双方に複数のメリットをもたらします。うまく機能すれば、低コストで柔軟性に富んだ職場環境になるでしょう。

しかし、次のような課題が発生することも認識しておくべきです。

在宅コールセンター導入時に発生しがちな課題

● 応対品質の管理

コールセンターは、企業の顔とも言える職場です。コールセンターの対応が企業イメージを大きく左右することも珍しくありません。そのため、管理者(SV)が常に応対品質をチェックし、問題を修正しています。一方、在宅コールセンターでは、SVなどの管理者が直接管理できないため、応対品質の問題を検知しにくいというデメリットがあります。

● セキュリティ

自宅でコールセンター業務を行う場合、人材の行動を監視しにくいことから、セキュリティ面で不安を抱える企業が少なくないようです。コールセンターでの通話内容は顧客情報を含んでいるため、音声情報に対するセキュリティについても考えたいところです。

在宅コールセンターの構築に必要な仕組みとは?

在宅コールセンターの導入では、こうした課題を解決できる仕組みを構築しなくてはなりません。そこで、前述した2つの課題を解決できる仕組みを紹介します。

クラウドPBX

クラウドPBXは、構内に置いていたPBX(Private Branch eXchange:構内交換機)をクラウド化することができるサービスです。従来のオンプレミス型PBXと同等の機能がインターネット経由で提供されるため、通常のオフィスやコールセンターのように、在宅勤務拠点同士を内線化できます。また、電話回線施設・内線工事・メンテナンス・システム障害対応といった設備関連のコストを大幅にカットできることも特長です。

クラウドCTI

クリックトゥコール・通話録音・着信振り分けなどのコールセンターの生産性を向上させる機能をクラウドサービスとして提供する仕組みです。在宅勤務者の応対品質管理や稼働状況の把握も可能になります。また、セキュリティオプションの適用により、データ暗号化やシステムへのアクセス制御などが行えるため、高いセキュリティ水準を確保しやすくなるでしょう。さらに、初期費用の安さや納期の短さもクラウドサービスならではの強みと言えます。

 

この2つはどちらもクラウドベースのサービスであり、居住地による物理的な制限を受けません。在宅コールセンターの構築では、クラウドベースの電話システムが必須と言えるのではないでしょうか。

在宅コールセンターの導入事例

最後に、在宅コールセンターの導入事例を紹介します。今回紹介するのは、Web会議システムなどビジュアルコミュニケーションツールの企画・開発・販売・保守を主力事業とする「株式会社ブイキューブ」さまの事例です。

ブイキューブさまでは、経営目標として「サービス利用継続率向上」が掲げられていました。これをクリアするため、より高品質なカスタマーサポートを目指して「カスタマーサポートの内製化」を決定。カスタマーサポートの応対品質を上げ、継続利用率向上を促すためです。そこで、サテライトオフィスと在宅コールセンターの連携によって新たなサポート体制を構築する試みが行われました。

具体的には、サテライトオフィスと在宅コールセンターへクラウド型CTIを導入し、2拠点の連携によって内製化を達成しています。応対品質向上に加え、拠点が複数に分散されたことで、豪雨や停電といった災害時でもサポートが継続できるようになったそうです。顧客対応品質向上と事業継続マネジメントの成功事例と言えるでしょう。

※事例の詳細はこちら

まとめ

本稿では、在宅コールセンターのメリットと、構築に必要な仕組みについて紹介してきました。在宅コールセンターの構築は、コスト削減やBCP策定、人材活用の観点からとても合理的な施策です。2020年4月現在、新型コロナウイルス 感染拡大による緊急事態宣言により、その重要性はさらに増してきました。しかし、実施にあたっては在宅勤務者を適切に管理・評価できる統合的な仕組みを用意しなくてはなりません。

在宅コールセンターの導入を検討しているなら、クラウドPBXやクラウドCTIを取り扱うベンダーへの問い合わせてみてはいかがでしょうか。

 

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